中高生におススメ!苦手な日本史が好きになる歴史小説4選と活用法

2021年6月23日水曜日

小説を楽しむ

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日本史は面白い小説を読むと興味が湧いてきます

歴史の勉強は面白い作品を読んでから始めよう


中学生、高校生の方で、「これから日本史が好きだから勉強しよう」「社会の選択科目で日本史を選んだ」という人は多いでしょう。

今は「歴女」なんてワードが流行っているくらい、日本史は人気があります。

でも、受験科目で選択すると、覚えなくちゃいけないことがたくさん。

私は日本史が好きで英雄たちの名前や政変、戦乱などはすぐ覚えられました。

でも、時代年表や、各時代の宗教、文化など、ちょっと興味が薄い分野は苦労しました。

日本史に興味がなく、消去法で選択する人もいて「どうやって勉強したらいいのか分からない」と困っている人がいらっしゃるはず。

興味がなければ教科書や参考書を読んでも頭には入ってきません。 それじゃ、どうすればいいの?

面白い歴史小説を読んで日本史を好きになることが一番なんです。でも、ランダムに読んではダメ。

  1. まずは自分が興味のある英雄が描かれた作品から読む
  2. 各時代の好きな偉人が主人公の作品を読み重ねる

そういったやり方があるんです。ここでは日本史が好きになる小説の読み方とおススメの小説を解説します。

歴史が覚えられない」「受験で選択するけど、どうしよう」なんて悩んでいる人は、この記事をお読みになり実践してください。

日本史がメチャ好きになりますよ。

日本史が好きになる小説の読み方

まずは日本史が好きになるための小説の具体的な読み方と、なぜ好きになっていくのかを説明します。

  1. 自分が知っている、興味のある歴史上の英雄たちの姿を描いた小説を読む
  2. 歴史小説は主人公の設定が素晴らしく魅力的に表現されているから、好きになる
  3. 好きな主人公が歩む足取りは、史実上の事件や戦乱などが舞台になるので、覚えようとしなくても自然に頭の中に刷り込まれる。
  4. 各時代でも興味のある主人公を描いた小説を読み、好きになることで、読んだ各時代の史実が頭の中にインプットされる。

頭の中を好きな英雄の勇姿で洗脳せよ


要するに、興味のある歴史小説を読むことで、主人公が好きになると同時に史実も覚える。

各時代でそれを繰り返すことで、好きな各時代のピースを作り、それを固めて日本史パズルを完成させる。

坂本龍馬織田信長源義経卑弥呼。好きな偉人の時代的な足跡を小説で読むことで、頭の中を「日本史が好きだー!」と洗脳する。

今回は、特に人気のある幕末、戦国、源平、平安の4時代から、各時代を舞台にしたメチャ面白い小説を紹介します。

★面白くてハマる4つの作品

竜馬がゆく 司馬遼太郎


もはや説明はいらない、幕末の英雄・坂本龍馬の活躍を描いた国民的小説です。

原作は歴史小説の大家、司馬遼太郎さん。1962年6月から1966年5月まで、産経新聞(夕刊)で連載。

単行本、文庫本ともに文藝春秋社から計8巻刊行されています。

北辰一刀流の免許皆伝を持つ剣客、ピストルをフトコロに革靴をはき、日本中を蒸気船でかけ回る。

日本初の商社「亀山社中」や私設海軍「海援隊」の設立、犬猿の仲の薩摩と長州を結び付けた薩長連合

そして徳川幕府に政権を放棄させた大政奉還を成し遂げる。

龍馬が残した功績や活躍が描かれ、読者をドキドキ、ワクワクさせる魅力を紹介しています。

この現代に伝わる龍馬像は、この作品から生まれたといえます。龍馬ファンにとって、まさにバイブルです。

高知・桂浜の龍馬像

舞台は幕末。米国からの特使・ペリーによる黒船来航から始まる動乱の時代。

外国人を打ち払えという攘夷から尊王、天皇をいただく新政権で国難を乗り切れという考えからの倒幕など。

龍馬が多くの人と出会うことで知る思想的背景が、読むだけでスーッと入ってきます。

同時に、その背景から勃発する桜田門外の変、長州藩による蛤御門の変長州征伐、薩長連合、そして大政奉還、明治新政府の樹立ー。

歴史的事実は龍馬が直面し、関与しているだけに、その事例が起きた事情などすべて把握できます。

龍馬の周辺に登場する人物も魅力的。

師匠の勝海舟、若きころの剣術のライバルとして描かれる長州の重鎮・桂小五郎高杉晋作

薩摩の指導者・西郷隆盛大久保利通、徳川最後の将軍・慶喜ー。

みんなが知っている英雄たちが龍馬と出会い、共鳴し、あるいは反発。各登場人物の設定や説明もくわしい。

全8巻を読み終わるころには、完全に龍馬党として洗脳されています

私は高校時代にハマって2回読み、日本史の試験で幕末の問題は何も勉強しなくても高得点が取れました。

関ヶ原  司馬遼太郎


同じく、原作は司馬遼太郎さん。

応仁の乱(1467年勃発)から約140年続いた戦国時代を終わらせた徳川家康石田三成による天下分け目の決戦を描いた群像絵巻。

1964年7月から1966年8月まで、週刊サンケイで連載。単行本・文庫本はいずれも新潮社から発刊されています。

静岡・駿府城公園の家康像

舞台は豊臣秀吉が大坂で樹立した豊臣政権の末期。

太閤秀吉が亡くなることで、豊臣政権の最高実力者で天下獲りを狙う徳川家康と、豊臣政権を守ろうとする石田三成との対立が軸。

両勢力による謀略戦や、武力による最終決戦「関ヶ原の戦い」が描かれています。

面白いのは、徳川側は家康と謀臣・本多正信、石田側は光成と家老・島左近による謀略戦などの駆け引き。

両勢力は味方の武将を集めて東軍、西軍を編成し関ヶ原で激突します。

両軍にそれぞれ加勢した、前田、上杉、毛利、島津、黒田、小早川ら有力大名が置かれていた状況なども紹介。

複雑で面白い人間模様も描かれています。

1600年に勃発した関ヶ原の決戦は、何といっても戦国最大のハイライト。

興味を持つことで「戦国時代はいつから始まったんだろう」「豊臣、徳川の主だった織田信長はどんな人で、どんなことをしたんだろう」。

興味が次々とわきます。

ここまでの2作品は司馬さんの原作ですが、この大作家はもともとがサンケイ新聞の文化部記者。

司馬さんの文体は史実を忠実に細かく説明するスタイル。

読むだけでしっかりと史実が頭に入ってくる。それだけに、司馬作品はこの読書法にはおススメなのです。

新・平家物語  吉川英治

 
原作は吉川英治さん。「宮本武蔵」や「三国志」など有名すぎる代表作を誇る、戦前戦後の大歴史小説家です。

この作品は1950年から1957年まで、週刊朝日で連載。

現在は吉川英治時代文庫(講談社)で全16巻、新潮文庫で全20巻が刊行されています。

舞台は平安末期、源氏と平家による興亡の戦いが繰り広げられた時代です。

実際の義経はこんな顔だったようです

平家は保元・平治の乱で源氏に勝利し、権力を掌握。

棟梁・清盛は、屈服させた源氏の忘れ形見、頼朝義経を伊豆や東北に流し、太政大臣に昇りつめるなど、平家は隆盛を極めます。

だが、「おごれるものは久しからず」の言葉通り、平家はその慢心ぶりが反発を買い、源氏の一党が各地で挙兵。

頼朝が源氏の棟梁として伊豆で挙兵すると、世の流れは源氏に傾きます。

さらに、みちのくから義経が、挙兵した兄を助けるために駆け付け、戦陣に加わると、その天才的な戦術、戦略で平家軍を圧倒。

そして、九州・壇ノ浦の戦いで平家を滅亡させます。

でも、源氏にも悲劇が襲います。頼朝は先んじて鎌倉に幕府を開く一方、義経は後白河法皇に担がれて鎌倉と対立。

源氏の追討から逃れ、保護を求めてたどり着いた奥州・平泉で、あえなく最後を遂げるー。

今さら説明など必要のない、誰もが知っている源平の物語です。

吉川さんは原本の「平家物語」だけでなく「保元物語」「平治物語」「義経記」などを読み込んでベースにし、史実に忠実で読みやすい。

また、琵琶法師の「平曲」のような、抒情的な文体で武士たちの台頭と没落を描いていて、この世のはかなさを感じる名作です。

また「平家物語」自体が、国語の古典ではマストで取り上げられています。

「吉川平家」を読んでいれば、難しい原本の内容も「あの話だな」と簡単に理解できてしまいます。

古典への対策という意味でも、ぜひ読みたい作品です。

「陰陽師」シリーズ  夢枕獏


原作者は夢枕獏さん。1986年に「オール讀物」で短編「陰陽師」が発表され大人気となり、シリーズ化。

短編集と長編合わせ計17冊が単行本・文庫本として刊行されています。

この作品で、いまや国民的ヒーローとなった陰陽師・安倍晴明が、奇怪な事件の謎を解き、苦しむ人を救う姿を描く伝奇小説です。

史実をもとに描かれた、という感じではありません。

平安時代に編さんされた日本や中国、インドなどの不可思議な話、今でいう都市伝説や奇譚(きたん)」

さらに仏教説話をまとめた「今昔物語集」「宇治拾遺物語」などがベースです。

晴明といえば五芒星と式神です

もちろん、安倍晴明も上記の説話集には重要キャラクターとして登場しています。

陰陽道のマスターである晴明は、神秘的な力を持っており、鬼(霊)を見る力や呪いをはらう力で苦しんでいる人を助ける。

鬼を使役した「式神」で事件・事故現場や怪しい人物を探らせる。

また、自分の屋敷で人形に変身させて召し使いとして身の回りの世話をさせる。
夢枕さんは、古典に記されたエピソードをもとに作品を作られているんです。

このエピソードも日本史の教科書で、平安時代に流行した仏教説話として紹介されたり、古典の教科書にテキストとして掲載されてます。

要するに「陰陽師」シリーズを読んでおけば、エピソードの内容が完璧に理解できている。

教科書を開かなくても試験対策などはできてしまっている、というワケなんです。

作品には平安貴族が行っていた「方違え」(縁起が悪いとして進む方向を変えること)。

「物忌み」(一定の間、日常的な行為を控えて穢れごとを避けること)などの風習が出てきます。

こちらも平安時代の文化、風俗として教科書に出てくる事例。作品を読むことで、すでに勉強していることになるんです。

そういう意味で「陰陽師」シリーズも読みたい作品です。

まとめ・読むだけで勉強ができちゃう小説はたくさんある

ここまで紹介した4作品は、ほんのサワリです。

織田信長が好きな人は、桶狭間の戦いから本能寺の変までを描いた「下天は夢か」(原作・津本陽)など多くの面白い作品があります。

西郷隆盛が好きな人には、幕末の動乱から明治10年の西南戦争で亡くなるまでの軌跡を描いた「翔ぶが如く」(原作・司馬遼太郎)もお勧め。

各時代の好きな英雄の物語を読んで日本史パズルを完成


大切なのは、自分が興味を持った、いろんな時代で活躍した英雄たちを描く作品を数多く読み、各時代の知識を楽しみながら吸収すること。

その下地ができていれば、年表など暗記が必要な事例は、スーッと頭の中に入ってきます。

小説は創作の物語です。ストーリーをつくるために作家のみなさんは膨大な資料を集めて読み込み、舞台の背景となる史実を正確に再現する。

読者に分かりやすく興味を持てるように翻訳している。

歴史小説は、そんな努力が結実した最高の教科書であり、参考書なんです。

日本史が好きな人はもちろん「苦手だけど勉強しなくちゃいけない」という人は、ここまで書いてきたやり方を、ぜひ試してみてください。

きっと「日本史が好きになっちゃった」と感じ、いい効果がありますよ。

当ブログでは、ほかにも歴史について解説しています。よろしければ、ごらんになってください。




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