ワタシも中学生のころにやりました |
コインを動かす〝怪異〟や祟りの正体を解くカギは「集合的無意識」にある
小学生や中学生のころ、だれもが一度はやったことがある「コックリさん」。
鳥居や50音の文字、「はい」「いいえ」などが書かれた紙の上に10円玉。
2〜3人で10円玉に指を置いて呪文を唱えると、目に見えない超自然的な存在=神霊がやってくる。
「あの子はだれが好きなの?」なんて質問をすると、10円玉が動き出して文字に移動しながらメッセージを伝える…。
コックリさんは神霊による占いとして、令和の今でも人気。実際にやっている人がたくさんいます。
一方で「霊なんかいない」「わざと10円玉を動かしているだけ」なんて声もある。だからコックリさんに興味がある人から、
「コックリさんの正体は、霊や神さまなの?」
「コックリさんで10円玉は本当に動くの? なぜ動くの?」
「コックリさんは怒らせると祟りがあるって聞くけど、危険なの?」
なんて声がたくさんある。そんな疑問に分かりやすく答えている本があります。
「こっくりさん解剖 怪奇現象のメカニズムを徹底解明!」。
この記事では、この本が教えてくれるコックリさんの奇怪な現象やメカニズムについて紹介。さらにワタシの考察も交えて、
- 紙の上の10円玉を動かすコックリさんの正体とは?
- コインが動く原因とコックリさんの〝占いやお告げ〟の正体は?
- コックリさんの〝祟りや霊障〟が起きる原因と〝お祓い〟の方法
上記の3つの秘密について紹介&解説します。
この記事を読めばナットク&マンゾク。コックリさんの正体や10円玉が動くメカニズム、祟りの原因などが分かりますよ。
コックリさんとは何か?
★コックリさんの正体に迫った電子書籍
まずは、この記事で取り上げる「こっくりさんの解剖 怪奇現象のメカニズムを徹底解明!」(上の写真)から紹介します。
2023年4月に電子書籍として発売。共著でこっくりさん解剖委員会ならびにタニタニさんら。
オカルトファンとして「超常現象へ科学的にアプローチしている本はないかな?」と「amazon」で探していたら、発見。
全68ページ。スマホ読書用に文章が横書きスタイル。紙の本だったらペラペラかなと思ったけどメチャ面白い! 勉強になる!
コックリさんの歴史や正体、そしてやり方などを紹介。心理学&超心理学的な考察もくわしくて分かりやすい。
共著者の中に「魔術師(マジシャン)」の方がいるようで、マジック的な視点からの考察もハマりました。
★コックリさんの起源は?
この本でも分かりやすく掲載されていますが、改めてコックリさんの歴史について紹介します。
コックリさんは占いの一種。19世紀の欧州で流行したテーブル・ターニングが起源とされています。
ただテーブル・ターニングの起源は不明。15世紀のレオナルド・ダ・ヴィンチが自著に同じような現象を記録しているそうです。
そしてやり方。霊媒師を含む数人がテーブルを囲んで手を乗せる。やがてテーブルがガタガタと〝自然〟に動いて、質問に答えるスタイル。
テーブルが動くのは訪れた霊によるものとされ、降霊術として欧州で大流行。
文字や数字が書かれた板と文字を指し示すプランシェットがセットになったウィジャボードに発展しました。
★明治時代に来日
テーブル・ターニングが日本にきたのは明治時代。伊豆・下田にいた米国船員がやっていたことから各地に広まった。
仏教哲学者で東洋大の創始者・井上円了さんが、著書「妖怪玄談」でそう紹介しています。
当時は3本の竹で組んだ脚に米びつのフタをのせて使用。フタがこっくりこっくりと動くので「コックリさん」と命名。
「こっくり」に「狐(こ)狗(く)狸(り)」の文字が当てられました。動物霊が降りてくるとされるのは、当て字が理由のよう。
やがてウィジャボードも到来。稲荷信仰などでアレンジされて、今の「紙に50音と鳥居」というスタイルになりました。
1970年代には、つのだじろうさんの心霊漫画「うしろの百太郎」(上の写真)で紹介され、大ブームが起こりました。
「コックリさん」にはバリエーションがあって「エンゼルさま」「キューピットさま」など、いろんな名前で呼ばれてます。
えんぴつやシャーペンなどを2人で持ち「彼が好きな人はだれ」と質問すると、えんぴつが動いて名前らしきものを書いていく。
学校で流行ったものは主に恋愛占い。だから「エンゼル」とか「キューピット」などと呼ばれてるんですね。
1.紙の上の10円玉を動かすコックリさんの正体とは?
西洋のウィジャボード。原理はコックリさんと同じ |
ご存じの方が多いと思いますが、改めて本で記載している「こっくりさんのやり方」を紹介します。
用意するものは、①紙とペン②コイン(一般的には10円玉)。
紙に50音と0〜9までの数字や「はい」「いいえ」の文字を記し、鳥居(コックリさんの出入り口)を描きます。
そしてコックリさんの手順(やり方)
- 鳥居の上にコインを置く。
- 参加者全員でコインに指をそえる。
- 「コックリさん、コックリさん。おいでください。おいでくださいましたら『はい』へお進みください」と唱える。
- コインが「はい」へ進んだら成功。
- コックリさんにいろいろ質問してみる。
- 終わったら「コックリさん、コックリさん。お帰りください」と唱える。
- コインが鳥居に戻れば終了。
この本では「コックリさん」をやる上での注意事項(ルール)も紹介しています。
- コックリさんは1人でやってはいけない。
- 途中で指を離したり、止めたりしてはいけない。
- 「あなたはだれ?」など正体に関わる質問はしない。
- 何が起きても動揺しない。
- 終わったら紙は細かく破り、コインはすぐ使い自分の手持ちではなくしてしまう。
この注意事項は「コックリさん」のメカニズムに関わることなので、改めて後述します。
★コックリさんの正体は?
コックリさんは降霊術の一種。コインが動くのは、キツネや犬などの動物霊や低級霊のしわざといわれています。
でも、そんな超自然的な存在ってホントにいるの? これは人類が誕生してから、いまだ答えが出ていないテーマ。
だからコックリさんが流行した19世紀の欧州や明治の日本でも、さまざまな研究家が検証・考察しています。
怪奇現象はすべて、儀式に参加している人たちの、心理的な作用の組み合わせで動いている。物理的な法則が適用されないような怪奇現象には、大きく分けて2つの分類の仕方がある。井上は「幽霊や天狗などといった諸怪異が起こす外的なもの」「人間の精神的なものから生じる内的なもの」と分類した。
「諸怪異」は人間の持つ原始的な感覚や直感が、共感を起こしたことによる幻ではないか。「諸怪異」は「人間の精神的なものから生じる内的なもの」で、井上も結論としてコックリさんをこれに分類している。
★潜在意識と不覚筋動
巷の話では、勝手にコインが動き、質問に答える仕組みとしては、潜在意識によるものと不覚筋動によるものとされる。井上も、動く原因はこの2つが結びついたものと見解を述べている。
「潜在意識」について、円了さんは「予期意向」と呼んでいます。あらかじめ心の中で答えを予想しているということ。
「不覚筋動」は無意識に筋肉が動く現象。コックリさんは参加者の心に質問の答えがある状況で、無意識にコインを動かして答える現象としています。
電磁気学「ファラデーの法則」で有名なイギリスの物理学者、マイケル・ファラデーらも実験や検証でそう結論付けている。
ウィキペディアなどでも紹介されているメカニズムです。
この本では「半分正解、半分不正解」。共著者のマジシャンとしての視点と心理学&超心理学的な観点で考察を加えています。
これがメチャ面白いんです!
2.コインが動く原因とコックリさんの〝占いやお告げ〟の正体は?
コインやえんぴつを動かしているのは霊なの⁉︎ |
★フレイザーの「共感の法則」
フレイザーによると、「共感の法則」は人間が営む呪術的な文化の中で見られる、精神的な作用として存在する。
連想ゲームのような観念のつながりで生じる仕組み。さらに「類似の法則」「感染の法則」の2つで構成されている。
「類似の法則」は丑の刻参りのわら人形、陰陽師が使う人形(ひとがた)などに害を加えると対象者にも同じ危害がある現象。「感染の法則」は一度触れたことのあるものは、いつまでも触れ続けていること。
この本ではコックリさんを含め「怪奇現象とされる不可思議な出来事は、2つの法則の応用で紐解ける」と主張しています。
★意識と無意識
「無意識」は「個人的無意識」「集合的無意識」の2つに分けられている。「個人的無意識」は日常生活で自覚していない意識。「集合的無意識」は個人の経験を超えて、人類共通に持っている意識の集合体。
違う駅へ行くときに、気づいたら最寄り駅へ歩いていて「間違えた…」なんてこともある。まさに無意識によって起きるミスです。
「集合的無意識」は個人クラウドが全人類規模でつながって「人類クラウド」といった感じ。
ここにアクセスすると「全人類の英知」が分かる。だからこの本では、この世の〝怪異〟も詰まっていると説明しています。
この「集合的無意識」から引き出される情報が、コックリさんの占い結果やお告げの正体というわけです。
★心身一如の法則
この本では、コックリさんが「集合的無意識」から質問の答えを導き出していると説明しています。
だから、儀式の場にいない「あの人が好きな子」のことでも「集合的無意識」から引き出して教えてくれるーというワケ。
なぜ紙と10円玉でそんなことができるの? この疑問についても、この本は「心身一如の法則」が関係していると説明しています。
「心身一如」は仏教の教え。鎌倉時代の禅僧・道元が「心と体は一体」という意味で説きました。
要するに、心の状態が体に影響し、体の状態が心に影響するーということ。
耳や目など体に入ってくる音や映像=情報が、心=意識に影響する。この「心身一如」を通して無意識に到達する。
この到達方法の最も有名な手段が、催眠術。体の外から潜在意識に働きかける典型的な方法とのことです。
暗い部屋で糸でつった5円玉を揺らして「だんだん眠くな〜る」なんてされると、寝ているのか起きているのか分からなくなる。
いわゆるトランス状態にして潜在意識(個人的無意識)に働きかけます。
そしてコックリさんの場合、「場の空気」が「集合的無意識」に導く方法だと主張しています。
3.コックリさんの〝祟りや霊障〟が起きる原因と〝お祓い〟の方法
途中で指を離しちゃダメだよ… |
★「場の空気」を利用する
例えば心霊スポット。きっと何かよくない者が潜んでいて、入れば呪われる。百物語なら1話話すたびにロウソクを1本消す。やがて100本消すと、怪異が現れる。
そして、コックリさんなら「動物霊がコインを動かす」「指を離したら霊が怒って祟られる」なんて情報。
この情報=恐怖感は「コックリさんのルール」として参加者全員が共有している。
共有する恐怖感が参加者に自己暗示をかける。暗示がかかった状態で儀式をやると不覚筋動が起こる。
「あの子はだれが好き?」という質問には、「たぶんあの子」という参加者の潜在意識に答えがある。
だから参加者は無意識にコインを動かし、コインは名前の文字をたどっていく。
これが「場の空気」が利用されることで占い=怪異が発生する、コックリさんのメカニズムというワケです。
★参加者の脳波が同期する
この本の「場の空気」と「集合的無意識」の関係性の考察は、メチャ説得力があります。
実は2012年に名古屋大学の認知科学・生理心理学の学者さんがコックリさんを研究・実験した論文が発表されています。
論文によると、参加者がペアになってコックリさんを行い、儀式中にペアの脳波を計測。
驚くことに、儀式中のペアの脳波は同期していたそうです!
そして同期した原因については、ペアにはコックリさんの答えに対する共通の予測などを行っていたため、と説明しています。
ちなみに、テレビゲームなどで友人とオンラインでプレーする際も、2人の脳波が同期しているという研究論文もあるんです。
こうした研究成果を考えてみると、コックリさんは〝怪異〟というよりも超能力に近い感じ。
テレパシーは当事者間で脳を通じて情報を量子レベルでやり取りしているーそんな説があります。
心霊現象は超能力現象の1つという学説もあって、コックリさんの奇怪な現象もこうした観点から解明できるかもしれません。
心霊現象は超能力現象の一種という説があります |
★祟りや霊障のメカニズム
「コックリさんの途中で指を離したり、怒らせると祟られる」。コックリさんのルールでは、そう語られています。
実際に「コックリさんをやっていたら、霊を怒らせてキツネに取り憑かれた人がいて大騒ぎになった」なんて話を多く聞きます。
取り憑かれた人はキツネみたいに目が釣り上がり、キツネのようにピョンピョン飛びはねたなんてことも聞きます。
本当にコックリさんの祟りなの? 怖くなってビビってしまう…。
でも、この本ではそんな祟りや霊障なども「集合的無意識」で説明ができると記しています。
要するに、コックリさんの参加者は「コックリさんには祟りがある」という情報=恐怖感を共有しています。
そして「指を離す」などルールを破ると「祟られる」というルールと恐怖が暗示をかける。
儀式中に指を離したり、コックリさんが帰ってくれなかったりトラブルが発生した場合、パニックになる。
そんな状態の中、自己暗示によって精神的な影響を受け「キツネに取り憑かれる」現象を起こすーというワケです。
これは「心霊スポットに行ったら霊に取り憑かれた」なんて話と同じ。
ホラーファンは「心霊スポットには霊がいる」という「集合的無意識」からの情報=恐怖感を共有している。
そして心霊スポットで、不気味な物音や影などをキャッチして「霊だ!」とパニックになる。
パニック状態で「取り憑かれる」という暗示がかかり、心身に異常をきたす。まさに霊障の完成です。
これって、いわゆる「呪い」のメカニズムと一緒なんです。
当ブログでは「呪い」についての記事も紹介しています。ぜひ、ご覧ください。
「呪いって本当にあるの?」という人に知ってほしい「日本三大怨霊」との「呪術廻戦」
★お祓いの方法は?
コックリさんのルールを破って「祟られた」場合、どうすればいいのか? この本では、その対処法を紹介しています。
民俗学や宗教学では「邪気払い」として、その場を清めるために用いられることが多い。音を出す行為では、手をたたく=柏手も有効。柏手は神社などで神さまにお願いする前に自分を清める意味がある。お金をさい銭箱に投げるなど、お金で音を立てる「銭切り」も有効。さい銭箱で立つお金の音も、場を清める意味がある。
「笑う」行為も民俗学や宗教学で、場を清める行為として用いられている。
コックリさんは「場の空気」によって生じる「怪異」。不気味な雰囲気を笑うことで和らげ、邪気を払う意味がある。
この本で説明している通り、コックリさんの現象と祟りは「場の空気」による自己暗示で生じている「怪異」といえます。
だから大きな音を立てたり、大声で笑ったりすることで自分でかけた暗示を吹き払う有効性があると思うんです。
ワタシはお化け探知機「ばけたん」の愛好者です。
ばけたんは「霊」を探知すると赤く点滅して知らせてくれます。面白いことに、ばけたんには〝お祓いモード〟がついています。
発売元によると、探知機から乱数を発生させることで「場の空気」を変える仕組み。
ワタシは〝お祓いモード〟を起動させるのに加えて、柏手も打って気分を変えています。
気分を変えることが「集合的無意識」にある「霊」や「祟り」への恐怖感=自己暗示を吹き払うことができるお清め方法なんです。
まとめ・遊び半分でやるのはやはり危険です
遊び半分でやるのはやめようね |
ここまでコックリさんについて解説している本「こっくりさんの解剖 怪奇現象のメカニズムを徹底解明!」を紹介してきました。
そして、この本が教えてくれるコックリさんの奇怪な現象やメカニズムについて、
- 紙の上の10円玉を動かすコックリさんの正体とは?
- コインが動く原因とコックリさんの〝占いやお告げ〟の正体は?
- コックリさんの〝祟りや霊障〟が起きる原因と〝お祓い〟の方法
上記の3つの秘密について紹介&解説してきました。
この記事を踏まえて本を読めば、コックリさんの正体やコインが動くメカニズム、祟りの原因などが分かります。だから、
「コックリさんの正体は、霊や神さまなの?」
「コックリさんで10円玉は本当に動くの? なぜ動くの?」
「コックリさんは怒らせると祟りがあるって聞くけど、危険なの?」
そんな疑問がある方には、答えを教えてくれる面白い本です。そしてコックリさんをやる上でも必要な知識が理解できる本です。
そして最後に。コックリさんは「場の空気」と「集合的無意識」によって生じる〝怪異〟=自己暗示といえます。
予備知識がなくコックリさんをやると、精神的な影響を受ける危険性が十二分にあります。だからこの本を読むことをオススメします。
記事ではふれませんでしたが、この本では「集合的無意識」が全人類の知識のクラウド「アカシックレコード」につながる可能性を示唆しています。
この考察もメチャ面白くて、知識欲を刺激してくれます。興味がある方は、この本のページを開くことをオススメします。
当ブログでは、ほかにも超常現象について面白く&分かりやすく解説している本や漫画を紹介しています。ぜひ、ご覧ください。
「ばけたん」本当に幽霊に反応するの?何の役に立つの?という方にお勧め4つの実用性
「レインマン」心霊現象や超能力に迫る科学的研究の成果がわかる名作を徹底解説
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