「自分を変えたい」と悩む人の背中を押してくれる
サッカーは、マンガ作品の中でもポピュラーなジャンル。それだけにたくさんの作品があって、どの作品も人気です。
中でも多くのファンから支持を獲得しているのが「GIANT KILLING」。
日本のプロリーグに所属するクラブが舞台。指揮官のズバ抜けた戦術とチーム運営の手腕、プレーヤーの卓越した技術や心理を巧みに描写。
「ジャイキリ」という愛称で、たくさんのファンから愛されています。
そして作品のテーマは「自分の中のGIANT KILLINGを起こせ」。
この作品のファンや興味があって読んでみたいと思っている人たちからは、
「タイトルのGIANT KILLINGって、どういう意味なの?」
「自分の中のGIANT KILLINGを起こせって、どういうこと?」
という質問の声がたくさん上がっています。
「GIANT KILLING」は日本語で「大番狂わせ」という意味。さらに作品にはもう1つの意味が込められている。
主人公・達海猛(たつみ・たけし)が「大番狂わせ」を起こし、自分自身やチームなどに誘発する進化への化学反応です。
- 主人公・達海猛は「GIANT KILLING」の体現者。
- 自分のカラを破ることができなかった準主役・MF椿大介の進化。
- ベテランMF村越茂幸らチームメートの進化。
- 「自分を変えたい」と悩む読者の背中を押してくれる。
上記の4つのポイントが作品の魅力の秘密なんです。
この記事では作品の魅力である上記した進化への4つの化学反応について、くわしく紹介&解説します。
「タイトルのGIANT KILLINGって、どういう意味なの?」
「自分の中のGIANT KILLINGを起こせって、どういうこと?」
そんな疑問のある人は、この記事を読めばよりストーリーを楽しむことができます。
「これから読んでみようかな」と思っている方は、すぐにページを開きたくなりますよ。
「ジャイキリ」って、どんな作品なの?
原作は網本将也さん、作画はツジトモさん。2人のコンビで2007年から「モーニング」で連載中。
単行本は61巻(2022年7月時点)まで刊行。2010年にはNHKでアニメ化もされました。
★ちょっとあらすじ
リーグジャパンフットボールで毎年のように1、2部の降格争いに顔を出す低迷中のクラブチーム「ETU」。そんなチームに、かつてのエース達海猛が監督として帰還。現役時代は独創的なアイデアとプレーでチームをけん引し、日本代表に選出。英プレミアリーグにも移籍したカリスマプレーヤー。チャランポランな言動は指導者になっても変わらず。監督なのにチームから反発を受ける問題児。それでも個性的な指導方法、鋭い観察眼、戦術眼でチームを再生させていく。
そんな達海が信条としているのが「GIANT KILLING」。
この信条の下で展開される達海の指導、指揮、戦術がズバズバ決まる。弱者の「ETU」が強豪チームを倒していく。
そんなストーリー展開が読者を魅了しています。
★「GIANT KILLING」の意味
作品のタイトルとなっている「GIANT KILLING」の意味もくわしく解説します。
英語で「弱者が強敵を倒す」。スポーツではよく使われる言葉。特に欧州サッカーではひんぱんに飛び出しています。
試合前の下馬評で「絶対に勝てない」と思われていた弱小チームが、強豪に競り勝ちしたり、完勝したりするケース。
コーフンと選手たちへのリスペクトを込めて「GIANT KILLING!!!!」という感じで使われています。
日本でいうと、相撲の取り組みで使われる「大番狂わせ」「金星を挙げる」などと同じ。
日本サッカー史上でも「GIANT KILLING」は起こりました。
最大なものとしては1996年のアトランタ五輪。男子サッカーのグループリーグD組で行われた対ブラジル戦。
FIFA(国際サッカー連盟)ランキングで常に上位にいるサッカー王国に対し、日本代表が1-0で勝利しました。
日本サッカー史上に刻まれる大金星として日本列島は大コーフン。
会場名から由来した「マイアミの奇跡」として、いまも語り継がれています。
そして2022年のワールドカップ・カタール大会。
1次リーグE組で日本はドイツ、スペインとW杯で優勝経験のある強豪国に逆転勝ち。
日本列島では「ドーハの奇跡」と称賛され、国民は大歓喜。欧州の強豪に競り勝ちできる実力があることを証明しました。
1.主人公・達海猛は「GIANT KILLING」の体現者

現役時代の達海は、その当時でも弱小だった「ETU」のスター選手。エース。
ズバ抜けたテクニック、独特な戦術眼と創造的なアイデアを駆使してチームをけん引。
日本代表に選出され、さらには英プレミアリーグのクラブにも移籍します。
海外移籍の直後、足の古傷が悪化し現役を引退。大きな挫折を経験しました。
「フットボールの神様」に与えられた試練。
達海は「自分の中のGIANT KILLING」を起こし、試練に立ち向かう。
現役時代の自分自身の特徴だったスキルを指揮官として使い、生かすんです。
達海は英国の5部リーグに属するアマチュアチームの監督になる。選手の個性と技術をどう生かすかを熟考。自分の戦術スキルも駆使してチームを編成。彼の教えを理解したチームは2部のプロチームを破るなど大躍進。英国のカップ戦「FAカップ」ではベスト32に進出。16強入りを狙った試合でイングランド代表がいる強豪クラブと接戦。2-3で敗れたが観衆やチーム本拠地の街は大熱狂。「またタツミがGIANT KILLINGをみせてくれるさ」と称賛する。このゲームを見た「ETU」のフロントが達海の招へいを決意。達海は古巣に指揮官として帰還する。
★復帰した古巣でもスキルを駆使
古巣の「ETU」では、達海はチャランポランで適当なことばかりしてチームを困惑させます。
でも、これはズバ抜けた観察・洞察力で選手たちの持っている力を測るためでした。
短距離走を何本も走らせる。疲労してからスピードがどれだけ落ちないのか試し、身体能力を把握する。練習メニューを丸投げ。選手がチームのためにどんな行動にでるのか、草むらから観察。選手一人一人が抱える課題や性格なども、選手の学生時代の恩師や関係者に直接取材したりして分析する。すべては勝てるチームをつくるため、任せたい役割にフィットするかを見ている。
その手腕によって再生されたチームは、化学変化を起こしたような変身を遂げます。
ライバルクラブに脅威を与え、サポーターたちには「GIANT KILLING」を予感させるんです。
指導者としての達海は、組織論としては型破りですが実に魅力的。
「こんな上司がいたらなあ」なんて思わせる。
でもピッチで戦うのは、あくまでもプレーヤー。いかに指揮官が優秀でもチームが勝たなきゃ意味がない。
そこで達海が見い出したのが、「GIANT KILLING」の素養を秘めた準主役・MF椿大介(つばき・だいすけ)です。
2.自分のカラを破ることができなかった準主役・MF椿大介の進化
![]() |
「GIANT KILLING」は選手、サポーター、読者を熱狂させる |
椿は相手ディフェンダーを置きざりにする、とんでもないスピードとセンス&潜在能力がある。
なのに自分に自信が持てず、人見知りで自分を主張できない。チームでもサテライト(2軍)でくすぶる新人選手。
自分のカラを破ることができない。一方で、そんな自分を「変えたい、サッカーがうまくなりたい」。
ずっと悩みながら、心と体がマッチしない状態が続いていました。
それを見抜いた達海は、彼の高校時代の恩師らに事情を聞くなど指導方法を模索。そして、
「責任は全部おれがかぶるから、好きなようにやってこい」「お前はとんでもないものを秘めている。日本で一番のフットボーラーになれる」「おれを信じて何も考えずボールを蹴ってこい」
そんな名セリフを起爆剤として与えて、椿の中にたまっていた「GIANT KILLING」というガスを爆発させるんです。
★「達海2世」への変身と五輪代表&A代表へ

達海による指導の下、椿は覚醒。チームの新エースとして躍進し五輪代表、さらにはA代表にまで招集される選手に進化していきます。
ピッチの中で、椿はとんでもないスピードとテクニックを発揮してチームをけん引し、リーグの中で注目を集める。時には以前までの自信のない「自分」が顔を出して、ミスをやらかしたり、大きな挫折を味わう。その度に「このままじゃ、今までと同じじゃないか。何も変わらない」と奮起。チームを優勝争いできる位置に押し上げる。自身もU-22五輪代表,さらにはA代表に選出されるプレーヤーに成長。「達海2世」とまでいわれるようになる。
達海は自身が理想とする「フットボーラー」を椿に投影し、指導することで獲得します。
椿は「自分の中のGIANT KILLING」を起こして爆発的に進化。海外クラブがオファーをかけるほどの選手に成長していきます。
3.ベテランMF村越茂幸らチームメートの進化

椿の「GIANT KILLING」による覚醒は、チームメートたちの化学反応を誘発させます。
その最たる例が「ミスターETU」。低迷したチームをけん引してきたベテランMF村越茂幸。
村越は本来、ボランチとして守備の要を務めつつ、豪快なミドルシュートなど攻撃参加もできる選手でした。
でも達海が海外クラブへ移籍し、エースを失ったチームを支えるために主将として奮戦。そのため、プレーが守備的になっていました。
村越は達海に「チームを背負いすぎるな」と主将から外され、1人のフットボーラーに立ち戻る。覚醒する椿を見て、主将だった自分の立ち位置とプレーヤーとしての葛藤に苦しみながら「今の俺になにができる」と模索する。
そして村越も「自分の中のGIANT KILLING」を起こします。
★読者の心を揺さぶるベテランのスーパーゴール
コミックス第3巻の第20話、プレシーズンマッチでの東京ヴィクトリー戦。
チームを支えるために守備的なプレーに終始していた自分自身を変えるんです。
自陣内でボールをタッチした村越の脳裏に達海の顔が浮かび上がる。一人のフットボーラーとして、ピッチでやるべきことは何か。ドリブルで中盤に一気に切り込み、豪快なミドルシュートを決める。
ボールがゴールネットを揺らした瞬間、会場は静寂に包まれる。ピッチにヒザを落として腕を突き上げる村越に遅れて、大歓声がわき起こる。
この作品の序盤で屈指の名シーン。多くのファンをトリコにして、ワタシもハマりました。
椿と村越の覚醒は、他のチームメートたちの化学反応を誘発させチームも進化する。
シーズンに入ると、チームはリーグの強豪やライバルを倒して「GIANT KILLING」を連発。
熾烈な優勝争いを演じてサポーター、サッカーファンを熱狂させていくんです。
4.「自分を変えたい」と悩む読者たちの背中を押してくれる
「GIANT KILLING」が作品タイトルとして使われている理由。
それは読者に「このマンガではドキドキ、ワクワクさせるGIANT KILLINGをお見舞いするぞ!」。
そんな意味のメッセージが込められています。
この作品を読んでいると、展開にワクワク&ドキドキしながら「自分も椿のように変身してみたいな」なんて気持ちになってきます。
その舞台は、決してサッカーだけには限らない。
学生さんなら自分が所属する部活、社会人なら自分が働く職場。
自分が持つスキルや可能性を信じて「このままじゃ今までと同じだ」「自分は変われるんだ」。
自分を変えるために、一歩前に進むんだー。この作品は読者のそんな思いを揺さぶるんです。
★自分も変わることができる
「自分の中のGIANT KILLINGを起こせ」。
作品のテーマに背中を押されたことで、読者は直面する「強者」を倒す「番狂わせ」を起こそうとする勇気と決意をもらう。
主人公・達海、準主役の椿、ベテラン村越らチームメート。そして読者に化学反応を誘発していく。
これこそ「GIANT KILLING」が誘発する進化への化学反応。そして作品が読者をトリコにする魅力なんです。
まとめ・ストーリーはリーグ初優勝をかけて最高潮に
ここまで主人公・達海による「GIANT KILLING」が誘発する進化への4つの化学反応について紹介&解説してきました。
- 主人公・達海猛は「GIANT KILLING」の体現者。
- 自分のカラを破ることができなかった準主役のMF椿大介の進化。
- ベテランMF村越茂幸らチームメートの進化。
- 「自分を変えたい」と悩む読者の背中を押してくれる。
タイトルの意味に込められた、上記の4つの化学反応こそ作品の魅力。読者をトリコにする秘密でもあるんです。だから、
「タイトルのGIANT KILLINGって、どういう意味なの?」
「自分の中のGIANT KILLINGを起こせって、どういうこと?」
そんな疑問のある人は、この記事を読めばよりストーリーを楽しむことができる。
「これから読んでみようかな」と思っている方は、すぐに作品のページを開きたくなる。
そして日々の生活に悩み、煮詰まっている人も、ぜひ作品を読んでください。
「自分もGIANT KILLINGを起こすんだ!」と背中を押してもらえて勇気をもらえますよ。
「自分の中のGIANT KILLINGを起こせ」という作品コンセプト。
連載がスタートして15年(2022年11月時点)がたっても、決してブレていません。
そして「ETU」の「GIANT KILLING」は、これから最高潮に達します。
コミックス第61巻では、初めてのリーグ優勝をかけた大一番に向かうETU戦士たちの姿が描かれています。
チームは大舞台で「GIANT KILLING」を起こすことができるのか⁉︎ 今後のストーリー展開がホント楽しみです。
当ブログでは、ほかにもスポーツマンガを紹介しています。ぜひお読みください。
「GIANT KILLINGをすぐ読んでみたい」という方は、スマホなどでダウンロードすればすぐに読める電子書籍版がオススメ。
「ebookjapan」「コミックシーモア」などのマンガストアなら無料で試し読みができますよ。
0 件のコメント:
コメントを投稿