「魅せる美学」にこだわり、プロレス人気に貢献した名作
ワタシ、プロレスの大ファンです。
理由ですか? レスラーたちの心を揺さぶる熱いファイトが好きなんです。
「プロレスはショー。格闘技じゃないよ」。そんな声をよく聞きます。
でもね、プロレスのリングに立つレスラーたちは、豪快で華麗な技を見せてくれる。
相手の技を体で受けてみせる。痛くても苦しくても何度もやられても、立ち上がる。
立ち上がって、倍返しでやり返す。まさに「魅せる美学」。心が揺さぶられるんです。
だからワタシ、「プロレスの味方」です。
なので「プロレスマンガ」も大好き。昭和から令和にいたるまで、大人気のジャンルです。
「プロレスマンガ」には、いろんな味付けをされた力作がたくさん。
実在の選手を取り上げ、紹介する実録もの。
ストーリーに登場したヒーローがリアルのリングに上がるタイアップもの。
柔道や空手、野球などいろんなスポーツ出身者がリングを目指すスポ根系レスラーもの。
まさに千差万別。それだけに、
「一番好きなプロレスマンガはなんですか?」
「プロレスマンガの最高傑作を教えて!」
なんて声が多いんです。
そこで、この記事では「最高傑作」をチョイス。
- 「プロレス スーパースター列伝」(原作・梶原一騎さん、作画・原田久二信さん)
- 「タイガーマスク」(原作・梶原一騎さん、作画・辻なおきさん)
- 「キン肉マン」(原作・ゆでたまご)
上記の3作品を紹介し、魅力を解説します。
記事を読めば「最高傑作」とする理由と魅力がわかり、3作品のページを開きたくなります。
3作品は日本プロレス史そのもの。プロレスファン、サブカル好きの方も楽しめます。ぜひお読みください!
3作品をチョイスした理由
プロレスは、世界中の人たちを〝ステイホーム〟させた新型コロナ禍でも、変わらぬ人気を誇っています。
コロナ禍ではプロ野球やサッカーなど一緒に、プロレスも中止をよぎなくされました。
厳しい状況で、プロレス界は無観客で大会を開催しライブ配信を実施。
入場制限付きでの大会開催が認められると、ファンにはマスク着用、手の消毒、声援での応援を禁止。
それでもファンは数万円もするチケットを購入。会場では声を出さず、熱い拍手で選手たちを応援しています。
熱いファンを作り上げた最大の要因はレスラーたちの魂に訴えるファイト。
もうひとつが「プロレスマンガ」です。
- 実在レスラーの生い立ちや努力する姿を描き、リングでのファイトとともにスーパースター像を完成させた。
- ストーリーのヒーローを、リアルなリングに登場させるタイアップでファンを熱狂させた。
- プロレスの美学「カッコいい技を魅せる」ことで子どもたちからの支持を鉄板にした。
以上の3点の功績が3作品を取り上げる理由です。
1.「プロレス スーパースター列伝」
「週刊少年サンデー」で1980年23号から1983年26号まで連載。
コミックスは全17巻が刊行されています。
ウエスタンラリアットの首折り魔「スタン・ハンセン」スピニングトゥホールドのテキサス兄弟「ザ・ファンクス」地獄突きの極悪人「アブドーラ・ザ・ブッチャー」インドの狂虎「タイガー・ジェット・シン」アックスボンバーの超人「ハルク・ホーガン」
日本勢でも、馬場さんと猪木さんの「B・I」砲。日本プロレス時代の仲が良かったころの貴重なエピソードを紹介。
初代タイガーマスク(後述します)のエピソードは大人気となりました。
★注目ポイント
各エピソードでは監修的な役割で猪木さんの談話が登場。梶原さんが新日本プロレス、つまり猪木さんと近かったから。
でも「猪木談」とされる内容が本当に語られたのかは不明(笑)。当時の猪木さんが梶原さんを信頼していたんでしょうね。
梶原さんの原作は各レスラーへの取材がベース。でも、虚々実々に満ちてるんです。
例えば「スタン・ハンセン」。
【事実】
- 若手のころは「ザ・ファンクス」ドリー・ファンクJr.、テリー・ファンクの本拠地テキサス・アマリロで修行。
- 武者修行で来ていたジャンボ鶴田さんと汗を流し、タッグを組んだこともある。
【フィクション】
- ウエスタン・ラリアット。鶴田さんとの談笑から生まれたとしている。実際はアメフトのハイタックルを応用したもの。
- ラリアットはブルーノ・サンマルチノの首を折ったことでブレーク。実際はボディスラムを失敗して首から落としてしまった。
ただフィクションの2は、当時は知られていなかった事実で後年に判明したものです。
代表作「空手バカ一代」など梶原さんの原作には、かなりフィクションが含まれています。
理由は取り上げる世界を盛り上げたいという気持ちの表れでしょうね。
梶原さんが描いたレスラーたちは、リアルのリングでの活躍もプラスしてスーパースターになりました。
作品には「ジャーマンスープレックス」の生みの親、カール・ゴッチさんも登場します。
ゴッチさんは輝かしいスーパースターではありません。
でも、スープレックスやグラウンド技術をベースとする新日本プロレスの「ストロングスタイル」の元になった人。
総合格闘技の火付け役「UWF」の戦士、前田日明さんや藤原嘉明さんらの師匠です。
「プロレス スーパースター列伝」は、現在のプロレス人気、総合格闘技へのタネをまいた
功績が大きい作品なんです。
当ブログでは「空手バカ一代」についても紹介しています。ぜひお読みください。
「空手バカ一代」創刊50周年!主人公・大山倍達のすごすぎる超人伝説を徹底的に解説、検証する
2.「タイガーマスク」
1968年から1971年まで「ぼくら」「週刊ぼくらマガジン」「週刊少年マガジン」で連載。
コミックスは全14巻が刊行されています。
★作品のあらすじ
主人公は伊達直人。孤児のため児童養護施設「ちびっこハウス」で育ちました。
最近、クリスマスや小学校の入学式前にプレゼントやランドセルが児童施設に贈られるニュースが有名です。
子どものころ、ケンカの腕と素質を買われて悪役レスラー養成機関「虎の穴」入り。「虎の穴」の地獄のような特訓を受け、悪役覆面レスラー「タイガーマスク」としてデビュー。反則ばかりしていた。「ちびっこハウス」の窮状を知り、「虎の穴」への上納金を含めた多額のファイトマネーを寄付。「虎の穴」は裏切り者として、続々と刺客をリングに送り込み死闘が展開される。
伊達は「虎の穴」の修行時代から、自分と同じ苦しみを「ちびっこハウス」の子どもたちに味あわせたくないと考えます。
だからデビュー後から施設を援助。「虎の穴」から裏切り者扱いされてからは正統派に転向します。
「仮面貴族」ミル・マスカラス「かみつき魔」フレッド・ブラッシー「テキサスブロンコ」ドリー・ファンクJr.地獄突きの極悪人「アブドーラ・ザ・ブッチャー」「白覆面の魔王」デストロイヤー
タイガーマスクの持ち味は、コーナートップからのドロップキックやスピードを生かした打撃などの正攻法。
ただ、大物には対抗できず、反則技を使ってしまい苦しみます。
ジャイアント馬場さんに反則技を見抜かれて封印し、独自の技を猛特訓。
苦心の末、編み出したのが「ウルトラ・タイガードロップ」。
コーナーのトップから、相手を肩車した状態でマットに落とす。当時としてはトンデモなく危険なスープレックス。
「魅せる必殺技」に、読者やプロレスファンは大熱狂。リアルなリングにも影響を与えたと考えています。
タイガーマスクのファイトは俊敏なトラそのもの |
★リアル・タイガーマスクへ
1981年4月23日の新日本プロレス・蔵前国技館大会のリングに、トラのマスクを被ったレスラーが出現。
「タイガーマスク」を名乗るレスラーは、リング上を飛び回る空中殺法を次つぎと披露。会場は大熱狂に包まれました。
新日マットのタイガー。実はテレビアニメ「タイガーマスク二世」とのタイアップで誕生。
アニメ制作側はリングコールで「タイガーマスク二世」を名乗れと注文。
でも、リングアナは「タイガ〜マスゥクゥ〜」とコール。ファンは大声援で応えました。
ファンはリングに現れたレスラーを「二世」ではなく、「タイガーマスク」として熱狂で迎えたんです。
タイガーマスクは初代を皮切りに、全日マットなど他団体でもファイト。現在は4代目が新日で活躍中。
マンガやアニメでも続編が作られています。
「タイガーマスク」は実際のリング、令和の時代まで影響を与えた功績のある作品です。
3.「キン肉マン」
原作はゆでたまごさん。「週刊少年ジャンプ」の1979年22号から1987年21号まで連載。
「キン肉マンII世」などをへて、2011年11月から「週プレNEWS」で「キン肉マン」の続編をWeb連載中。
2020年8月からはWeb配信と同時に「週刊プレイボーイ」でも連載されています。
コミックスは全83巻(2023年10月1日現在)が発売されています。
★あらすじ
「キン肉マン」と聞いて、「スーパーヒーローものじゃないの⁉︎」と思う人が多いはずです。
平和を守るスーパーヒーローだが、怪獣に苦戦しダメ超人とバカにされる。キン肉星からミートが地球に訪れ、キン肉星の王子「キン肉スグル」であることが判明。ダメ超人ながら持ち前の正義感や「火事場のクソ力」で敵を撃破。ライバル超人のテリーマンらから認められ、友情をはぐくむ。「超人オリンピック」の開催が決定。ダメ超人ながら前王者のロビンマスクの計らいで日本代表で出場。
ラーメンマン、ブロッケンマンら残虐超人が集まったBブロックを勝ち抜き、決勝へ進出。
ロビンマスクを激戦の末に破り、優勝。超人たちの頂点に立つ。王者には世界遠征が義務付けられ米ハワイに遠征。老戦士プリンス・カメハメにわずか7秒でフォール負け。カメハメに素質を見込まれて「48の必殺技」を伝授され、実力派超人として活躍する。
★見どころ
カメハメから伝授された「48の必殺技」。フィニッシュ技を持たないキン肉マンにとって宝物をもらった感じ。
48のうち代表的な技が、
- 【キン肉バスター】逆さに持ち上げた相手の首を肩口で支え、空中から尻もちを着くように垂直に着地。首、背骨、股を破壊。
- 【風林火山】ダブルアームスープレックスーローリングクレイドルーパイルドライバーーロメロスペシャルの連続技。
- 【超人絞殺刑】ロープを背にした相手にリング外から逆さになって組み付いて、足で首を締め付ける。
「48の必殺技」でプロレスの「魅せる美学」がストーリーに肉付けされたんです。
さらには、実際のプロレスのリングでも使用、応用?されているほど。
「キン肉バスター」はモハメド・ヨネ選手が使い手。サムソン冬木さんも使ってました。
「超人絞殺刑」は鈴木みのる選手がロープ外から逆さになってぶら下がるように仕掛ける「腕ひしぎ逆十字固め」に近い技。
「48の必殺技」を伝授したカメハメは「52の関節技」の使い手。だから投げ技に関節技をミックス。
モデルが前述したカール・ゴッチさん。キン肉マンの技は「ストロングスタイル」が込められてるんです。
作品を読んだ子どもたちは、技をマネする(マネしちゃいけません)。
さらにテレビ中継のリアルファイトを見てプロレスが好きになり、ファンが誕生する。
「キン肉マン」はファンを作りプロレス人気を広めた功績の大きい作品なんです。
まとめ・3作品はプロレス人気に貢献した「最高傑作」
3つの最高傑作はプロレス人気に貢献 |
ここまで3作品について解説してきました。
- 実在レスラーの生い立ちや努力する姿を描き、リングでのファイトとともにスーパースター像を完成させた。
- ストーリー上のヒーローを、リアルなリングに登場させるタイアップでファンを熱狂させた。
- プロレスの美学「カッコいい技を魅せる」ことで子どもたちからの支持を鉄板にした。
3つの理由からプロレスに功績があった「最高傑作」として紹介しました。
「プロレス漫画の最高傑作を教えて」という方やサブカル好きの人は、ぜひ3作品をお読みください。
心から楽しめて、プロレスがもっと好きになりますよ。
ほかにも名作はたくさんあります。例えば、
柔道部やラグビー部で活躍した主人公がプロレス入りして活躍する、小林まことさん原作の「1、2の三四郎」。
インディーズ団体を率いるサムソン高木が奮闘する姿を描く、猿渡哲也さん原作の「ロックアップ」。
ストーリー、ファイトシーンもメチャおもしろい作品なので、オススメです。
当ブログでは、ほかにも「格闘技小説・マンガ」や音楽、闇のファイター「忍者マンガ」を紹介しています。ぜひお読みください。
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