農業は自然の恵みを感じられる仕事です |
農業の知識と可能性もおもしろいくらいわかる
「農業に興味があるんだけど、どんな感じなんだろう?」
「農業に転職したいんですが、仕事は大変でしょうか?」
仕事を持たれている人、特にサラリーマンの方なら一度は頭をよぎった考えだと思います。
毎日、ルーティーンのようにこなす仕事。上司や同僚、得意先とのお付き合い。
心も体も消耗してきて、「人を相手にしない仕事がしたい!」。
なんて思っている人は多いはず。
次に思い浮かぶのが、自然の中にいる自分の姿。
雄大な自然が広がる原野。青い空に浮かぶ白い雲の下で、馬は走り、牛は新緑の草を食む。
トウモロコシやジャガイモ畑からは、まるまる太った実りが収穫される。
そして、「農業に転職して、自然と触れ合う生活をしてみたいなあ」と。
まもなく受験シーズン。高校・大学への進学や進路を考えている学生さんの中にも、
「食を支える農業を勉強してみたい」と考えている人がいるでしょう。
実際に農業への転職や就職を考えている人には、各地の就農支援センターなどに問い合わせるのが一番。
同時に、当ブログはメチャ参考になる「農業マンガ」の3作品を読むことをオススメします。
- 百姓貴族(原作・荒川弘さん)
- もやしもん(原作・石川雅之さん)
- 銀の匙 Silver Spoon(原作・荒川弘さん)
上記の3作品には読むと参考になる3つの魅力があります。
- 農業や酪農、さらに発酵や醸造などの知識を楽しみながら学べる。
- 実際の作業の大変さ、楽しさ、喜びなどが共感できる。
- 農家の生活ぶりなどの実話や裏話、ホンネが笑っちゃうくらいわかる。
この記事では3作品が持つ魅力について解説します。
「農業に転職したいんですが、仕事は大変でしょうか?」
「食を支える農業を勉強してみたい」
自分の進路について悩んでいる方は、絶対に参考になりますよ!
3作品を選んだ理由
「農業」や「酪農」「醸造」などをテーマにしたマンガはたくさんあります。
どの作品も農業関係の知識、情報が盛りだくさん。見事なストーリーも絡めて読み応えがあります。
当ブログが上記3作品を紹介する理由は2つ。
- ストーリーで紹介された情報や知識が細かくてくわしい。これでもか!と説明してくれる。
- 作家さんが農業の当事者。実体験や考えをリアルに生なましく、おもしろく訴えている。
この2点がほかの作品と比べて際立っているからです。
1.百姓貴族

原作は女流マンガ家、荒川弘さん。
「鋼の錬金術師」「アルスラーン戦記」などの代表作を誇るヒットメーカーによる、農マンガエッセイです。
2006年から隔月刊マンガ誌「ウィングス」で連載中。コミックスは2024年3月11日時点で計8巻が発売されています。
さらに2023年7月7日から、テレビアニメが「TOKYO MX」などで放送がスタート!めっちゃ楽しみです!
荒川さんは北海道・十勝出身。ご実家は農業・酪農を営まれています。
子供のころからマンガ家デビューするまでの7年間での農作業、ご実家が忙しい時の助っ人などの実体験が描かれています。
なので、農家の実情、知恵、ホンネがたっぷり。農業の現状がよくわかる作品なんです。
ストーリーは担当の女性編集者・イシイさんや読者アンケートの質問を受けて、荒川さんが答えるスタイルで進行。
どんな質問にも荒川さんが答えるストーリーは、メチャくわしくておもしろい!
ストーリーには荒川さんをはじめ、ご家族も登場。荒川一家の豊富で、深くて、濃すぎる農体験がこれでもかと披露されます。
みなさんのエピソードを紹介すれば、作品のあらすじになるほど。
★荒川弘
メガネをかけた白黒マダラの牛人間姿でストーリーを進行。北海道開拓民の血筋。実家は「荒川農園」(仮)を営む。子供のころから父に農業・酪農の技術とノウハウを教え込まれる。「働かざるもの、食うべからず」「飢えたくなければ銀座でべこ(牛)を飼え」。農民気質たっぷりの言動が多い。
★親父殿
荒川さんのお父上。型破りな言動が多く、荒川さんら子供たちすら驚く体験の持ち主。子供のころ農耕馬に蹴られてアゴを骨折したり、スズメバチに刺されたり、生死をさまよう事態に遭遇しながら生還。破天荒な人。農場へ向かう途中、川が氾らんして壊れた橋を軽トラで飛び越えたり、重傷になった娘の指を自己流で治す。農作業中のトラクターをバックさせている際、息子(荒川さんの弟)を後輪の下敷きに。でも奇跡的にかすり傷だった。直せないものはない。古くなって動かなくなったトラクター2台を分解、使えるパーツを集めて1台にドッキング。
★おかん
荒川さんの母上。家事、育児、農作業、農園の事務と経理、趣味の園芸までこなすパワフルな人。荒川さんを出産する際は、直前まで農耕機に乗って農作業。陣痛が来てから自分で車を運転して病院へ。厳しいしゅうとめさんのもとで働いていたので「何でもできるんじゃなくて、何でもやらされるのよ」。
ほかにも3人のお姉さん、弟さん、おじいさん&おばあさん。パワフルなご家族が登場します。
北海道の厳しい自然で営む農園。農作業や酪農の実情、収穫の喜び、厳しさ。
橋が壊れても農場に行く。スズメバチに刺されても、大ケガをしても農作業をこなす。
農園に襲来するクマやキツネとの戦い。
パワフルで強い体と意思で農作業をする日々がコミカルに描かれています。
その結果が、「野菜の値段を知らない。お店で買う必要がないから」。
自然の恵みのありがたさ、素晴らしさもわかります。
最新7巻では、「荒川農園」が後継者の問題から酪農をやめたことが明かされます。
現在の酪農家が直面する、重く厳しい問題です(離農に関しては後述します)。
でも、おかんは暗さをみじんも感じさせない。
やはり後継者に悩む近所の酪農家に「やめるなら今!」「牛の価格がいいうちに売って老後の蓄えに!」。力説するおかんに「説得力ありすぎて『離農促進すんなや』と言えない。」。
各エピソードは毎回スゴいオチで締められますが、読むほどに農業の実情がわかる作品です。
2.もやしもん

「もやしもん」は、オシャレなはず?の東京都内の大学で、土や牛フン、カビやインフルエンザウイルス、麹(こうじ)などと奮闘。
専門的でハードなキャンパスライフのストーリー。食に関わるエピソードが多いんです。
「食を支える農学を勉強してみたい」という学生さんにはピッタリの作品。
作者は石川雅之さん。農業の経験はありませんが、作品に盛り込んだ農学などの知識・情報量がハンパない!
作品は「イブニング」などで2004年から2014年まで連載。
コミックスは全13巻が発行されています。
2007年にフジテレビ系でアニメ化。2010年にはフジ系で実写ドラマ化されました。
舞台は東京にある「某農業大学」。
主人公は、菌やウイルスが肉眼で見える新入生・沢木直保。
発酵学の権威で沢木の見える力に期待する樹慶蔵教授にゼミへ取り込まれる。ゼミの院生でヒロイン・長谷川遥、酒豪の先輩・武藤葵、同級生の及川葉月ら美女も登場。親友の結城蛍、貧乏な先輩・美里薫、川浜拓馬らと土やフン、細菌、ウイルス、麹と奮闘する。
大学に入学したら、かわいい女の子やカッコいい男の子とキャンパスライフを楽しみたい。
誰もが期待して大学の門をくぐります。でも、農大は別世界。
沢木は、オリエンテーションでいきなり牛の肛門に手を突っ込んで直腸検査をさせられ苦戦。
田んぼを使わないプール式の稲作などの実験農場巡りをさせられたり…。
樹教授がつくった世界一臭い「発酵食」を食べさせられたり、見える能力を利用しようとする人たちに振り回されます。
でも沢木は自分の能力に期待してくれることがうれしい。期待に応えようという気持ちも芽生えて、奮闘するんです。
ストーリーでは農学のほか、発酵学、醸造のシーンも展開されます。
師匠の樹教授が「発酵蔵」を開設すると、弟子の沢木たちは泊り込みでミソ、しょうゆづくりに駆り出される。ゼミ生が集まって各学部の収穫物で鍋を作って食べていると、樹教授の講義がスタート。ゼミ生がうんざりするほど、コマいっぱいに知識が披露される。
樹教授のうんちくシーンは、農学に必要な知識と情報があふれまくり。読んでいて、すごく勉強になるんです。
★目からウロコが落ちた
発酵蔵では日本酒の醸造も実践。酒蔵の息子・結城が杜氏として、農大オリジナルの日本酒「円(まどか)」を生み出します。
勉強になったのは、発酵後の原酒にサトウキビなどでつくった醸造アルコールをたすアル添。
理由は、あらあらしい原酒の味を整えるためです。
私は人気のグルメマンガ「美味しんぼ」を愛読。日本酒のエピソードが好きでした。
モノが不足していた戦後に行われた、醸造アルコールを加える三倍増醸法。
安上がりなため今も続けられ、日本酒をおかしくしている。米だけでつくられた純米酒を見直せ。
作品の主張に共感し、純米酒や酒米をていねいに磨いてつくる吟醸酒を愛してきました。
でも、吟醸酒のラベルには「醸造アルコール」の文字があり、高額で売られている。
何でなんだろう? ずっと疑問に思っていましたが「もやしもん」を読んで疑問が氷解。
樹教授によると、アル添は酒樽に対し醸造アルコールがヤクルト一本分の量にすぎない。
ヤクルト一本分の醸造アルコールの風味を感じられる人間はいない。
アル添することで、吟醸香や風味が際立つ。入れないとうまくない、と。
「美味しんぼ」から知った知識と、「もやしもん」による新しい認識が加わり、目からウロコが落ちた心境でした。
ちょっと脱線しましたが、「食文化を支える農業技術」の一つである醸造も学べます。
農学を学びたい方は、ぜひ読んでほしい作品です。
3.銀の匙 Silver Spoon
「銀の匙」も荒川弘さんの作品。
荒川さんが卒業された帯広農業高校がモデル。農高生たちが実学から農業を学び、未来の農業を考えていく物語です。
2011年から2019年まで「週刊少年サンデー」で連載され、単行本は全15巻。
2013年にアニメ化され、2014年には中島健人さん、広瀬アリスさんらが出演し実写映画化もされました。
舞台は北海道・帯広の大蝦夷農業高校。通称エゾノー。
学校の周囲は1週20キロ。逃げも隠れもできますが、危険なヒグマやキツネもいます。
迷ったら遭難する広大な敷地内で、青春酪農ストーリーが展開されます。
主人公は八軒勇吾。札幌市内の進学校の生活に疲れ、家族とも反発。「寮があるから。家に帰らなくていいから」とエゾノーへ。
寮&学校生活がハンパない。
八軒が在籍する酪農科学科は、早朝6時から牛、豚、鶏など家畜のお世話。授業は酪・農実習が主で肉体労働。寮生活も3〜4人部屋でプライバシーはなし。好意を抱くヒロイン・御影アキに誘われて馬術部に入っちゃったから、朝4時起きで馬の世話もプラス。土、汗、馬フンまみれの生活に大苦戦。とまどいながらも過酷な生活に慣れ、酪農に染まっていく。
ハードな学校の作業は、実際の農作業で行われる内容が描かれています。
畑の手入れ、家畜の世話。情が移った家畜を食肉にするまでの過程も…。
エゾノーは「生徒がやりたいことが全部できる」学校。
ソーセージやハム、チーズづくり。エゾノー産の食材を使ったピザまでつくる。
農業の現場から食卓まで。農作業から生まれる実りを、人々が口にするまで。
「食を支える農業」が、よく分かるストーリーなんです。
★離農という厳しい現実も描かれる
八軒の友人たちの家庭環境を通じて、農業が抱える問題も描いています。
友人たちの実家は、ほとんどが農園、牧場などを経営。彼らは後を継ぐ予定です。
「卒業したら世界に負けない農業経営を目指します」
「ウチで絞った牛乳を使ってチーズ工房を立ち上げたい」
輝くような夢と希望を持つ一方で、現実にも直面しています。
個人(一家)経営の農園では休みが取れず、人手・嫁不足で経営の継続が難しいこと。
各農家が集まって「大ファーム」を作り、人手・休日問題をクリアしようとしていること。
酪農では、農協によるさく乳量の調整や過酷な作業と後継者不足による離農が増えていること。
八軒のライバルで親友、駒場一郎が離農問題で苦戦します。
「将来はプロ野球選手になって、稼いだ金で牧場を大きくする」駒場は自分の夢をかなえるため、野球や酪農の手伝いに奮闘。母親が一人で切り盛りする牧場の経営が不振に陥り離農。自身も退学し働き始める。友人の決断に八軒は「自分の夢を簡単に諦められんのかよ」。世の不条理と切なさを憤る。
夢をあきらめることなく、しっかりした経営ができる酪農業の方法はないのか。
八軒は高校生ながら養豚から始めてソーセージなどを製造する有限会社を立ち上げます。
エゾノー生が奮闘する姿から、農業の知識や生活ぶり、抱える問題が学べ「未来の農業」も考えることができる作品です。
ここまでオススメの「農業マンガ」3作品を紹介してきました。
いずれの作品も農業の知識、情報がたっぷりと盛り込まれ、ストーリーも楽しめる内容です。
農業は体一つで自然を相手に奮闘するハードで厳しい世界。一方で自然の恵みを感じられる、やりがいのある仕事。
「農業に興味がある」「農業に転職したい」という方なら、チャレンジしてほしい職業です。
農業への転職や就職を考えているなら、まずは各地の就農支援センターなどに相談すること。
同時に、この記事で紹介した3作品を読んでください。
農業が持つ魅力、知識、抱える問題の厳しさ、未来の可能性などがわかり、決断への参考になりますよ。
当ブログでは、仕事を学べるマンガを紹介しています。ぜひお読みください。
「3作品をすぐに読んでみたい!」という方には、スマホなどにダウンロードすれば即読みできる電子書籍版がオススメです。
「ebookjapan」「コミックシーモア」などのマンガストアなら、無料で試し読みができます。
※当ブログではアフィリエイトプログラムを利用して本や商品を紹介しています。
リンク
リンク
リンク

0 件のコメント:
コメントを投稿