「人形の国」極寒の白い世界で展開するサバイバルファンタジーを楽しむ方法

2021年11月3日水曜日

マンガを楽しむ

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人形の国は独創的な世界観がホントすごいです

「シドニアの騎士」の続編的な要素と世界観が分かる基礎知識を解説


独創的な世界観があって、バトル要素もあるマンガを教えてください

いままで読んだことがないようなストーリーで、おすすめのマンガありますか?

マンガファンの方から、よく聞こえてくる質問です。

いろんなおもしろい作品の名前が上がる中、登場する回数が多い作品があります。

SFサバイバルファンタジー「人形の国」。

白く深い雪と氷で覆われた極寒の星。そこでは人類は人狩りをする自動機械の脅威と、人間が機械の体になる謎の伝染病と闘っている。

さらっと作品を紹介しただけでも「独創的な世界観だなと思っちゃうほど。

原作は、アニメ化もされた人気SFマンガ「シドニアの騎士」を代表作に持つ、弐瓶勉さん。

この人の名前を聞いただけで「おもしろそう!」「読んでみたい!」と期待値が急上昇!

また「人形の国」には「シドニアの騎士」の続編的な要素が盛り込まれていて、世界観も延長線上にある感じ。

その世界観の設定が、ホントにうまくておもしろいんです。






一方で、先ほどのおすすめの声には「ハマれば、おもしろいですよ」という一文がつきます。

理由は「ストーリーの中に、世界観の説明がほとんどない」から。

なので「世界観が分かりにくい」「おもしろいと思いますか?」なんて声も多いんです。

実はこれ、「シドニアの騎士」を含めて弐瓶さんの作風。

作品のページを開いた読者は、ストーリーを追う中で世界観や状況の設定が分かってくる。

でも、多少でも作品の予備知識があった方が、もっと作品が楽しめるはず。

そこで、この記事では作品を楽しむための「人形の国の基礎知識」を解説。

  1. ストーリーの世界観とあらすじ
  2. 主人公などの登場人物
  3. ストーリーに出てくる基礎用語
  4. 「シドニアの騎士」との類似点

上記の4点について、くわしく説明します。

すでに作品を読んでいるファンの人は「なるほど、こういうことか!」と納得。

弐瓶ワールドが初めての方は、すんなり作品の世界に入れます。そして、よりいっそう作品を楽しむことができますよ!

どんな作品なの? 


原作は、弐瓶勉さん。「月刊少年シリウス」で2017年4月号から2021年10月号まで連載。

青年誌での活躍が多い弐瓶さん初の、少年誌での連載作品です。

単行本は全9巻(2021年12月時点)刊行されています。

また、2016年に第47回星雲賞コミック部門を受賞した「シドニアの騎士」に続くSF作品となっています。

「シドニアの騎士」は謎の生命体・奇居子ガウナ)に破壊された地球を離れ、生活空間が造られた巨大宇宙船「シドニア」で宇宙を流浪。

宇宙空間を旅しながら追ってくるガウナ闘う物語でした。

一方「人形の国」の舞台は、ある極寒の星。人類は自動機械と謎の伝染病の脅威にさらされている、という設定です。

世界観はメチャむずかしい。説明されても、一回では分からない。

でも、ページでストーリーを追いながら読んでいると、なんとなく分かってくる。

弐瓶ワールドのファンの多くは、こんな入り方じゃないでしょうか。

でも弐瓶作品が初めての人は、ちょっとした予備ガイドが欲しいところ。

基礎知識あれば、迷いなく作品に入れて、楽しむことができます。

1.ストーリーの世界観とあらすじ

ストーリーの舞台は、極寒の人工天体「アポシムズ」。

地表、遺跡層、地中奥の中央制御層(地底空間)で構成されています。

「アポシムズ」は深い雪と氷に覆われ、人間は酸素ボンベつきマスクと防寒服なしでは生きられない世界。

なぜ、人類がこの天体にいるのか。ストーリーでは明かされていません。

「アポシムズ」には超構造体と呼ばれる物質の殻で覆われた「地底空間」がある。

はるか昔に「地底」との戦いに敗れた人類は極寒の地表に取り残された。

地表では「自動機械」が徘徊し、人間を見つけるや抹殺する。

一方で、人間の体が機械になってしまう原因不明の「人形病」もまん延している。

主人公エスローは地底からの使者タイターニアと出会い、「正規人形」に転生。

エスローは故郷を滅ぼし地表を侵略する「リベドア帝国」と戦う旅に出発する。

ちょっと難解


作品の世界観とあらすじは、ざっとこんな感じになります。

すでに作品を読んだ方は、ああ、こんな世界観だったのか」と納得できると思います。

まだページを開いていない人には、ちょっと難解。

自動機械」「人形病」と聞いて、「なんじゃそりゃ⁉︎」って感じでしょう。

ここからは登場人物について、くわしく説明します。

お読みになればストーリーの理解度が、さらに深まりますよ。

2.主人公などの登場人物

 

 まずは、ストーリーの主人公から。

★エスロー

射撃の名手。「白菱の梁」に住み、子供たちの教育係を務めている。

ある日、「リベドア兵」に追われる自動機械「タイターニア」と出会う。

追われるタイターニアを救うため、リベドア兵を狙撃する。

タイターニアから赤い「コード」と超構造体を破壊できる7つの弾丸「AMB」を託される。

「白菱の梁」はリベドアに報復され、仲間がほぼ全滅。自身も致命傷を負う。

救命を申し出たタイターニアに「正規人形」に転生される。

一命を取り止め、敵の正規人形と闘う。

リベドアの襲撃後、タイターニアからリベドアの皇帝スオウニチコに、ともに闘ってほしいと懇願される。

エスローは廃墟と化した「白菱の梁」へ戻り、亡くなった仲間を埋葬した後、リベドアと闘うことを決意。

助力を求めてきたタイターニアとともに、闘いの旅へ出ます。

★タイターニア

地底空間の使者として地上にやってきた「自動機械」。

普段はトカゲのような小さな機械だが、本来は長い髪の美少女の姿をしている。

地底への侵略を狙うリベドア帝国を阻止するため、何百年も活動している。

リベドアからAMBを奪い、逃走していた。

さわった相手の心を読む力がある。

戦闘時は人の視覚に入って状況や情報を提供することができる。

リベドア帝国と皇帝スオウニチコ

リベドアは人口10億人を誇る大帝国。強力な「正規人形」たちで編成された軍団を保有。

軍団は近隣諸国を侵攻。その残虐さが恐れられている。

皇帝スオウニチコは帝国を支配。転生者で、未来の予知能力がある。

地底世界への侵攻を狙っているが、侵攻に必要だったAMBをタイターニアに奪われる。

そのAMBを発射できるエスローに脅威を感じ、軍団に抹殺を命じる。

★真地底教会とカジワン

転生者となったカジワンが創設した地底世界を信仰する教団。

歴代カジワンは信仰者の国「イルフ・ニク」を王として統治。リベドアの侵攻に苦しむ。

現在の王はカジワン27世。転生に失敗し人形病も患い、機械で体を支えている。

カジワン27世は人形病患者を正規人形に再生。人形病汚染攻撃とともにリベドアに反撃。

ストーリーでは、ほかにも魅力的なキャラクターがたくさん登場します。

ただ、ここまで説明した4人(+2国)の基礎知識があれば、作品にすんなり入ることができますよ。

3.ストーリーに出てくる基礎用語

 

 ストーリーで出てくる用語も複雑で難解です。まずは、人間狩りをする自動機械について解説します。

★自動機械

アポシムズに生きる機械でできた野生生物。

形態は巨大で四本足のモノが多い。陸上を徘徊し人を狩る。

なぜ存在するのか、その理由は不明。

そして、人間を正規人形に転生できるコード。エスローも転生する際にタイターニアから託されました。

★コード

人間を正規人形にできる円筒状の機械。

古代の地表に住んだ人たちが、地底世界の技術を使って作り上げた。

コードを使って正規人形になることを転換、転生などと呼んでいる。

次はいろいろ出てくる「人形」について。

★正規人形

リベドア帝国では転生者とも呼ばれる。

ふだんは普通の人間と変わらない姿をしているが、極寒の世界でも耐寒装備などは不要。

実は肉体に胞衣(エナ)をまとった身体の構造になっている。

戦闘時にはエナを鎧化。鎧を装着した形態になることができ、特殊能力を発揮する。

★エナ

正規人形がヘイグス粒子を使って生み出し、どんなものにも変化できる物質。

★ヘイグス粒子

正規人形など、すべての機械や装置の動力源となっている素粒子。

「アポシムズ」の人たちが苦しんでいる奇病「人形病」について。

★人形病

人間の体が徐々に機械へ変わって人形化する病気。

コード開発の過程で生じたとされる。

病状が最後まで進行すると自我を失う。

患者は迫害の対象にされることが多く、隔離所に閉じ込める町もある。

「アポシムズ」を形づくる超構造体についても説明しておきます。

★超構造体とAMB

地表の人類ではつくれない古代の遺物。

超硬度でAMB以外では破壊できない物質。AMBも遺物の1つ。

中央制御層に侵入するため、スオウニチコはAMBを必要にしていた。

ここまでストーリーに入るための基礎用語を説明しました。

これらを押さえておけば、作品の理解度はグンと上がり、よりいっそう楽しめるはずです。

4.「シドニアの騎士」との類似点


エスローたちが住んでいる人工天体「アポシムズ」。この天体に存在する正規人形や機械などの動力源である「ヘイグス粒子」。

さらに「ヘイグス粒子」から生み出され、正規人形たちが身にまとう「エナ」。

この3つの要素。実は「シドニアの騎士」でも登場し重要な要素になっているんです。

★アポシムズ

「シドニアの騎士」では、「ガウナ」に襲撃された人類は播種(はしゅ)と呼ばれる小惑星サイズの巨大宇宙船で地球を脱出しました。

播種船は生き残った人類をのせた「ノアの方舟」、移民船。船内では空気、食料、生活物資が自給自足できるシステムを搭載。

播種船は複数あり「シドニア」はそのうちの1つ。各船は互いに連絡をとりながら宇宙を流浪していた。

「シドニア」と最も近い位置で宇宙空間を航行していたのが「アポシムズ」。ある日をさかいに連絡が途絶え消息不明になった。

消息不明となった「アポシムズ」は「ガウナ」を振り切り、追跡の手が及ばない空域を発見。

人工天体「アポシムズ」として、人類にとっての〝第2の地球〟となった。「地底空間」は「アポシムズ」の内部でシステムが残った空間。

両作品を読んでいると、そんな想像が働いてしまいます。

★ヘイグス粒子とエナ

「シドニアの騎士」での「ヘイグス粒子」は、宇宙空間に無尽蔵に存在する粒子と設定されています。

やはり播種船や対ガウナ用の人型戦闘機「衛人(もりと)」の動力エネルギーとして使用されていました。

一方の「エナ」はガウナの本体をおおっている物質です。ガウナはヘイグス粒子を使ってエナを作り出しているんです。

ガウナはエナを使って、衛人型のガウナや捕食したパイロット・星白閑(ほしじろ・しずか)とそっくりな「紅天蛾(ベニスズメ)」を創造

シドニア側でも戦闘後にエナを回収し分析。ガウナを倒せる唯一の物質「カビ」を人工的に製造することに成功。

推測ですが「アポシムズ」はシドニアから離れた後、はるか彼方の宇宙空間で人工天体として存続。

そして、エナの性質を研究。人工天体でも正規人形などに転用している。そう想像してしまいます。

「人形の国」は「シドニアの騎士」の続編的な要素を楽しめるんです。

まとめ・読めばハマる弐瓶ワールド

ストーリーの進行とともに弐瓶ワールドにハマっていく

ザックリ過ぎる感もありますが、ここまで作品を楽しむための基礎知識を説明してきました。

でもページを開けば、むずかしい前置きは不要。ストーリーにどんどん引き込まれます。

作品中には物語の世界観を理解するための知識が紹介されていて、気が付けば頭に入っているんです。

ほとんどのSF作品はそういう作り方ですが、「人形の国」もストーリーの進め方が巧み。

さらに基礎知識があれば、鬼に金棒です。

白い世界の表現が抜群


また、極寒の状況を描くためと思われますが、ベタは少なく、影は薄いスクリーントーンで表現されています。

その効果は抜群。白くて寒々とした風景が広がる世界に、もう何十年もいるようにドップリはまり込んでしまいます。

そして、敵と闘うための「正規人形」への変身。攻撃を食らって体がバラバラになりながらも復活するシーン。

ワクワクさせてくれる要素があふれています。これが弐瓶ワールドです。

ここまで説明してきた基礎知識を踏まえて、ぜひ作品をお読みください。

独創的な世界観とバトル要素」を期待している方は、絶対に作品にハマります。

世界観が分かりにくい」という人は、理解度がグンと上がって作品が楽しめますよ。

当ブログでは、ほかにもSFマンガについて紹介しています。よろしければ、ごらんください。







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