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女王・卑弥呼は何者だったのか⁉︎ |
いにしえの世界とミステリアスな謎が想像をかきたてる大作
小説の中で、歴史モノは人気のジャンルです。
中でも歴史的な資料が少ない古代をテーマにした作品は、いにしえの世界の想像をかきたててくれるから最高に面白い。
特に女王・卑弥呼が君臨していた邪馬台国やヤマト政権は、その成立過程などが分からない分、めっちゃミステリアス。
それだけにファンもスゴく多い。だから、
「邪馬台国のあった場所や卑弥呼の謎に迫る、面白い作品を探しています」
「邪馬台国とヤマト政権にはつながりがあるのか、そんな謎を追いかけるような作品が読みたい!」
なんて声がたくさんあります。さらには、
「日本人がどこから来たのか、日本人の起源に迫るような作品ってないの?」
なんて声もある。そんな人たちにオススメしたいのが、伊勢谷武さんの「ヒミコの暗号」。
邪馬台国と卑弥呼の謎やヤマト政権との関係性を追究し、さらには日本人の起源にも迫る大作なんです。
この記事では「ヒミコの暗号」が持つ魅力や読みどころとして、
- ヤマト政権の源流は阿波にあったとする邪馬台国阿波説
- 邪馬台国阿波説が持つ畿内説、北九州説を上回る説得力
- 最新科学と世界的な視点から提示する日本人の起源
上記の3つの読みどころについて紹介&解説します。
この記事を読めば、作品が追究する邪馬台国や卑弥呼をめぐる謎やヤマト政権とのつながりについての魅力的な主張がよく分かります。
アジアや世界的な視点からみた日本人の起源に関する考察のスゴさもよく分かります。
さらには作品を手にしてページを開いてみたくなりますよ。
※この記事ではアフィリエイトプログラムを利用して商品を紹介しています。
「ヒミコの暗号」って、どんな作品なの⁉︎
★最新科学の成果で歴史を考察
「ヒミコの暗号」の著者は、伊勢谷武さん。投資家情報関連の企業を経営する一方で、小説などの著作を発表されている人。
2019年の「アマテラスの暗号」、2023年の「銃弾の真実 アベ元首相暗殺の謎と隠された歴史の闇」。
いずれも歴史ミステリーのジャンルですが、伊勢谷さんの作品の特徴である最新科学の成果で歴史を考察した内容が最高に面白い!
特に「アマテラスの暗号」は、日本とユダヤの共通する歴史&文化などをベースにストーリーを展開。
古代の日本にユダヤ人が到来して、ヤマト政権の成立や日本の社会・文化に多大な影響を及ぼしたと主張しています。
日本とユダヤの共通点をたくさん取り上げ展開させていくストーリーは、小説なのにノンフィクションかと思うほど説得力が十分。
ハッキリ言って、めちゃ面白いんです。
★邪馬台国「阿波説」のトンデモない説得力
この記事で紹介する「ヒミコの暗号」は、伊勢谷さんの最新作として2025年6月に発表。
「アマテラスの暗号」でハマったワタシは、伊勢谷さんの邪馬台国と女王・卑弥呼への考察がどんな感じか楽しみでページを開きました。
そして読了後、作品の圧倒的な説得力にマジで驚きました。
伊勢谷さんの邪馬台国についてのスタンスは、「阿波説」に基づいています。
現在の学会で主流となっているのは「畿内説」。そしてワタシが支持している「北九州説」が有名です。
一方で、「阿波説」は現在の四国・徳島に邪馬台国があったという説。ここ最近になって注目を集めている説です。
くわしくは当ブログで公開している、下記の記事をご覧ください。
『邪馬台国論争』畿内、九州…「今はどの説が有力⁉︎」という方にお勧め!分かりやすくて面白い研究本4選
「ヒミコの暗号」では、現在の徳島県などに実際に存在している遺跡や歴史資料をこれでもかと紹介して「阿波説」を考証。
ヤマト政権とのつながり、さらには日本人の起源までをリンクさせた壮大な作品なんです。
次項からは作品の読みどころを1つずつ紹介&解説していきます。
1.ヤマト政権の源流は阿波にあったとする邪馬台国阿波説
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AIが古代の日本の姿を弾き出していく |
★真実の歴史を構築するAI「チャットベリタス」
「ヒミコの暗号」の主人公は、東大の女子学生である十条叶羽(かのは)。
東大文学部で万葉集などの和歌を学ぶ学生で、「和歌の中には歴史的な真実が隠されている」と追究している女子大生です。
叶羽は自身の家系からも〝隠された秘密〟を感じて、それが何かを追い求めているヒロインです。
叶羽は友人の石河亮成と、指導教授の山本篤史がマネージャーを務める生成AI「チャットベリタス」プロジェクトに関わることに。
「チャットベリタス」は歴史の一次史料の分析と各説や推論などを組み合わせた情報から、真実に近いパターンを構築する。
要するに、いろんな情報を提示する従来のAIと違い、「チャットベリタス」は全ての情報や研究成果を分析して〝真説〟を提示するAIなんです。
そしてAIの技術担当・藤堂欣充と技術責任者・宮越翔一朗らが叶羽らとベリタスに歴史的な疑問を問いかける。
そしてベリタスが提示した〝真説〟が、叶羽ら登場人物たち、さらには読者を阿波に残された異様な歴史的事実に引きずりこんでいくんです。
★壬申の乱の舞台は阿波だった⁉︎
藤堂らの質問で、まずチャットベリタスが叶羽たちに提示したのは「壬申の乱」の〝真説〟でした。
壬申の乱は西暦672年に起きた、日本の歴史上で最初となったヤマト政権の内乱。
天智天皇の弟とされる大海人皇子(後の天武天皇)と、天智天皇の息子である大友皇子による皇位継承を巡る戦いです。
今の岐阜や奈良、さらに三重や滋賀などの各県を舞台に、両勢力の軍隊が激突。
その詳細は西暦700年代に編さんされた「古事記」や「日本書紀」(以後は記紀)に記されています。
歴史の授業で必ず教わる史実に対して、ベリタスは衝撃的な指摘をするんです。「壬申の乱の舞台は、史実の場所ではない」と。
ベリタスの指摘では、2〜3万とされる大海人軍が1日に移動した距離が長すぎる。
大軍には険しすぎる行軍行程を、わずか数日で達成している。実際には不可能なはずだ、と。
さらに「記紀」に記された舞台と実際の現地の地形などには、時代による変化にかかわらず大きな違いがありすぎる、と。
ベリタスはさまざまな史料や地形データ、行軍シミュレーションなどで分析した結果、壬申の乱の舞台は阿波だと指摘。
「記紀」に登場する戦場の舞台の地名が阿波にはすべて存在し、その地名に合わせた行軍行程はピッタリと一致する、と。
ベリタスの指摘を受けたプロジェクトのメンバーや叶羽たちは、「記紀」の内容が意図的に改ざんされた可能性に気づくんです。
そして意図的に〝記されていない史実〟があるのではないか?
ストーリーでは、ベリタスの分析や叶羽たちの現地調査などで〝記されていない史実〟が次々と明かされていくんです。
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祖谷渓で有名な徳島にはヤマト政権にまつわる史跡がたくさん |
★歴代天皇の〝欠史八代〟の謎
ストーリーで登場する〝記されていない史実〟のうち、衝撃的だったのが「欠史八代」をめぐる謎のくだりです。
天皇家は神武天皇を初代として現代まで続いています。ただ第2代の綏靖天皇から第9代の開化天皇までの詳しい史料がないんです。
「記紀」には8人の天皇の名前や在位年数の記述はあるけど、各天皇のくわしい事績が記されていません。
そのため「欠史八代」といわれていて、実際には存在しなかったという見方が主流です。
古代のヤマト政権の根拠地だった奈良には、欠史八代の天皇の御陵があるとされています。
ただ、それは明治時代に政府が「おそらくここだろう」と比定したにすぎず、決定的な証拠はないんです。
一方、ストーリーでは四国には欠史八代の天皇を祀っているとされる神社が存在すると紹介しています。
叶羽がベリタスで「欠史八代 関連神社」と検索した結果、最も古い神社がある徳島から愛媛、高知、香川に点在しているとされています。
史実に記されていなくても、欠史八代が存在した痕跡は神社などの土地に残っている。
記録にはなくとも人々の記憶に残る史実が存在する。〝記されなかった〟のは、「記紀」編さん当時の為政者たちに不都合があったから。
叶羽たちはそう考え、阿波に残された謎を解き明かしていくんです。
阿波には、古代のヤマト政権の本拠地だった奈良周辺と同じ地名が今も残されているそうです。
また「記紀」などに記された、出雲を含めた神代の神話や伝承、それにまつわる地名まで存在する。
ヤマト政権にまつわる痕跡に加えて、邪馬台国や女王・卑弥呼にまつわる痕跡も存在するとして、叶羽たちは解明への旅に出るんです。
2.邪馬台国阿波説が持つ畿内説、北九州説を上回る説得力
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卑弥呼が統治した邪馬台国は阿波にあった⁉︎ |
★邪馬台国=ヤマト政権の説得力
「邪馬台国阿波説」は、「記紀」に記された神代神話に出てくる地名や伝承のほとんどが阿波=徳島にあると指摘しています。
高祖神アマテラスがこもった「天岩戸」、スサノオの八岐大蛇退治、さらにオオクニヌシが活躍する出雲神話。
神代の神話にまつわる遺跡や遺物、地名が現代に残っている。それゆえ、ヤマト政権の発祥の地だと主張しています。
そして邪馬台国はヤマト政権の前身で、女王・卑弥呼はアマテラスだった。その痕跡も阿波には残されているー。
阿波説の主張はざっとこんな感じです。
「ヒミコの暗号」では、この阿波説をベースにして一次史料や現地調査、科学的な見地での分析で、阿波説を検証しています。
まずは邪馬台国が阿波にあったとする理由として、「魏志倭人伝」に記された邪馬台国への行程・距離についての指摘です。
これまで「倭人伝」に記された朝鮮半島から邪馬台国までの行程・距離が、畿内説や北九州説にマッチしないとされてきました。
一方、阿波ならば行程・距離がほぼ正確にマッチする。これも阿波説が根拠としていることですが、ストーリーではさらに考察。
邪馬台国までの行程で、当時の海流などの分析や「倭人伝」に記された土地の様子などを検証。
ベリタスに「阿波こそが行程にマッチする」と代弁させています。
そして、ベリタスが叶羽たちに示すその根拠。くわしくは作品で読んでほしいんですが、メチャ説得力があるんです。
さらに叶羽たち(伊勢谷さん)は実際に現地にある邪馬台国にまつわる遺跡や神社などを訪れ、阿波説の信ぴょう性を体感していきます。
★なぜか墓跡とされる3世紀前半の〝古墳〟
ストーリーでは、叶羽らが徳島にある邪馬台国にまつわる痕跡=遺跡をめぐっています。
読んでいて驚いたのは、徳島には古代の人たちの居住跡や古墳が密集している地域があること。
畿内説が邪馬台国の本拠地とする奈良周辺には、居住跡はほとんど見つかっていないんです。
古墳にいたっては阿波には2000基以上あるとされていて、その密集地域は邪馬台国の都とされる奈良・纏向遺跡よりはるかに広い。
そのうちの「西山谷2号墳」(鳴門市)のくだりはメチャ面白いんです。
築造された年代は3世紀中ごろ=弥生時代、日本では最古級とされています。そして当時の中国製の銅鏡が発見されています。
形は円墳だけど、そのつくり方が弥生後の古墳時代に出現する前方後円墳のプロトタイプになった可能性があると評価されています。
そして「萩原2号墓」(鳴門市)。こちらは方墳と円墳が組み合わさった前方後円墳の形をしていて、築造は2世紀末〜3世紀初頭。
やはり当時の中国製の銅鏡が出土しているんです。
「倭人伝」には、魏の皇帝が卑弥呼に金印と大量の鏡(銅鏡)を送ったと記述されています。
さらに卑弥呼が亡くなったのが3世紀中ごろとも記しています。
日本で最古級の前方後円墳とされているのは、奈良のホケノ山古墳。そして箸墓古墳は畿内説が「卑弥呼の墓」と主張しています。
畿内説は、両古墳が3世紀中ごろの築造で邪馬台国の時代に合致する、魏から送られた鏡(三角縁神獣鏡)も出土したとアピールしています。
でも、ホケノ山古墳は炭素年代測定で築造は4世紀ごろ。箸墓古墳は出土した遺物が4世紀ごろのモノ。
さらに出土した三角縁神獣鏡は中国製じゃなくて、日本で作られた〝和製〟とされています。
要するに卑弥呼の墓とされる古墳は、築造年代的に箸墓古墳よりも徳島の古墳群の方がマッチする。
そして古墳群の中で、アマテラスにまつわる遺跡を発掘したら世紀の大発見がある可能性が高いわけです。
それにもかかわらず、阿波の古墳密集地域は詳細な学術調査が行われていない。
萩原2号墓にいたっては、築造年代が弥生時代末期でその後の古墳時代ではないとして〝前方後円墳の形をした墓〟とされています。
この事実に叶羽は思わず「歴史の改ざんじゃないの⁉︎」とつぶやく。
さらに調査を進めるにつれて、歴史を「改ざん」する勢力に襲われるなど命の危険にさらされるんです。
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奈良の箸墓古墳は本当に卑弥呼の墓なのか⁉︎ |
★ヤマト政権成立の真実を隠す勢力
邪馬台国阿波説では、徳島に残る遺跡・遺物などが注目されてこなかった原因をいくつかあげています。
その1つが「昔も今も、時の権力者には阿波と皇室に関係がないように見せかけたい理由があるんじゃないか⁉︎」。
「ヒミコの暗号」では、阿波がヤマト政権(邪馬台国)発祥の地であることを隠し続ける勢力や組織が登場します。
阿波の謎を解明しようとする叶羽たちを襲撃したり、阿波の秘密が描かれている古文書をめぐって人を殺める事件も発生します。
まずは「幻影会」。謎の老人に率いられた秘密結社で、メンバーはあらゆるところに潜んでいる感じ。
阿波の秘密を探ろうとする研究者を発見するための情報網を、国内中に張りめぐらせている。
チャットベリタスが提示した推論を検証する叶羽たちを脅迫したり。ベリタス自体に検索できないようにシステムを改変したり。
相当な権力者が背後にいて暗躍しているイメージです。
叶羽たちは脅しに屈せず、一次史料の分析や現地調査などで「記紀」の編さんにかかわったヤマト政権の権力者を突き止めます。
「日本書紀」は720年、「古事記」は712年に完成。天武天皇が推進したことで成立した、日本と皇室の正史です。
当時の日本は「白村江の戦い」(663年)で唐・新羅連合軍に敗北した影響が続いていて、体外的に厳しい状況にあったようです。
また「壬申の乱」に勝利してトップに立った天武天皇には、政権として国内を固める必要もありました。
そんな天武天皇の政権を支えた人物がいます。名前は作品で確認していただきたいですが、後の朝廷で権力を保持し続けた一族のトップです。
当時の政権は、敗北した唐と対等な立場での外交を結びたい考えがあった。
ただ政権の源流=阿波には、外交戦略で〝マイナスに働く歴史〟があった。
それ故に政権のトップは阿波の歴史を記していない正史をつくり、体外的にアピールしたー。
さらに政権のトップの末えいが、叶羽たちを襲撃する「幻影会」だったー。
幻影会は、現代でも日本を支配下に置きたい〝アジアの超大国〟に〝歴史的な事実〟でつけ込まれないように阿波の秘密を隠している。
一方で〝アジアの超大国〟も、対日政策で武器になる阿波の秘密を手にするため工作員を使って叶羽たちに襲いかかるー。
「ヒミコの暗号」は、そんなサスペンス&ミステリー要素があふれているんです。
3.最新科学と世界的視点から提示する日本人の起源
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人類はアフリカで誕生しユーラシアへの旅に出た |
★DNAが示す日本人のグレートジャーニー
「ヒミコの暗号」では、叶羽を阿波の謎への探求に導く人たちが多く登場します。
東大の学生で叶羽の先輩、北野公一朗がその1人。最新科学の分析の視点から、叶羽を導いていきます。
人類=ホモサピエンスは約20〜30万年前にアフリカで誕生。約6〜7万年前にアフリカを出発しユーラシア大陸へ渡り、東へと旅立ちました。
人類は行く先々で定住し、さらに先へ進む。そんな旅の中で定住先の環境に適応するためかDNA(遺伝子)が変化していく。
そして約3万8000年前(旧石器時代)、日本人の祖先は日本列島にたどり着く。
アフリカ大陸から日本列島へ。まさにグレートジャーニーです。
この旅について、北野は世界各地の人種が持つDNAの分布を叶羽に示します。
何と日本列島にたどり着いたDNAが、さらに韓国をへて東アジアの一部へ移動している!
また北野は、約2万年前まで続いた旧石器時代の遺跡について言及。
日本には約1万4500カ所以上ある一方で、他の国は1つの国で数十カ所というレベル。
日本では約3万8000年前から遺跡数が急増。遺跡数は人口に比例し、当時の日本は世界屈指の人口密集地だった可能性がある
ストーリー上で北野が明かしていく科学的データは、実際に東大などの研究者が公表しているモノ。信頼性は確かです。
そして日本人が持つDNAの系統を調べると、日本人を親とすると同じDNAを持つ東アジア人が子や孫になる。
要するに、日本人のDNAは朝鮮半島をへて東アジアに移動したと主張している!
さらに北野によると、日本人はグレートジャーニーで推定されるアフリカからの「南ルート」で列島にたどり着いたと指摘するんです。
★日本人を列島に導いた黒潮
これまで日本人の祖先は、アフリカから日本への旅で2つのルートを通ったとされていました。
1つは「北ルート」。ユーラシア大陸の北部を回るルートで、シベリアやヒマラヤ山脈を越えて中国大陸を南下する行程です。
もう1つは「南ルート」。インドネシアから島々を伝って海を移動する行程です。
北野が明かす最新科学の分析では、主体は「南ルート」。日本人は海から日本列島にたどり着いたと主張しているんです。
その根拠はDNA。「北ルート」の場合、日本人が持つDNAが中国の陸地地域で途切れる。この地域には存在しないからです。
一方、「南ルート」では、中国南部と東に続く沖縄諸島に日本人のDNAが存在し、列島の太平洋側地域に分布が続いている。
要するに、海から直接来たと考える方が自然で理にかなっているんですね。
この海の旅を可能にしたのが黒潮。東シナ海から日本列島の太平洋側に沿って流れ、房総半島沖にたどり着く海流です。
日本人の祖先は黒潮を高速道路のように利用し、長距離を航海し海流の厳しい海域を往復する技術もあった。
その一例を示すのが黒曜石。古代にナイフとして使われた石で、伊豆・神津島でも産出されています。
そして伊豆や関東で、約3万8000年前の神津島産の黒曜石が多く発見されているそう。
この事実を考えると、日本人の祖先は約3万8000年前から本土と神津島の間で黒曜石を取引していた可能性があるわけです。
そういえば、縄文時代の遺跡である貝塚って、日本列島の太平洋側に多いんですよ。
そしてワタシが住む千葉県を筆頭に東京湾沿岸、南九州や四国南部、大阪湾…。
黒潮に乗ってやってきた人たちの、まさに痕跡といえそうです。
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夕空の下で噴火する桜島 |
★日本人の祖先を動かした3つの災害
「ヒミコの暗号」では、海を渡り日本列島にやってきた日本人の祖先は、その一部が阿波に移り邪馬台国=前ヤマト政権を成立させた。
そう紹介しています。でも前述したように、祖先が朝鮮半島を経由して東アジアにも移動したとも主張しています。
そして祖先たちが移動した理由にも言及しているんです。その理由は列島を襲った「3つの災害」です。
1つ目が「姶良カルデラ大噴火」。鹿児島湾と桜島を囲むカルデラ(火山のあるくぼ地)が約3万年前に大噴火を起こした事例。
2つ目が「鬼界カルデラ大噴火」。鹿児島の大隅海峡にあるカルデラが、約7300年前に大噴火した事例です。
いずれの噴火でも被害は甚大。現地周辺は壊滅的な被害があり、列島中に火山灰が降り注いだと想定されています。
これらの大災害で生き残った祖先の一部は「北」(朝鮮半島から東アジア)へ逃れた。
一部の祖先は現地に残って復興させ、または居住可能な土地に移ったとしています。
邪馬台国阿波説でも、日本が地震大国である影響を指摘。大地震や津波を避けるため、阿波の山間部に政権が成立したと主張しています。
ストーリーでは、阿波で成立した邪馬台国はやがて九州や瀬戸内、さらには畿内へ勢力を広げていくと主張。
阿波より広く災害に強い奈良周辺にも、政権の役所的機能を設置。その痕跡が纏向をはじめとした遺跡だとしています。
畿内の遺跡に居住の痕跡が見つからないのは、政務を担当する出張所があっただけだから。当時の政権は二重構造だったといえそうです
でも、その二重構造を変えざるを得ない事態が発生。「白鳳地震」です。
飛鳥時代の後の白鳳時代、西暦684年に発生した古代の南海トラフ地震とされています。
宮崎県から静岡県の沿岸部を指す南海トラフ地域では、深刻な被害が発生しました。
阿波でも壊滅的な被害を受け、ストーリーでは国全体を政権出張所のある畿内に移したと主張しています。
ここまで紹介してきた〝真説〟を知った叶羽たちは、幻影会や某国の組織の妨害を受けつつ、阿波に残された秘密に迫ります。
邪馬台国=ヤマト政権、そして卑弥呼の正体にも…。続きはぜひ、作品をご覧ください!
まとめ・古代日本の謎やサスペンス感が満載のストーリーを楽しもう
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ホケノ山古墳は最古級の前方後円墳とされるが… |
ここまで「ヒミコの暗号」について紹介してきました。
そして、この作品が持つ魅力や読みどころとして、
- ヤマト政権の源流は阿波にあったとする邪馬台国阿波説
- 邪馬台国阿波説が持つ畿内説、北九州説を上回る説得力
- 最新科学と世界的な視点から提示する日本人の起源
上記の3つの読みどころについて紹介&解説してきました。
「ヒミコの暗号」は、邪馬台国と卑弥呼の謎やヤマト政権との関係性を追究し、さらには日本人の起源にも迫る大作。
この記事を読んで、作品が追究する邪馬台国や卑弥呼をめぐる謎、ヤマト政権とのつながりについての魅力的な考察が分かったと思います。
さらにアジアや世界的な視点からみた、日本人の起源に関する考察のスゴさもよく分かったと思います。だから、
「邪馬台国のあった場所や卑弥呼の謎に迫る、面白い作品を探しています」
「邪馬台国とヤマト政権にはつながりがあるのか、そんな謎を追いかけるような作品が読みたい!」
「日本人がどこから来たのか、日本人の起源に迫るような作品ってないの?」
なんて方にはピッタリの作品なんです。
この記事を読んで興味を持った方は、ぜひ作品をご覧ください。
古代の日本人を巡る謎とミステリーや、サスペンス感が満載のストーリーが楽しめますよ。
当ブログではほかにも面白い歴史作品を紹介しています。ぜひご覧ください。
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この記事で紹介した作品を「すぐに読みたい!」という方は、スマホなどにダウンロードすれば即読みできる電子書籍版がオススメ。
「ヒミコの暗号」は、「Amazon」の「Kindle」版で読むことができますよ。


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