「ルックバック」なぜ面白い⁉︎漫画やイラストの創作経験がなくても感動して心に刺さる3つの魅力

2024年8月3日土曜日

マンガを楽しむ

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漫画創作に熱中するひたむきな姿が人気

だれもが共感し号泣してしまう「最高傑作」の秘密


漫画が大好きで、ひたむきに漫画家を目指す2人の少女を描いた漫画「ルックバック」。


2024年6月に公開されたアニメ映画は大ヒットし、原作漫画も大人気です。


特に漫画やイラスト、絵画を描いているクリエーターの方たちが高評価。漫画創作の描写の絶妙さを称賛しています。


また漫画などの創作経験がない人たちからも「号泣した」「映画は2024年の最高傑作」なんて感動の声が上がってます。


一方、物語では「衝撃的な事件」が発生する場面が社会的な話題になったり、終盤でパラレルワールド的な「不思議な展開」が発生したり。


その解釈をめぐってファンの間で熱い議論や考察が展開されています。それだけに、


ルックバックって面白いの? 漫画やイラストを描いたことがない人でも楽しめる?


原作やアニメの評判がすごいけど、どんなことが評価されているの?


ストーリーの中での衝撃的事件って、なんで話題になっているの?


終盤のパラレルワールドみたいな場面って、どう解釈すればいいの?


そんな声がたくさん上がっているんです。


この記事では「ルックバック」の内容や特徴や、「衝撃的事件」「不思議な展開」についても紹介。


  1. 1つのことに熱中した経験がある人なら必ず心に刺さるストーリー
  2. 京都アニメーション事件の犠牲者の方たちへの追悼ストーリー
  3. ストーリー終盤で展開する「不思議な展開」パラレルワールド

上記の3つの魅力について紹介&解説します。


この記事を読めば作品の詳細や面白さ多くの人の心に刺さる理由衝撃的事件」「不思議な展開」についてよく分かります


まだ作品を読んでいない人ならページを開きたくなり、すでに読んでいる方ならさらにストーリーを楽しむことができますよ。

「ルックバック」って、どんな作品なの?






★アプリ&サイト発信の長編読み切り作品


「ルックバック」は2021年7月に漫画アプリ「少年ジャンプ+」や同WEBサイトで公開。全143ページの長編読み切り作品です。


著者は大ヒット作「チェンソーマン」「ファイアパンチ」などが代表作の藤本タツキさん。


アプリでの配信開始から24時間で閲覧数が250万を記録するなど大反響。2021年9月には、コミックス全1巻が発売されています。


2023年5月に発表された「楽天 Kobo 電子書籍 Award 2023」の「1巻完結!読み切りコミック部門」で第1位を獲得。


さらに2024年6月には押山清高監督によるアニメ映画が公開。こちらも大反響を巻き起こしています。


作品は漫画やイラスト、絵画などのクリエーターたちから「号泣した!」「涙が止まらない」と絶賛されるなど大人気。


公開されているアニメ映画も「2024年の最高傑作」などと称賛の嵐が続いています。


★登場人物とあらすじ


主人公は漫画女子の2人藤野京本。この2人がストーリーを展開していきます。


藤野は小学4年生で、学年新聞で4コマ漫画を2枠連載。級友や家族から「漫画うまいね」と絶賛されていました。


一方で京本は不登校の状態。自宅で絵を描くのが好きな子どもでした。

ある日、藤野は先生から学年新聞で連載中の4コマ漫画の1枠を京本に譲ってほしいと頼まれる。

先生によると、京本は「学校には来れないけど、漫画は描いてみたい」と希望しているという。

藤野は「ちゃんとした絵を描くのって、シロウトには難しい」「学校にも来れない軟弱者に漫画が描けますかね」と見下す。

新聞に掲載された京本の4コマ漫画の画力が高く、同級生から「京本の絵と並ぶと藤野の絵はフツーだなあ」と酷評される。

藤野は京本の画力に驚き、彼女に勝つために努力を始めます。

「京本のヤツ、私が学校に行っている間に絵の練習してたんだ」。藤野は画力アップのための練習と努力を重ねる。

それでも京本の画力に追いつけず、6年生の途中から漫画を描くことを諦める。

京本の圧倒的な画力を目にして自信を失った藤野ですが、小学校の卒業式の日に転機を迎えます。

藤野は先生に京本の卒業証書を届けてくれと頼まれ、彼女の自宅へ。呼びかけても京本は部屋から出てこない。

藤野は彼女に「出てこい」と誘う4コマ漫画を描く。誤って落とした4コマの紙が扉のスキマを抜けて部屋の中へ。

4コマを見た京本が藤野を追いかけ「藤野先生のファンです!」と思いを告げる。

藤野は中学進学と同時に京本と「藤野キョウ」のペンネームでコンビを組み、漫画賞の受賞を目指して創作を始めるんです。

1.1つのことに熱中した経験がある人なら必ず刺さるストーリー


あの頃は漫画を描くだけで楽しかったなあ

★ひたむきに熱中していたあの頃


ヒロインの1人、藤野は京本の画力を知る前は〝井の中の蛙〟。


クラスメートや家族が口々に「うまい!」「天才!」とほめてくれるので、天狗になっていました。


でも、学年新聞に自分の作品と並んだ京本の漫画を見た瞬間、圧倒的な画力にうちのめされます。


藤野は口をあんぐり。驚きと「負けた…」という心情がめっちゃ分かる描写です。そして目に涙をためて、

「京本のヤツ…私が学校行ってる間に絵の練習してんだ…」

「4年生で私より絵がうまい奴がいるなんて、絶対に許せない!」

そう悔しがって、本屋さんでデッサンの専門書を買って絵の勉強や練習を始めるんです。

その姿はただただ、ひたむき。授業中でも絵を描いて。休み時間に友だちに遊びに誘われてもデッサンを続ける。


自宅でも家族とのだんらんの時間に1人、机にかじりついている。


そのシーンにはセリフはなく、大きめのコマで机に向かう藤野の後ろ姿を描いています。


大きめのコマでは、昼と夜が移り変わっていく。藤野の服も春・夏・秋・冬と季節ごとに変わっていく。


そして部屋の大きな窓から見える山は、春から夏にかけて緑が濃くなり、冬になると雪化粧をしている。


季節の移り変わりで「絶対にうまくなるんだ」とひたすら描きまくる、藤野の覚悟ひたむきさがメチャ分かる描写なんです。


これが、漫画やイラストなどを描いているクリエーターの方たちが「若かったあの頃を思い出す」と称賛する理由の1つです。


この描写、ホントに刺さるんですよ。絵や漫画を描いてなくても、中学や高校時代の部活の頃を思い出しちゃう。


自分よりうまくて、強いアイツ。「絶対に負けたくねえ!」と、部活での練習以外にも早起きしたり、夕飯後に夜練したり。


うまくなりたい一心で、ただひたすら練習していたあの頃がフラッシュバックするんです。


★同志と巡り会えた喜び


友だちからは「漫画ばかり描いてるとオタクだと思われてキモがられるよ」といわれる。


お姉さんからは「自分が通っているカラテ教室(後述)に来ればいい、内申書にも特記されるから」といわれる。


それでも藤野は描き続けたけど画力が京本に追いつかず、小学6年の途中で挫折。


友だちと再び遊び始めたり、お姉さんとカラテ教室に通ったり。ペンを折ってしまいます。


だけど卒業式に転機が訪れます。卒業証書を届けた際に京本と初めて顔を合わせ、彼女に「藤野先生」とラブコールされるんです。

「3年生の頃から藤野先生の漫画っ見てました。藤野先生のファンです。背中にサインください ‼︎」

「藤野先生は絵も話も5年生頃からどんどん上手くなっていって私、確信しました…藤野先生は漫画の天才です!」

「それなのにどうして…6年生の途中で4コマ描くのをやめたんですか?」

京本からの突然のラブコール! 藤野はクールさを装いながらまんざら顔で、

「ていうか今、漫画の賞に出す話考えてて、ステップアップする為にやめたって感じだけど」

「頭の中じゃ完成しかけてるし、あとは実質下書きとペン入れだけって感じだけど」

興奮した京本は「すごい!」「見たい!」。藤野は話ができたら見せてもいいよと約束して帰路につきます。

その帰路では雨が降ってくるけど、顔を紅潮させながら手を大きく振って凱旋行進するかのよう。


1ページを使って描写している凱旋行進は、ライバルからほめられ努力が報われた喜びがメチャ伝わってくる。


そして、漫画の賞を目指すための同志と巡り会えた喜びもあふれているんです。


ネーム作りも苦しいけど楽しい

★友だちと賞を目指す日々


2人は中学進学後にコンビを結成。「藤野キョウ」のペンネームで漫画創作に突き進みます。


京本は作画を担当。藤野の部屋にこもって背景などを描き進め、藤野が帰宅後は2人でひたすら机に向かいます。


京本が加わった部屋の描写も見事です。やはり大ゴマを使って四季の移り変わりとともに2人の服が変わっていったり。


部屋中に仕上げた原稿を散りばめたり。やがて部屋からは原稿がなくなる。1年かけて作品を完成させたことが分かるんです。


2人が持ち込んだ作品は、集英社の編集者が「絵も話もレベルが高い」と激賞。この言葉通り、見事に準入選。京本は、

「家で暇で…やる事なくて絵を描いてたけど…描いててよかったって思えた」

「藤野ちゃん、部屋から出してくれてありがとう」(後述)

そう感謝の言葉を藤野に送るんです。

準入選を皮切りに、2人は漫画家デビュー。読み切りを7本発表した後、高校卒業後という条件で連載も決まりました。


夢や目標に向かっていくための友だち、同志、戦友がいることは人生において最高なこと。


コイツが一緒だからこそ、がんばれる。仲間がいるからこそ、がんばれる。


この作品を読んでいると、あの頃の苦しくて、でも楽しかった思い出がよみがえるんです。


漫画好きのファンから「漫画やイラストを描いてなくても、この作品を楽しめるの?」という声がけっこうあります。


ワタシも漫画やイラストなどを描いたことはありません。


でもこの作品を読んでいると、中学や高校時代に「うまくなりたい」とひたすら練習した部活のことを思い出す。


めっちゃエモくなる、面白い作品なんです。


2.京都アニメーション事件の犠牲者の方たちへの追悼ストーリー


創作は楽しいことばかりじゃないね

★高校卒業後の進路で別れる2人


夢と目標だった漫画の賞と連載を勝ち取った2人ですが、再び転機が訪れます。


連載決定に喜ぶ藤野の一方で、京本はうかぬ顔。実は美大に進んで絵の勉強をするつもりだったんです。

京本「ごめん私…美術の大学に行きたい…から…だから連載手伝えない」

藤野「私についてくればさっ、全部上手くいくんだよ?」

京本「私…藤野ちゃんに頼らないで…1人の力で生きてみたいの」「もっと絵…上手くなりたいもん…」

京本は藤野と出会ったことで、ずっとこもりきりだった部屋から飛び出せることができた。

そして自分が目指したいことや、藤野に頼りきりだった自分を変えて1人でチャレンジできる可能性に気づいたんです。


京本は山形の美大に進学。一方の藤野は1人で上京し、漫画家として本格的に活動を始めます。


再び孤独な創作の世界に戻った藤野は、「藤野キョウ」のペンネームのままペンを握ります。


1人で机に向かい続ける藤野の背中の姿。1ページに4分割のコマを使って時間の経過を表現しています。


そして孤独な時間の経過とともに、連載作品「シャークキック」の単行本の巻数が増えていく


セリフはないけど、藤野の後ろ姿を使って孤独な時が過ぎていく描写は見事という言葉に尽きます。


そして、自力で長期連載作家になった藤野は「衝撃的な事件」に直面するんです。


★京アニ事件をほうふつさせる


連載作家になり東京で創作活動を続ける藤野に、衝撃的なニュースが飛びこんできます。

2016年1月10日、山形の美術大学で住所不定の男が斧のような物で学生らを切りつける事件が発生。

12人が死亡し3人が重傷。逮捕された容疑者の男は「ネットに公開した絵を(学生に)パクられた」と供述。

とんでもない大惨事の犠牲者の中に、京本がいました。ショックを受けた藤野は漫画の連載を休止します。

京本を襲った大惨事。2019年7月に発生した「京都アニメーション放火殺人事件」がモデルではないかといわれています。


現在公判中(2024年7月時点)の被告は、動機として「自分の小説をパクられた」と供述。


誇大妄想といえる動機からの凶行で死者36人重軽傷33人。明治以降では太平洋戦争を除き最悪の犠牲者数となりました。


また2007年1月にマンガ学部の男子大学生が犠牲になった「京都精華大学通り魔殺人事件」がモデルだと指摘する声もあります。


いずれも漫画や絵画を志す人たちが犠牲になっていますが、やはり京アニ事件がオーバーラップしているイメージを感じます。


京本を襲った犯人と、京アニ事件の被告の動機=「作品(絵、小説)をパクられた」が似ていること。


さらには「京本」が京アニ事件を連想させるという声が、ファンや有識者たちから湧き上がりました。


そして湧き上がった声を受けて、さらに騒動が巻き起こったんです。


表現をめぐって作品の修正が重ねられた

★凶行犯のセリフや報道表現の変更


山形美大通り魔事件」をめぐっては、ファンから「京アニ事件」や「京都精華大学通り魔殺人」がモデルとの考察が上がりました。


さらに精神科医斎藤環さんが自身の「note」で、「ルックバック」を傑作だと評価する一方で懸念すべき点を指摘。

精神障害を抱えた犯罪者が、あたかも意思疎通が不可能な狂人であるかのように描写している。

作品では精緻な人物が描かれているのに、通り魔だけがステレオタイプに描かれている。

読者に誤った認識を与えてしまう可能性がある。

これらを受けて「少年ジャンプ+」側は2021年8月、不適切なシーンだと指摘を受け表現を修正したと発表しました。

障害者.com」によると、修正した表現は報道での動機面と容疑者が京本を襲う際のセリフ

修正前の動機=「美大構内に飾られている絵画から自分を罵倒する声が聞こえた」

セリフ=「オイ!ほらア!ちげーよ!俺のだろ⁉︎元々オレのをパクったんだろ⁉︎」

修正後の動機=「誰でもよかった」。

セリフ=「オイ、見下しっ、見下しやがって!絵描いて馬鹿じゃねえのか⁉︎社会の役に立てねえクセしてさあ⁉︎」

「障害者.com」は2016年8月に発生した「相模原障害者施設殺傷事件」での被告の供述を思わせると指摘しています。

一方で、単行本ではセリフを「俺のアイディアだったのに!パクってんじゃねえええええ」と再修正。


「京アニ事件」に再び寄せています。理由を「相模原事件」の要素では物語の整合性がとれないためでは?と考察しています。


一連の経緯を見る限り、正直「何だかなあ…」と思います。


事件関係者の心情に配慮するとしながら修正したものは、別の事件関係者を刺激しかねない内容。改悪じゃないの? と。


だからネットニュースなどでは、創作活動に対して「配慮」を押し付けるのは暴力的だという指摘もあるんです。


作品上では容疑者が「精神障害を抱える」ようには描かれていないので、ちょっと熱くなりすぎだと感じました。


ただ、この作品は京アニ事件で犠牲になったクリエーターの方たちへの追悼の意思にあふれているとも思いました。


単行本でセリフが再修正されたのは、作者の藤本さんの思いを編集サイドが汲んだ結果だと思うからです。


3.ストーリー終盤で展開する「不思議な展開」パラレルワールド


パラレルワールドは存在する⁉︎

★2つの世界線が交錯する


京本の悲報を受けて、藤野は故郷へ。かつての同志の自宅を訪れ、祭壇に飾られた遺影の彼女と再会します。


そして京本の部屋の前にあった雑誌から、卒業式の日に自分が描いた「部屋から出てこい」という4コマ漫画を見つけます。

「私のせいだ…私があの時…漫画描いたせいで…京本死んだの」

「京本っ、部屋から出さなきゃ死ぬ事なかったのに…」

自責の念にかられた藤野は4コマ漫画を破き、その断片が扉の隙間から部屋に入ると突然、世界線が変わるんです。

この切り替わった世界線の解釈をめぐって、読者の間で考察が飛び交っているんです。

小学6年の姿の京本は、部屋に入ってきた漫画を発見。断片には「出てこないで」と書いてある。

さらに藤野の「卒業証書置いておきまーす」という声を聞くが、京本は人見知りで部屋から出なかった。

部屋にこもって絵を描き続け、美術を志した京本はAO入試で美大に進学。本格的に絵画の道を歩み始める。

そして運命の「2016年1月10日」を迎えます。

京本が絵画コース棟内のソファで休憩していると、凶器を持った男がやってきた。

男は「オイ、見下しっ、見下しやがって!俺のアイディアだったのに!パクってんじゃねえええええ」。

男が凶器を振り下ろそうとした瞬間、藤野が飛び蹴りで吹き飛ばして男を制圧。

カラテをやっているという藤野は「大学に男が入っていってヤバっと思って、追いかけてカラテキックをした」。

藤野に命を救われた京本は、大事にとっておいた藤野の4コマ漫画を見返して、久しぶりに漫画を描き始めるんです。

京本は藤野が自分を救う「背中を見て」という漫画を描く。オチは背中に凶器が突き刺さりながら去っていく藤野の姿だった。

風に飛ばされた漫画は扉をすり抜けて、元の世界線で部屋の前でうなだれる藤野に届く。

藤野が部屋に入ると、窓には4コマが張られ本棚には「シャークキック」の単行本。机には書きかけの読者アンケート…。

壁にかけられた綿入れの背中には、卒業式の日に書いた「藤野歩」というサインがあった。

部屋から4コマが出てきた瞬間、世界線が元に戻るんです。

★パラレルワールドか妄想か


京本の部屋に4コマ漫画の断片が滑り込んだ瞬間、切り替わった世界線。


ファンの間では「パラレルワールドでは?」「藤野の妄想だ⁉︎」と2つの考察が上がっています。


切り替わった世界線に関して、藤本さんは見解を明かしていません。


オカルト&SF好きのワタシ的には、京本が生きていて藤野も漫画家を続けていく世界線、「パラレルワールド」説に加担したいと思います。


実際に理論物理学の世界では、時間の経過とともに「現時点と少しだけ違う世界」(並行世界)が無数に発生していくという考え方があります。


そして、この世で最も最小の粒子=量子は、過去や未来の時間や空間を超越してあらゆる世界に出現できるとされている。


これはSF的な考えだけど、あることがトリガーになって「少しだけ違う世界」を量子のように垣間見る可能性があると思うんです。


「ルックバック」では、2人を結びつけるきっかけになる4コマ漫画。2人の前に舞い込んでくる断片がトリガーだと思います。


藤野の「部屋から出てこい」という4コマが、京本が藤野と「出会う世界」=「京本が犠牲になる世界」に導くトリガーになった。


藤野の「出てくるな」という4コマが、京本が藤野と「出会わない世界」=「京本が生き続ける世界」に導くトリガーになった。


そう考えています。理由はストーリーが、藤野が改めて机に向かい漫画を描き始める姿で終わっていること


京本の4コマ「背中を見て」が、悲しむ藤野に「京本のいない世界線」で漫画創作を再開させるトリガーになっていると思うんです。


世界線が切り替わるトリガーは漫画だった

★「背中を見て」に込められた思い


「京本が生きている世界線」では、京本が危機を救ってくれた藤野とこんなやりとりをしています。


京本は藤野と初めて顔を合わせた状況で、お礼をするために携帯電話の番号を交換。


「藤野」の名前から、小学校の学年新聞で4コマを連載していた「藤野先生」だと気づくんです。

京本「もしかして藤野先生ですか⁉︎ 私、4コマ漫画のファンでした」

藤野「あはは! なんかスゴい偶然だねえ! ありがとう」

京本「あの! なんで漫画描くのやめちゃったんですか⁉︎」

藤野「最近また描き始めたよ! 連載できたらアシスタントなってね!」

藤野がまた漫画を描き始めたことを知ってうれしくなり、京本が描いた4コマが「背中を見て」。

この4コマが「京本がいない世界線」に舞い込み、藤野の背中を押して漫画連載を再開させるんです。


藤野は「自分が京本を部屋から出したから死なせてしまった」と自責の念にさいなまれ、連載を中断するほど悲しみに沈んでいました。


でも4コマが舞い込んだことで京本の部屋に入り、彼女が藤野のことを思い続け、漫画を描き始めていたことを知ります。


漫画とは違う道を歩んでいった友だちが、自分の作品を読んでくれていて、再び漫画を描き始めていた。


そして京本が描いた4コマは、自分が通り魔を蹴り飛ばして彼女を救ったけど背中には凶器が刺さっていた


それでも自分は「それじゃこれで」とさっそうと立ち去っていく、というオチ


藤野の背中に突き刺さった凶器。そして壁にかけられていた綿入れの背中に書いてある「藤野歩」のサイン


私は「藤野が漫画を描いている背中を見ているよ」という京本の思いを象徴していると思うんです。


4コマと綿入れを見た藤野は、かつて2人で漫画を描いていた頃の懐かしい日々がフラッシュバックします。


そして藤野は再び歩き始め漫画を描く背中を見せる


京本見ていて。あなたの分も描き続けるよ」。彼女の背中はそう訴えているように感じるんです。


漫画やイラストの経験の有無なんて関係ない。あまりにもエモすぎるラストシーンです。


「ルックバック」は、興味がある方ならぜひページを開いてほしい作品です。


まとめ・夢や目標に熱中していたあの頃がフラッシュバックする


漫画を描くシーンはあの頃をフラッシュバックさせる

ここまで「ルックバック」について紹介してきました。


そして、この作品の内容&特徴多くの人の心に刺さる理由やストーリー中の「衝撃的事件」と終盤の「不思議な展開」について、


  1. 1つのことに熱中した経験がある人なら必ず刺さるストーリー
  2. 京都アニメーション事件の犠牲者の方たちへの追悼ストーリー
  3. ストーリー終盤で展開する「不思議な展開」パラレルワールド

上記の3つの魅力について紹介&解説しました。


「ルックバック」は原作漫画もさることながら、2024年6月に公開されたアニメ映画も大ヒット中。


特に漫画やイラスト、絵画を描いているクリエーターの方たちが高評価。漫画創作シーンのエモさが称賛されています。


また漫画などの創作経験がない人でも「号泣した」と感激するなど、読む人の心に刺さり続けています。


一方、衝撃的な事件が発生する場面が社会的な話題になったり、終盤でパラレルワールドのような不思議な展開が発生したり。


その解釈をめぐってファンたちからさまざまな議論、考察が展開されています。


それだけに、この記事を読めば作品の詳細や面白さ多くの人の心に刺さる理由が分かる。


衝撃的事件」や「不思議な展開」についてもよく分かります。だから、


ルックバックって面白いの? 漫画やイラストを描いたことがない人でも楽しめる?


原作やアニメの評判がすごいけど、どんなことが評価されているの?


ストーリーの中での衝撃的事件って、なんで話題になっているの?


終盤のパラレルワールドみたいな場面って、どう解釈すればいいの?


なんて方は、疑問や悩みが解決できたと思います。


最後に改めて「ルックバック」について。漫画やイラストなどを描いている人はもちろん、経験がない人でも楽しめる作品です。


部活や夢に熱中していたあの頃、だれもが感じていたワクワク感や挫折したほろ苦い思い出…。


読んでいると、そんなことがフラッシュバックしてきてめっちゃエモい作品だからです。


この記事をふまえて、ぜひ作品のページを開いてみてください。


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