熱く、エキサイティングな演奏シーンが「音が聴こえる」とファンをうならせる。
大人気のジャズマンガ「BLUE GIANT」。
コロナ禍に負けず、各地でジャズフェスタも盛り上がっています。
それだけに、ジャズに興味を持ち、この作品が気になっている人が多いはず。
さらには、この作品のアニメ映画が制作され、2023年2月17日から公開!
「最大の音量、最高の音質で主人公・宮本大が奏でる音楽」が披露されるんです。
メチャ楽しみ!
ネット上などでも、作品に登場する曲について「どんな曲か聴いてみたい!」なんて声があふれています。
これまでも作品に登場した曲を収録したアルバムが数多く発売されています。
実際に聴いた方たちからは「カッコいい!」という絶賛の声がたくさん。
ただ、一方で、
「作品の演奏シーンにピッタリ合う曲が聴きたい!」
なんて、戸惑う声や熱く要望する声も少なくありません。
確かに、ジャズにはバラードなど静かな曲も多い。ですが、本質はエモーショナル(感情的)。
喜び、悲しみ、心の揺れが音に直結し爆発する音楽。
宮本大が尊敬するジョン・コルトレーンのプレーは激しくて、聴いているこちらも心が揺れまくり!
なので、この記事ではアニメ映画化に先駆けて「宮本大の演奏シーンにぴったりハマる」名プレーヤーを紹介。
- ジョン・コルトレーン(テナーサックス)
- マイルス・デイビス(トランペット)
- チャーリー・パーカー(アルトサックス)
そして、3プレーヤーによる「宮本大の演奏イメージにぴったり」の名曲を紹介、解説します。
- 「こんな感じに吹いてるんだ」と絶対に納得。
- 「違う曲も聴いてみたいな」とジャズにどっぷり。
- さらに原作も映画も見てみたくなる。
上記の3つの魅力がわかって、さらに「BLUE GIANT」の世界にハマりますよ!
「BLUE GIANT」って、どんな作品なの?
そしてヨーロッパを舞台にプロプレーヤーとして活動する「BLUE GIANT SUPREME」。
2016年18号から2020年9号まで連載され、コミックス全11巻。
2020年11号から2023年10号まで本場・米国が舞台の「BLUE GIANT EXPLORER」が連載。
単行本は全9巻(2024年3月18日時点)が発売中。
さらに2023年15号からは舞台をニューヨクに移した「BLUE GIANT MOMENTUM」が連載中。
この章から原案者だった NUMBER8さんが原作者となり、単行本も計2巻が刊行されています(2024年9月28日時点)。
主人公・大がひたむきにプロプレーヤーを目指す姿。熱く感情がほとばしるプレーの描写が「音が聴こえる」と大人気。
作品の登場曲や原作者の石塚さんが選んだ曲を収蔵した「BLUE GIANT コンプリートエディション」など、アルバムも発売されています。
また2023年2月17日にアニメ映画が公開。YouTubeで公開されている映画の予告編映像もカッコいい!
映画は、大が仙台でジャズプレーヤーを志して上京。初めてバンドを組んで活躍するストーリーが中心。
バンド「JASS」はサックスの大、ピアノの沢辺雪祈、ドラムスの玉田俊二と3人編成。
若きジャズマンたちが奏でる曲を担当する演奏陣がめっちゃ豪華なんです!
主人公・大が吹くサックスは新鋭奏者の馬場智章さん。
雪祈のピアノは、グラミー賞の受賞者である上原ひろみさん!
大の高校からの親友・玉田のドラムは、気鋭のドラマー石若駿さん。ジャズマンガ「坂道のアポロン」のアニメ版でも演奏を務めた人。
超豪華な演奏陣のプレーは一見、いや一聴?の価値アリ、です。
1.「大のプレーと曲のイメージが合わない」原因は?
プレーヤーが奏でる音が聴こえてくる |
各アルバムに収められた曲は名曲中の名曲。数多い収録曲から厳選されたモノです。
ただ、読者がイメージしたいのは、大の熱くエモーショナルにプレーする姿。
未完成でも、泥臭くても、ジャズへの情熱と「吹くんだ!」という心の欲求が加速する音です。
「激しく心が揺さぶられるような感じかと思っていたら、オシャレなバーに流れているような静かな曲ばかり」
という声があがる原因は、収録曲の完成度と洗練さの一方で、大のプレーの未完成ゆえの激しさというイメージのギャップがあるから。
ここからは「大のプレーと曲のイメージがハマ」り、「ジャズって激しくてカッコいい!」。
そう納得できるプレーヤーと、オススメの曲を紹介、解説していきます。
2.大が尊敬してやまない、ジョン・コルトレーン
作品中で、大が「ジョン」と呼び敬愛するテナーサックスの名プレーヤー、コルトレーン。
米国でモダンジャズの「ハード・バップ」が隆盛となった1950年代から1960年代にかけて大活躍したプレーヤーです。
「ハード・バップ」は、曲のコード進行に乗せた激しいアドリブを展開しつつ、旋律も美しいのが特徴。
一般的なジャズの曲のイメージといえます。
このスタイルでブレークしたのがコルトレーンです。
代表曲は「Blue Train」「Giant Steps」「A Love Supreme」といったところ。
これらの曲タイトルの一部である「Blue」「Giant」「Supreme」は、「BLUE GIANT」シリーズの作品タイトルで使われています。
原作者の石塚さんは米国留学経験があり、その当時に多く聴いていたのがコルトレーン。
主人公・大の〝コルトレーン愛〟の原点のようです。
コルトレーンは超絶テクニックと洗練されたメロディーが特徴 |
激しく、洗練されたメロディー
そして「Blue Train」「Giant Steps」「A Love Supreme」。
コルトレーンのソロ演奏での指の速さ、激しくも洗練されたメロディーが際立って、実にカッコいい。
視聴する場合は、YouTubeがおススメです。
コルトレーンチャンネルなど、たくさんのコンテンツが公開されています。
特に前述の3曲が収められている「The Best of John Coltrane」は、ライブ版でイチオシ。
さらに「Russian Lullaby」も激しくスピード感あふれるプレーで最高です。
個人的に好きなのが「My Favorite Things」。
ソプラノサックスで奏でるメロディアスな曲。作品中で大もライブで演奏していますが、ちょっと懐かしさがあって心に刺さるんです。
聴けば一発でジャズが好きになりますよ。
3.モダンジャズの帝王 マイルス・デイビス
この名トランぺッターの名前は聞いたことがあるはず。
1940年代からキャリアスタート。
モダンジャズの起源とされ、原曲からかけ離れるほどのアドリブではっちゃける「ビバップ」で急浮上。
さらに「ハードバップ」、ロックやラテンを混合させた「フュージョン」など、時代ごとのスタイルでプレーしたジャズ界の巨人の1人。
マイルス・デイビスの銅像 |
トランペット特有のヒリヒリとした緊張感あふれるプレーがカッコいい。
YouTubeのチャンネルでは「マイルス・デイヴィス・カルテット」がオススメ。
ハード・バップ時代の「Walkin'」は代表曲の1つです。
個人的に聴いていただきたいのが「So What」。
実はこの曲、若い頃のコルトレーンがバンドに参加してるんです。
ピンと張り詰めたマイルスの音に、コルトレーンの疾走するテナー。
2人の個性がぶつかり合うようなセッションが最高です。
パーカーとのセッションがすごい
デイビスは年を追うごとにアドリブが減っていきます。
でも、ビバップ隆盛の1940年代。もう1人のジャズの巨人、チャーリー・パーカーのバンドに参加していた頃のプレーがしびれる。
パーカーの最初から終わりまで弾けるようなアドリブに戸惑っている感じ。
だけど、引っ張られるように披露するアドリブは心がわきたちます。
特に「Ornithology」は、2人の疾走感がバツグンです。
4.〝バード〟チャーリー・パーカー
モダンジャズ、「ビバップ」の創始者でアルトサックス奏者。愛称は〝バード〟。
個人的には、「大のプレーシーンにぴったりハマる」プレーヤー。
1940年代、大人数編成のスウィングが主体だった米ジャズ界を「ビバップ」で一変させた人です。
「ビバップ」は、まず冒頭で曲の基本的なメロディーを演奏した後、各プレーヤーが順番にアドリブを披露するスタイル。
パーカーのアドリブは、原曲から飛び出すようにはっちゃけている。
さらに、その瞬間のひらめきも感じます。
例えると、線香花火。先端に点火すると、パチパチと火花を飛び散らせながら持ち手に一直線に迫ってくる感じ。
洗練さというより激しさと躍動感。
「ジャズが好きなんだ!」「自分が持ってるものを全部出すんだ!」
そんな感情と気迫が伝わってくるんです。
パーカーが吹き上げるメロディーには感情がほとばしっている |
大の情熱的なプレーと重なる
作品で描かれる大のプレーは、若い躍動感にあふれ、ジャズへの情熱と新しい、自分の音を生み出そうという思い、気迫が伝わってきます。
だからプレーシーンを読んだ時、パーカーのプレーが重なりました。
YouTubeでは「チャーリー・パーカー」チャンネルがオススメ。
前述の「Ornithology」、「BLUE GIANT コンプリートエディション」にも収録されている「Confirmation」。
アップテンポなメロディーにアドリブが弾け、体が自然に動いてしまう。
個人的に大好きなのは「Bebop」。パーカーの弾けっぷりがスゴいから。
パーカーのハイスピードな演奏の疾走感が最も物語る名曲なんです。
「チュニジアの夜」も深みのある曲調とアドリブがめちゃカッコいいです。
番外編・洗練さとテクニックがたまらない、ウィントン・マルサリス
熱い大のプレーシーンにマッチする、という意味では番外編になります。
テクニックと洗練さが極まれば、ここまでプレーに切れ味がでるのか。
そう、うなってしまうのが、トランぺッターのウィントン・マルサリスです。
父・エリスはピアノ、兄・ブランフォードはテナー、弟・デルフィーヨはトロンボーン。
同じく弟・ジェイソンはドラムと、まさにジャズ一家。
中でもウィントンは米グラミー賞を複数回受賞している、現代の最高峰のプレーヤーの1人。
ウィントンのプレーはテクニックのキレがすごい |
キレキレの高速プレー
YouTubeのチャンネルでは「ウィントン・マルサリス・トピック」がオススメ。
個人的にハマったのは、アルバム「Standard Time Vol.1」 を聴いてから。
タイトルの通り、ジャズのスタンダード曲をプレーしたもの。「Caravan」「Autumn Leaves(枯れ葉)」は秀逸。
パーカーのアドリブに負けない高速演奏は、感情的というより理詰めな感じ。
切れ味鋭いテクニックから生まれる緊張感がたまりません。
また、兄・ブランフォードは1985年に英ロック界の大御所、スティングのバンドに参加。
「Englishman in New York」などでシブいテナーを披露しています。
1985年のライブ・エイドに出演。スティング、フィル・コリンズとプレーした「みつめていたい」は素敵でした。
まとめ・興味を持ったプレーヤーの曲をガンガン聴こう
ここまで「大のプレーシーンにハマる」プレーヤーと曲を紹介してきました。
ほかにもディジー・ガレスピー(トランペット)、ソニー・ロリンズ(テナーサックス)etc。
エモーショナルな演奏が素晴しいプレーヤーがたくさんいます。
興味を持ったプレーヤーの曲をガンガン聴いて「大のプレーイメージ」に色付けしてみてください。
その第一歩としては、やはり大が尊敬するコルトレーンの「Giant Steps」をまず聴いてみるのが一番。
そして、たくさんのプレーヤーの演奏を聴いてジャズが好きになれば、「BLUE GIANT」がよりいっそう、楽しめますよ。
当ブログでは、石塚真一さんの人気作品「岳」についても紹介しています。ぜひ、お読みください。
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