漫画家さんって、本当にスゴい。だからリスペクトしています。
一方でいろいろな事情があって、漫画家さんが完結することができなかった作品もたくさんあります。
漫画家さんが病気などで体調不良になったり、掲載雑誌での人気が上がらなくて連載打ち切りになったり。
もしくは掲載誌が休刊・廃刊になってしまったり…。
だけど未完や休載になった漫画でも、名作や人気作がたくさんあるんです。だから、
「掲載打ち切りで泣かされた名作といえば何を思い浮かべますか?」
「人気があったのに未完のままで終わった作品を教えて!」
「人気があるのに休載している作品はありますか?」
そんな漫画ファンの声が多いんです。
この記事では、人気があって話題になったけど打ち切りや休載になってしまった「未完・休載漫画」でオススメの名作をチョイス。
- 「ドリフターズ」(著者、平野耕太さん)
- 「バガボンド」(著者、井上雄彦さん)
- 「石神伝説」(著者、とり・みきさん)
- 「ビー・バップ・ハイスクール」(著者、きうちかずひろさん)
- 「惑星をつぐ者」(著者、戸田尚伸さん)
上記の5作品について紹介&解説します。
5作品はいずれも名作ばかり。だから、この記事を読めばナットク&マンゾク。
人気がありながら未完に終わり、休載している名作のことがよく分かる。
さらに作品を手にとってページを開きたくなりますよ!
この記事を書く理由=未完・休載から再開した作品はたくさんある
連載打ち切りは漫画家さんや読者にとっても痛恨事 |
★体調不良・打ち切り・休載は漫画家さんの宿命
漫画家さんにとって、作品の休載や打ち切りは常に可能性があるもの。宿命ともいえます。
漫画業界は人気商売。掲載する雑誌は「人気があって売れる作品」が大前提ですから。
漫画家さんにしても、ハードな漫画制作の日々の影響で疲労がたまって体調を崩したり病気になるリスクもある。
〝漫画の神様〟手塚治虫さんでさえ、代表作の「火の鳥」や「ネオ・ファウスト」「バンパイア(第2部)」などが未完のまま。
ほかにも山田貴敏さんの「D r . コトー診療所」、冨樫義博さんの「 H U N T E R × H U N T E R 」など。
そんな大御所作家さんでさえ宿命に苦戦していたわけですから、漫画家って、ホントに大変な商売ですよね…。
★何年かかってもファンは作品の再開を待っている
そんな厳しい漫画業界ですが、休載から何年たっても再開を待っている熱いファンはたくさんいるんです。
そんなファンの思いに応えるために、そして作品を完結させたいという漫画家さんの気持ちから、連載が再開された作品もありました。
例えば昭和のギャグ漫画の代表といえる、江口寿史さん。
そして「週刊少年ジャンプ」で掲載した大ヒット作「ストップ ‼︎ ひばりくん!」。
ひばりくんの完成度へのこだわりから締切に間に合わなかったり、重圧から逃亡したりして1985年に連載終了(打ち切り)。
でもファンからの再開を望む声を受け、2009年に加筆・修正した「コンプリートエディション」を刊行。
2010年に最終話を描き上げ、連載終了から27年かけて作品を完結させています。
そんな事例もあることから、次項から紹介する5作品も「再開してほしいなあ」というワタシの願望がある。
これがこの記事を書く最大の理由です。
1.「ドリフターズ」
★壮大すぎる S F 歴史ファンタジー
著者は平野耕太さん。代表作は米ハリウッドで実写映画化が進んでいる「 H E L L S I N G 」などがあります。
「ドリフターズ」は「ヤングキングアワーズ」2009年6月号から連載中。
コミックスは2024年1月時点で計7巻が発売中で、累計発行部数(2016年時点、第1〜5巻まで)は350万部超。
テレビアニメ化もされて、2016年10月から12月まで「 T O K Y O M X 」などで全14話が放送されました。
とにかく壮大&バイオレンスすぎる、アクション系歴史ファンタジー作品です。
古今東西の歴史上の武人・賢人・極悪人が異世界に召喚され、集結。
召喚者たちは「漂流者(ドリフターズ)」と「廃棄物(エンズ)」に分かれ、激しすぎるバトルを展開するんです。
次から次へと歴史上のクセのあるキャラが登場して、これでもか!というくらい大暴れします。
★作品のあらすじ
主人公は島津豊久。戦国時代の薩摩(鹿児島)など九州に君臨した島津一族の勇猛すぎる武将。実在した人物です。
豊久は1600年に起こった関ヶ原の戦いで西軍側に参戦。西軍は敗退し、島津勢は東軍陣を中央突破して戦場を離脱しました。
世にいう「島津の退き口」。豊久は総大将・義弘を逃すために「シンガリ」として戦場に残って奮戦し、(歴史上は)討ち死…。
豊久は先に召喚されていた織田信長や那須与一らと出会う。彼らは異世界で「漂流者」と呼ばれていた。異世界では人間が支配するオルテ帝国がエルフらを虐げている。豊久らはエルフらを解放するため「国奪り」を目指す。一方、北方ではやはり謎の存在「 E A S Y 」によって召喚された「廃棄物」が集結。黒王をリーダーに頂き、人類を滅ぼすため「人ならざる者」=モンスターによる大軍で進撃を始めていた…。
ただ違いがあって、「漂流者」は豊久、信長、与一、さらに古代カルタゴの将軍ハンニバルら歴史に勇名をとどろかせた武人たち。
「廃棄物」は新撰組副長の土方歳三、フランスの「聖女」ジャンヌ・ダルク、信長を倒した明智光秀ら。
いずれも恨みを飲んで不運の死を遂げた者ばかり。
だから双方に因縁が重なったりして、ハードすぎる人間模様も面白いんです。
★休載&再開を繰り返して
平野さんの作風の特徴は、ベタ(黒)を使って陰影を強くすることで迫力たっぷりの画風。
さらにキャラのセリフのちょっと大仰ないい回し。キャラがメチャ立っています。
「ドリフターズ」も薩摩隼人である豊久の強烈で果敢なキャラがカッコ良くて大人気です。
ただ2009年からスタートした連載は、休載と再開の繰り返し。ちなみに2023年は2回だけエピソードが掲載されました。
原因は平野さんの体調のようです。平野さんは休載中も S N S の X(旧ツイッター)に投稿をされていて、近況も明かしています。
2022年11月には胆石による胆管閉塞の内視鏡手術を受けたことや、胆石が原因と思われる膵(すい)炎を報告しています。
とにかく漫画家稼業はハード。体調に苦しみながら制作活動している漫画家さんが多いです。
一方でXへの投稿を読む限り、お元気そう。平野さんは遅筆ともウワサされています。
でも、あれだけの壮大なストーリーと迫力がある画風。作品を制作する時間や労力は相当なものであることは間違いなし。
代表作「 H E L L S I N G 」も1998年から2009年まで、実に10年かけて完結させています。
平野さんの状況から推察すると、作品が打ち切りになったり未完で終わる可能性は低そうです。
2023年8月に発売された最新7巻では、「漂流者」信長を本能寺で倒した光秀が「廃棄物」として登場。
因縁が渦巻く中、黒王の軍団の猛攻も激しくなる、メチャ気になる展開になっているだけに1日も早い連載再開を期待しちゃいます。
2.「バガボンド」
★宮本武蔵を平成のヒーローにした名作
著者は井上雄彦さん。代表作は、バスケ漫画で先ごろアニメ映画化された「 S L A M D U N K 」など。
井上さんはキャラの肉体をリアルに描写する作風。キャラの動きは躍動感に満ちて迫力満点。
そんな作風を、作家・吉川英治さんの名作「宮本武蔵」を原作とした作品に注ぎ込んだのが「バガボンド」です。
「週刊モーニング」で1998年から連載中。単行本は計37巻が発売中。累計発行部数は2020年時点で8200万部と大人気。
2000年に第4回文化庁メディア芸術祭マンガ部門大賞、2002年には第6回手塚治虫文化賞マンガ大賞を受賞。
ファンはもちろん、出版関係者からも高い評価を獲得しているんです。
主人公は戦国・江戸初期の剣豪・宮本武蔵。武者修行の末に二天一流(二刀流)を編み出した実在した兵法者です。
吉川さんの原作では、足軽の身分で参戦した関ヶ原合戦で落武者となった武蔵が剣の道を突き進む半生を描いています。
井上さんは、吉川さんの〝武蔵〟の世界観をベースに独自のアレンジも加え、「バガボンド(漂流者)」として武蔵を描いています。
★作品のあらすじ
ストーリーは吉川さんの原作をほぼ踏襲しています。
主人公は作州宮本村(現在の岡山県東北部)に住んでいた十手術の達人、新免無二斎の息子・武蔵。
武蔵は追手から逃れるため宮本村に潜伏。だが禅僧の沢庵にさとされ、剣の道を極めることを決意。「宮本武蔵」と名を改め、武者修行の旅に出る。京では大流派の吉岡流に挑戦し多くの門弟たちを打ち破ったが、当主の吉岡清十郎、伝七郎の兄弟に苦戦。再び修行の旅へ。武蔵は槍術で武勇をはせる宝蔵院流と剣を交え、柳生の里では領主・石舟斎の奥深い剣に遭遇。成長を続けていく。
井上さんは小次郎を耳が不自由な人物として設定。イノセント(無邪気)な性格を強調しています。
この井上さん独自のアレンジが、小次郎の「剣の天才」ぶりを見事に演出しているんです。
そして武蔵、小次郎という2人の剣の天才は、やがて巌流島の決戦で雌雄を決することになるんですが…。
★2015年から休載…
実は「バガボンド」、2015年2月の掲載を最後に休載中なんです。
理由は、井上さんの体調面といわれています。
井上さんは監督を務めた映画「THE FIRST SLAM DUNK」公式サイトで、インタビューに応じています。
バガボンドは自分の幅を広げてくれた作品で…って、まだ終わってないんですけど。もうね、早く描きたいんです。描きたい気持ちはあるんです。ただ、描けないっていうだけで。
作品=モノを創り出す難しさ。ある精神的なピークを迎えてから、リスタートすることの難しさ。
心が動かなければ、体も動かない。そして再び動き始めることに苦しんでいる。そんな印象を受けたんです。
もう少し時間をかければ、井上さんの心がリスタートする時がくると思います。
吉川さんの原作自体、読めば頭の中に武蔵が闘うイメージが浮かび上がる名作です。
でも「バガボンド」は原作のイメージをさらに上回る圧倒的な迫力がある。だから最後まで読みたい!
ファンとして、井上さんの心がリスタートする瞬間を心待ちにしています。
3.「石神伝説」
★ギャグ漫画の鬼才が放つ伝奇ホラー
著者はとり・みきさん。不条理でナンセンスなギャグが最高に面白い作家さん。
代表作は「るんるんカンパニー」や「クルクルくりん」「遠くにいきたい」(第41回文藝春秋漫画賞)など多数。
漫画のほかにも多くのエッセイや評論本、アニメ映画の脚本を書いたり。
漫画家・ヤマザキマリさんらと「とりマリ&エゴサーチャーズ」というバンドで活躍。
さらにギャグ漫画家&イラストレーターの江口寿史さんとのフォークデュオ「白い原稿用紙」など音楽でも活動中。
とにかく多彩な才能を披露している人です。
その才能は本業の漫画でも発揮。ギャグだけじゃなく S F や伝奇ホラー作品もたくさんあって「石神伝説」はその1つ。
「月刊コミックビンゴ」1996年7月号から1999年5月号まで連載。コミックスは計3巻が発売されています。
伝奇作家といえば諸星大二郎さんや星野之宣さんが有名ですが、「石神伝説」はお2人の作品に負けない本格伝奇ホラーです。
★作品のあらすじ
世界の各地には巨石にまつわる遺跡や伝説がたくさんあります。そして日本もまたしかり。
東京・氷川神社の夜泣き石。九州・八女の石人山古墳。出雲や岡山・吉備地方、奈良の三輪山など。
巨石を御神体にしたり、神が鎮座するといわれる磐座(いわくら)があったり。
そんな各地の巨石にまつわる伝奇ストーリーがメチャ面白いんです。
駆け出しの新聞記者・真里は、取材中に地下鉄工事の現場で突じょ出現した遮光器土偶を目撃。謎の土偶を奈良・石上神宮に奉納されている七支刀で調伏する自衛官・石上の姿を目にした。国内各地の磐座を企画取材することになった真里は、九州・八女などの遺跡・神社などで不思議な少年・白鳥と出会う。行く先々で白鳥と遭遇するたびに、巨岩遺跡が動いて人々や町を襲う超自然現象が発生する。大惨事の現場には石上も現れ、物部流の呪術で巨岩遺跡を調伏していく。
白鳥が出現する場所は、いずれも神代の時代の英雄・ヤマトタケルが征服した〝鬼〟たちを封じたとされる因縁がある。真里も、大和朝廷の重臣・物部氏に滅ぼされた葛城氏の末裔で強い霊能力の持ち主。白鳥は各地の〝鬼〟たちの封印を解き、大和朝廷への恨みをはらすため真里の協力を仰いでいた。
★掲載誌の休刊で未完に…
ストーリーは、神が降りる山として信仰されてきた岩木山などがある青森の津軽地方を舞台に移したところで終了。
未完となっていて、ストーリーにハマったワタシは続きが読みたくてかなりガッカリしました(涙)。
なぜ未完になってしまったのか? 掲載誌が休刊になってしまったからです。
残念ながら話半ばで掲載誌が休刊となり、この3巻目が暫定の最終巻となっています。こうした場合、連載マンガはたいがい無理矢理まとめて終わらせてしまうことが多いのですが、作者としては連載再開に一縷の望みをかけて、あえて話を「引く」形で中途半端に終わらせています。
再開場所を得られなかったのは、作者の力不足というほかありません。
4.「ビー・バップ・ハイスクール」
★昭和のツッパリたちのバイブル
著者はきうちかずひろさん。「サル番長」や「 M I ー4」などの作品を発表されています。
でも、何といっても「ビー・バップ・ハイスクール」が代表作! 昭和のツッパリたちやヤンキーたちを熱狂させた名作です。
「週刊ヤングマガジン」で1983年から2003年まで、実に20年にわたって連載。
コミックスは全48巻が発売されています。
主人公の高校生のツッパリ留年コンビが、長ラン&短ランとボンタンにリーゼントを決めて大暴れ。
ケンカや恋に明け暮れるツッパリたちの日常が、昭和の若者たちの心にグサリ。コミックス累計発行部数4000万部のヒット。
1988年度の第12回講談社漫画大賞の一般部門賞を受賞しました。
実写映画化もされて、仲村トオルさんと清水宏次朗さんのダブル主演で大ヒット。6作品が全国で公開されました。
★作品のあらすじ
主人公はヤンキーの2人。私立愛徳高校に通うツッパリくんたちです。
リーゼントパーマの加藤浩志(ヒロシ)、ストレートヘアでリーゼントを決める中間徹(トオル)。
ともに2年時に留年したダブりコンビ。2人ともケンカ上等だけど、ヒロシは軟派タイプでときどき卑怯な手も辞さない男。
トオルは硬派で正面突破のケンカスタイル。2人の強さは互角だけど、基本的に弱いモノいじめはしません。
ヒロシは長ラン、トオルは短ラン。ぺちゃんこにつぶした学生カバンを片手にケンカに恋バナと高校生活をエンジョイ。
だけど街中でイキってるんで、他校のヤンキーたちとの抗争に発展したり。
ケンカでは完勝ばかりじゃなくて、しっかり負けることも。特にヤクザとの遭遇ではビビったり。
腕っぷしの強さだけじゃなく、弱さも見せるあたりがキャラの魅力になっています。
さらに、おっちょこちょいでオチャメな姿やギャグも披露。
硬派と軟派がうまくミックスされたストーリー展開と、ヤンキー高校生たちのリアルな日常が中高生たちのハートにヒット。
ツッパリくんだけじゃなく、フツーの中高生たちからも支持を獲得したんです。
★時代の流れでツッパリ文化に変化
「ビー・バップ・ハイスクール」は1983年のスタートから人気となり、2003年まで連載が続きました。
でも最後はヒロシとトオルが苦手なヤクザに立ち向かうエピソードで終了。ストーリーが完結する〝絞め方〟ではありませんでした。
人気作品の継続を望む編集部サイドに、きうちさんが〝待った〟をかけたとか。
最終話「高校与太郎大胆不敵」の掲載後、作品は無期限休載という形で連載が中断。
きうちさんが編集部と出版元の講談社に作品の終了を伝えたため、連載終了が決まったそうです。
要するに、作品は形式上は休載だけど未完のまま終了しているんです。
きうちさんは現在「木内一裕」の名前で小説家として活動中です。ではなぜ、きうちさんは作品の終了を申し入れたのか?
作品を連載している間、きうちさんは作品を読んだ読者への悪影響を気にしていたと言われています。
読者がヒロシやトオルのように大暴れして、危険な目に遭うことを心配したんですね。
そして、時代は昭和から平成に移り、世間の不良観にも変化が生じた。つまり昭和のツッパリは、平成にはマッチしなかった。
確かに長ラン&ボンタンでリーゼントなんて姿は、平成の時代には見かけなかった気がします。
でも令和の時代だからこそ、昭和のツッパリたちの日常はミスマッチで面白いかも ⁉︎
平成を越えて令和に生きるオッサンになったヒロシとトオルの〝その後〟を読んでみたい。
そしてヒロシとトオルの物語の本当の〝最終回〟を見てみたい。ビー・バップ世代のワタシは切に願っています。
5.「惑星をつぐ者」
★ジャンプでは珍しい本格 S F バトル
著者は戸田尚伸さん。1993年の手塚賞に「不死を狩る者」で準入選した実力者。
連載作品は多くないですが、「そして野獣は甦る」などたくさんの短編作品を発表しています。
「惑星(ほし)をつぐ者」は「週刊少年ジャンプ」1995年41号から49号まで連載。
全9話を収めたコミックスは全1巻。紙の単行本は「Amazon」では3980円とプレミア価格!
ただ電子書籍化もされていて、各ブックストアで購入することができます。
ストーリーは本格的な S F バトル。われらが地球がある銀河とは別の銀河系の星々が舞台。
少年ジャンプといえば、「友情・努力・勝利」の漫画3要素を基本とした作品を発表している雑誌。
作品にはストーリーにギャグや恋愛などの要素も加えて、メリハリを効かせたりしています。
でも「惑星をつぐ者」は、S F 映画のようにクールでシリアス。ジャンプでは異質の作品なんです。
★作品のあらすじ
「知られざる宇宙」にはさまざまな異星人がそれぞれの存亡をかけて進出。地球の人類も同様だった。だが異星人に比べて肉体がぜい弱な人類は、異星の過酷な環境に苦しみ衰退。人類は生き延びるために厳しい環境をこらえるか、異星人の奴隷になるしかなかった。
ナイブスはかつて自身の母星マリスで、全住民を皆殺しにした罪で全宇宙規模の賞金首になっていた。ナイブスは科学者で、人類が生き抜くための特殊細胞「タフブースター」を開発。細胞を自身に植え付け適合者となった。だが共同開発者の「J」が全住民に細胞を植え付けたが失敗。住民らは暴走してナイブスに襲いかかった…。
ナイブスは失敗した研究成果を抹殺するために「J」を追跡し、宇宙を旅していたんです。
★打ち切りも高クオリティで評価が急上昇
本格的 S F で主人公もクール。カッコ良さにギャグを加える作品が多い週刊少年ジャンプで「惑星をつぐ者」は異質でした。
でも異質さから読者人気は上がらず、連載は途中で打ち切りに…。完結はしているけど戸田さん的には〝未完〟といえる状態です。
作品を読みましたが、途中のエピソードを再構成して全9話にまとめて完結させた感じです。
ジャンプの読者層は主に小中学生。過酷な環境で虐げられる人類の姿やシリアスなナイブスの姿はクールすぎたかもしれません。
やはりジャンプ掲載作品で大人気だった寺沢武一さんの S F 作品「コブラ」も、クールな主人公にお茶目さを加えた設定をしていました。
戸田さんの絵柄も劇画タッチ。ジャンプの読者層が好む絵柄と違っていた感じがします。
でも連載終了から作品の評価は急上昇。「伝説の打ち切り漫画」として漫画ファンに語り継がれているんです。
再評価された理由は、ストーリーと描写のクオリティーの高さ。S F 映画化できるほどの面白さと精度があるんです。
ナイブスは細胞で強化された肉体と全宇宙最強の異星人グール種族の伝説の武器「自在剣(スパイラル・ナイフ)」を手にします。
賞金狙いで襲いかかる異星人を倒していきますが、そのバトルシーンが圧巻、カッコいい!
その異星人の姿が、 S F 映画ばりのクリーチャー(怪物)ぶり。前述した「コブラ」に登場するエイリアンたちに負けていない!
全9話には再構成して短縮させたと思わせる部分があります。でも再構成したストーリーがしっかり完結しているのがスゴい!
これだけのクオリティーがあるだけに、戸田さんが構想していた全エピソードを加えた〝完全版〟はどんな感じなんだろう ⁉︎
だからワタシは、戸田さんによる〝完全版〟の発表を心の底から期待しているんです。
まとめ・ぜひネットメディアでの再開を検討してほしい
今はネットという素晴らしいメディアがありますよ |
ここまで人気があって話題になったけど打ち切りや休載になった「未完・休載漫画」でオススメの名作を紹介。
- 「ドリフターズ」(著者、平野耕太さん)
- 「バガボンド」(著者、井上雄彦さん)
- 「石神伝説」(著者、とり・みきさん)
- 「ビー・バップ・ハイスクール」(著者、きうちかずひろさん)
- 「惑星をつぐ者」(著者、戸田尚伸さん)
上記の5作品について解説してきました。
5つの作品はいずれも名作ばかり。ただ漫画家さんが体調不良になったり、掲載誌が休刊になったり。
もしくは掲載当時は不人気で打ち切られたけど、後になって評価が急上昇したり。だから、
「掲載打ち切りで泣かされた名作といえば何を思い浮かべますか?」
「人気があったのに未完のままで終わった作品を教えて!」
「人気があるのに休載している作品はありますか?」
そんな疑問のある漫画ファンの方にはピッタリで、ぜひ手にとって読んでいただきたい作品です。
漫画雑誌には、作品に人気がなければ売り上げに関わるだけに掲載を打ち切らざるを得ない宿命があります。
紙資源は有限で、雑誌離れが加速しているという事情もある。一方で電子書籍版やネットメディアの人気は上昇中です。
ネットメディアには「限られた誌面」という紙媒体事情を超えて、作品を掲載するためのキャパがメチャ広いという特性があります。
さらには、読者自らが「読みたい作品」を簡単に探せる特性もある。
ワタシは、これらの特性があるネットメディアなら「未完・休載漫画」が大人気になるんじゃないかと思ってます。
この記事で紹介した5作品のほかにも「未完・休載漫画」の中には人気があったり、休載後に評価が上がった作品がたくさんあります。
出版メディアには、ぜひ検討していただきたいところです。
当ブログではほかにも面白い漫画を紹介しています。ぜひご覧ください。
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