八王子、群馬、沖縄…ディープな日本史・郷土史が勉強できて最恐の「ご当地怪談本」厳選3作品

2022年7月13日水曜日

小説を楽しむ

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八王子城山の五合目。戦国時代の古戦場

怪談・奇譚を歴史的な視点で読んでみたい人にオススメ

スキな人は超大スキ。苦手な人は「やめてッ!」と耳をふさいでしゃがみこむくらい怖い、怪談

シャレにならない怖い話は、背筋がゾ〜ッと凍えて体中が震え上がります。


特に夏。「この暑さ、なんとかして〜!」と悲鳴を上げている人は体感温度が急低下⁉︎ 


酷暑からエスケープできて、涼しくなれるオススメのアイテムです。


でも、怪談のメリットは避暑だけじゃない


怪談にはその土地の歴史的事実伝承ご先祖さまへの鎮魂の思いなども色濃く反映されていてメチャおもしろい。


日本各地の伝承や妖怪、怖い話に興味があるので教えてください!


某県の歴史にまつわる言い伝えや怖い話を調べています。おもしろくて怖いネタがあれば知りたい!


怖い話や伝承を歴史的・郷土史的な視点で読んでみたい人や楽しみたいという方が、スゴく多いんです。


そんな方たちに参考になるのが怪談本。今は怪談ブームでおもしろい作品がたくさん。どれを読めばいいのか困っちゃうほど。


この記事では、各県や市・町・村のディープな歴史や伝承を検証しベースにしている「ご当地怪談本」をオススメします。


そして、多数あるご当地怪談本の中から歴史的・郷土史的に勉強になる上にメチャ怖〜い作品を厳選。


  1. 「八王子怪談 逢魔ヶ刻編」(著者・川奈まり子さん)
  2. 「群馬怪談 怨ノ城」(編著者・戸神重明さん)
  3. 「沖縄の怖い話 琉球怪談物語集」(著者・小原猛さん)

上記の3作品について紹介・解説します。


いずれの作品も、著者が作品の舞台になっている土地の出身か在住者。地元の歴史・伝承・怖い話を精力的に取材して検証。


実際にご自身が体験された話もたくさん収録されています


日本各地の伝承や妖怪、怖い話に興味があるので教えてください!


某県の歴史にまつわる言い伝えや怖い話を調べています。おもしろくて怖いネタがあれば知りたい!


そう悩んでいる方は、この記事を読めば「知りたい町の歴史や伝承がくわしくて、怖っ!」とマンゾク&ナットク


作品を手に取ってページを開きたくなりますよ。

3作品をチョイスした理由


沖縄最高の聖地・斎場御嶽(セーファーウタキ)

創作系や実話系など、怪談にはいろんな種類があります。

個人的に怖いのは実話系。話を聞いた後、しばらくたってから「あれってホントの話だよな…」と尾を引いて怖いから。


そして私は歴史オタク。舞台になる土地の歴史的バックボーンが描かれていれば、怖さにリアル感が加わり洒落怖(シャレこわ)です。


歴史・郷土性がふんだんに取り入れられていることを必須条件とすると、この記事で紹介する3作品は最高。


八王子怪談 逢魔ヶ刻編」は、戦国屈指の激しく凄惨(せいさん)な戦いが行われた東京・八王子周辺が舞台。


群馬怪談 怨ノ城」は有力大名に囲まれ、生き残るために厳しすぎる選択を強いられた上州の国衆(土豪)たちの物語を紹介。


沖縄の怖い話 琉球怪談物語集」は、琉球王朝時代から現代まで脈々と続いている沖縄の霊能者たちが登場。


いずれも日本屈指の心霊スポット。歴史的・郷土史的な事実をベースにした怖いストーリーが展開します。


これが3作品をチョイスした理由です。ここからは1作品ずつ紹介・解説していきます。


1.「八王子怪談 逢魔ヶ刻編」

著者は女流作家の川奈まり子さん。東京・八王子のご出身。コラムや官能小説を数多く発表する一方で、ホラー作品も発表。


故郷・八王子周辺の怪談・奇譚を取材して集めた「八王子怪談」が大人気となりました。


「八王子怪談」では、川奈さんがSNSで地元の怪異体験者を募集し取材。八王子ならではの独特な怪談集となっています。


この「八王子怪談」をバージョンアップ。八王子の歴史・文化と実際の怪異体験談をミックスさせたのが「ー逢魔ヶ刻編」です。


★八王子周辺の強烈な怪異・奇譚


八王子周辺は東京でも屈指の怪異・心霊スポット。特に3つのポイントがキョーレツで有名です。


八王子城址公園】戦国時代に存在した八王子城の史跡。そして八王子周辺にも支城跡が点在している。


八王子城址公園内では「鎧(ヨロイ)武者の霊を見た」「お姫さまの幽霊が出た」などの目撃談が多数。


道了堂跡】市内の大塚山公園内にあり、昭和時代に凶行の現場になった。公園内では「幽霊が出た」と目撃談がある。


堂跡にあったお地蔵さんをめぐる稲川淳二さんの怪談「首なし地蔵」がヒット。心霊スポットとして有名になりました。


高尾山】観光やパワースポットで人気。標高599メートル。登山も楽しめるだけに遭難者も多い。修験道の霊山。


山道や頂上で「霊を見た」「天狗がいた!」という目撃談が多数。さらに「UFOが飛んでいた」という証言もたくさん。


★八王子周辺の怪異の背景となった悲しい歴史


八王子城


城を築いたのは戦国時代の武将・北条氏照。北条氏が本拠地とした小田原城の支城で、関東西部の軍事拠点でした。


天下統一を目指す豊臣秀吉が小田原城を包囲。さらに関東一円の支城を攻略して北条氏に重圧をかけていました。


氏照が本拠地で「小田原評定」に加わっていた一方で、八王子城ではわずかな将兵と動員した領民3000人が籠城。


豊臣方1万5000人が猛攻をかけた「八王子城合戦」で落城。ほとんどの武士や女性、領民が犠牲になりました。


城山川は血で染まり、川の水で米を炊くと赤くなった。今も先祖供養で赤飯を炊く「あかまんま」の風習が続いているそうです。


道了堂


正式名称は大塚山大岳寺。曹洞宗のお寺。八王子は絹織物の集散地で、道了堂は「絹の道」の中継地でもありました。


鉄道の開通で「絹の道」はさびれ、1963年にお堂関係者の老婦人が殺害される事件が発生。1983年には火災が起きた。


お堂は焼け落ちて、八王子市が解体。跡地は1990年に大塚山公園として整備、開放されました。


お堂跡周辺にはお墓とお地蔵さんが点在。怪談で登場する「首なし地蔵」は触ると祟りがあるとされています。


高尾山


密教の真言宗薬王院の寺域で、古来からの修験道の霊場。山伏たちの修行の地だっただけに天狗がいるといわれています。


霊場・聖地とされ三角錐(すい)状の山には、神が降りるという伝説があります。頂上が目印になり降りてくるそうです。


八王子城址の石垣。八王子城合戦の舞台です


★歴史と怪異がミックスされたストーリーが秀逸


川奈さんの「八王子怪談 逢魔ヶ刻編」は、八王子周辺にまつわる歴史をベースに過去や現在の怪異が絡むストーリー。


エピソードの「つわものどもが夢の通い路」は、怖すぎて秀逸です。

ある一家が八王子城跡の城山付近に造成された宅地に引っ越してきた。高台に建つ家は山の自然林を借景に眺望が美しい。

ただ階段の踊り場にある大きな窓に広がる風景は、森から家までの間が真っ直ぐなラインのようになって空いている。

家ではガラス戸に手形がペタリ。誰も座っていないイスがきしみ音を立てて回る。夜の踊り場では蓬髪の落武者が…。

森は戦国時代にあった廿里砦跡にあり周囲は古戦場。高台の家は八王子城址・廿里砦が結ぶ直線ライン上にあった。

川奈さんは家が霊道上にあるため怪異があるのでは?と推測しています(ゾゾッ)。

女の足」は、老婦人が亡くなっている道了堂跡での怪談です。

バイト仲間4人組が稲川さんの「首なし地蔵」に触発されて道了堂跡へ。

首をすげ替えた地蔵を見つけた後、殺人事件があったお堂跡へ向かった。

お堂跡につくと怪異が発生。友人の頭上50センチぐらいの空中に足の裏が2つ浮かんでいる。

左右の足で指もついている。色白。「女の足」だと絶叫して4人は逃げ出した。

だが足は宙を蹴って4人を追い越し、夜の空に走り去った。

霊山異聞集」は高尾山での怪異を集めたもの。

ある登山者が山道で小さなカラス天狗のようなモノに周囲を取り囲まれた。

山道で普段着の親子連れから「お先にどうぞ」と道を譲られ、振り返ると誰もいなかった。

川奈さんがつむぐストーリーは、読めば八王子周辺の歴史・郷土史が分かる。

そして歴史にまつわる怪異・奇譚が日常の生活にも存在している。そんな怖さが楽しめる作品なんです。


2.「群馬怪談 怨ノ城」


編著者は作家の戸神重明さん。地元・群馬の怪異や奇譚を取材。怪談師としても「高崎怪談会」を主催されています。


戸神さんは「上毛鬼談 群魔」など単著も発表されています。「群馬怪談 怨ノ城」は怪談会の語り部たちとの共著です。


そして怪談の舞台となる群馬県。こちらも戦国時代に権謀術策が入り乱れ、たくさんの悲劇が生まれた古戦場。


戸神さんはじめストーリーの著者の方たちは、群馬の歴史とそれにまつわる怪異・奇譚を紹介しています。


★有力大名と国衆たちの権謀が展開された上州


群馬県はかつての「上野(こうずけの)国」。険しい山が連なる各地で国衆(土豪)がせめぎ合っていました。


室町時代には足利幕府の有力者・上杉氏が「関東管領」として統治。上杉氏はその後「山内上杉氏」「扇谷上杉氏」に分裂。


「山内上杉氏」は上野と越後(新潟)、「扇谷上杉氏」はその他の土地を統治。両勢力が争う状態になりました。


戦国時代に入ると、関東など周辺の勢力も加わって混沌とした状況に入ります。


平井城(藤岡市)を本拠とする関東管領の上杉憲政。その配下で箕輪城の長野業正が勢力を誇っていました。


一方で上野国の上にある越後長尾氏、西の甲斐(山梨)・信濃(長野)の武田氏、南の武蔵北条氏。3勢力が拡大。


上杉氏は河越(埼玉)の合戦で北条氏に敗れ、上野周辺の均衡が破綻。上杉憲政は越後に亡命します。


憲政に「上杉姓」と「関東管領」を譲られた長尾景虎上杉謙信)が、上野の上杉配下の国衆とともに関東の統治へ南下。


一方で西から武田信玄、南からは北条氏康が侵攻。国衆への調略(寝返り)も行いつつ凄惨(せいさん)な戦いを展開。


憲政の逃亡後、国衆をまとめて信玄を撃退していた業正が死去すると、長野氏は武田氏の猛攻で滅亡しました。


3勢力のせめぎ合いは凄まじく、敗れた上杉方の武士やお姫さま、領民たちの悲しい末路にまつわる怪談・奇譚が生まれたんです。


吾妻郡の丸岩。かつて山頂に丸岩城がありました


★日常の生活と歴史にまつわる怪異がリンクする


「群馬怪談 怨ノ城」では、土地にまつわる歴史や伝承・奇譚と現実の怪異を絡めてストーリーが進行します。


戸神さんのエピソード「倉賀野の忠犬」は、日常の1コマと歴史にまつわる怪異がリンクしてメチャ怖い…。

舞台の高崎市倉賀野には、鎌倉時代に築城された倉賀野城があった。倉賀野氏や領民の歴史と無念の思いが残っている町です。


戦国時代の城主だった倉賀野尚行は関東管領・上杉憲政の配下。上杉方の勇将・長野業正の娘をめとっていました。


でも憲政は北条氏に敗れ越後に逃亡。業正も病没。孤立状況で武田信玄に攻められ落城。倉賀野方は多大な犠牲を出しました。


ストーリーでは上記の倉賀野の歴史が語られ、現代の怪異談につながります。

30代の男性・Rさんは初夏の晩、愛犬エースと夜の町へ散歩に出た。電灯が少なく夜の闇が濃厚な住宅街の裏道を進んだ。

歩く人も車もない道で突然、上半身に悪寒が走り鳥肌が立った。エースがうなり出し、先の暗闇に人影が浮かんでいる。

茶色の着物にハカマの男。腰には刀。だがジュワッと音を立てて消えてしまった。

エースはうなりをやめ、安心したRさんは引き返すべきなのに道を進んでしまう。

すると道の両側から着物姿で腰に刀を差した男たちが10人ほど出現。前を歩いていたエースも、びくりとして立ち止まる。

エースは反転して駆け出し、Rさんも引っ張られ家まで逃げ帰った。裏道を離れるまで後ろから大勢の足音が聞こえていた。

Rさんはエースに助けられた感じ。日常で通る道で、町に残る歴史と無念の思いに遭遇する。メチャ怖いエピソードです。

★伝承・伝説と現代の怪異との絡み合い


特に不思議だったのが、霊能者で除霊師・江連美幸さんの「軍配山古墳」。


江連さんが住む群馬県佐波群玉村町にある、円錐型竪穴式古墳にまつわる話です。

軍配山古墳は、江連さんの自宅から徒歩5分内にある。買い出しの帰り道には必ず横を通る。

古墳を見ると頂上から白い煙が上がっている。タバコの煙のようだった。

頂上を見ると大きな行李(つづらのかご)に座りタバコをふかしている人がいる。

その人は男性で服装が奇妙。脚絆と草履ばき。まげを結っていて着物姿。タバコは煙管(キセル)だった。

江連さんは「この世の者ではない」と気づいたそうです。さらに後日。

買い出しの帰り道、古墳の横を通ると地響きやうなり声のような音が聞こえる。

古墳の頂上を見ると、ヨロイ姿の人影が2つ。1人は赤いヨロイで仁王立ち。1人はホラ貝を抱え、ひざまづいていた。

江連さんは気になって軍配山古墳について調べたら、近くを通る日光例幣使街道を歩く旅人が休憩する場所だった。

さらに織田信長が倒れた本能寺の変後、当地に進駐していた織田方の滝川一益と北条氏直が激突した「神流川合戦」の地。

古墳を本陣として滝川一益が軍配を振るったことから「軍配山」と名付けられたそうです。

幽霊の正体は故人の残留思念(情報)。土地には人の記憶(情報)が残る。そう主張する人がいて私も同感です。


霊を見ることができる人は、残留思念(情報)を探知できる人。波長が合う人。そう考えているんです。


「軍配山古墳」は「残留思念」という考え方を改めて感じさせるエピソードです。


郷土の歴史と伝承や奇譚がくわしく分かり、現代の怪異にリンクする「群馬怪談 怨ノ城」。ぜひお読みください。


3.「沖縄の怖い話 琉球怪談物語集」

著者は作家の小原猛さん。京都出身だけど強度の花粉症。花粉が飛んでこない沖縄に移住したそうです。


そして沖縄の民俗・伝承に興味を持ち、歴史や妖怪・怪談を精力的に取材。怪談本を発表し怪談師としても活躍中です。


小原さんの「沖縄の怖い話」はシリーズ3冊。この記事で紹介する「琉球怪談物語集」は第1巻となります。


ストーリーは沖縄ならではのモノ。沖縄の歴史や伝承、風習と怪異が日常の生活に溶け込んでいるイメージ。


空気や水のように怪異がある。信じない方もいる一方で、社会の大切な役割として霊能者がいる。メチャ興味がわくんです。


★沖縄の歴史と独特な風習


昔、沖縄は中国の王朝から「流求」と呼ばれていました。海中の島で「おぼれ助けを求めるモノ」という意味のようです。


琉球」の名称となったのは14世紀ごろ。明王朝が「琉球」の名称で統一したとされています。


沖縄が南山・中山・北山の3勢力に分かれていた15世紀、尚巴志が各地の有力者をまとめて全土を統一。


首里城を中心に「琉球王国」が建国されました。


琉球は日本や中国、アジア各国と貿易を展開。同時にさまざまな文化などが入ってきて独特な風習が出来上がったようです。


王朝にはご先祖を祭る「ノロ」(巫女=シャーマン)がいて、集落の祭りも行う。王朝お抱えの役人で世襲制です。


霊能力者ではないけど「力」がある人もいる。ノロの家系は現代も続いていて「力」が発現するそう。


また集落ごとに「ユタ」という民間の霊能者がいる。こちらは神さまに選ばれる。突然「神がかり」になり、ユタになるケースが多い。


ユタはその家系の人にも力が引き継がれるそうです。


沖縄にはキジムナーなどの妖精や妖怪・悪霊が日常生活の中にいて、人々に悪さをすることがある。


ノロやユタは「異形のモノ」たちの悪さから人々を守る役目を担っている。


「沖縄の怖い話」では、そんな沖縄の歴史や風習などをベースにストーリーが展開されます。


★現代でも展開される呪術廻戦


「沖縄の怖い話」のエピソード「イチジャマ」「イチジャマア」では、呪術廻戦さながらの話が展開しメチャおもしろい!

名護市の大嶺さん宅の庭でスズメバチが巣をつくり、飛び回った。駆除業者が駆除した巣は女性が口を開けている顔に見えた。

だがスズメバチが再び巣をつくり庭中を飛び回る。ある朝、家に住む志保さんが外に出ると見知らぬ女が立っていた。

女は「死なされるようなことをしたか、お前?」と問いかけると、死んだネコを家の敷地に投げ込んだ。

見知らぬ女性は心を病んで病院に通院中。糸満からやってきたそうです。大嶺さん宅では、さらに怪異が続きます。

庭で生き物が死んでいたり、敷地にゴミを捨てられたり。志保さんの弟・賢司さんが毎晩うなされるようになった。

ユタを呼ぶか迷っていると、糸満の女が姉とともに訪れた。姉は「妹がユタで大嶺家に話があって来た」と明かす。

姉によると、妹の女は「大嶺さんの家にイチジャマが飛んでいて大変だから知らせろ」という声を聞き名護に来た。

「イチジャマ」は生霊の意味。賢司さんの別れた彼女が飛ばしている。

別れた彼女は意識的に強い生霊を飛ばしていて、なんとかしなければ誰かが死ぬ。そう忠告してきたそうです(ゾ〜っ)。

★ユタには専門分野がある

イチジャマア」では、別れた彼女の生霊への逆襲が展開されます。

賢司さんによると、別れた彼女が毎日会社に来て「お守り」だとガビョウを渡す。最近は家にも来るが、賢司さん以外見えない。

大嶺家は知り合いのユタの女性を招いた。ユタはかつて仕事でイチジャマを飛ばしていた。

生霊(イチジャマ)を飛ばす人は「イチジャマア」と呼ばれているそうです。

尚巴志が統一する前の沖縄は南山・中山・北山の3勢力が争っていて、ノロやユタはイチジャマを飛ばして敵を倒していた。


登場するユタの女性は、その末裔でイチジャマアの家系。今は生霊を飛ばす仕事は受けていないけど対処法がわかるため招かれたそう。


王朝お抱えの「生霊の使い手」の末裔が登場!ここから呪術廻戦が展開されます。

ユタは大嶺家の庭で、スズメバチが巣をつくった木にガビョウが200個以上突き刺さっているのを発見。

1個だけ残して全部外すと、残したガビョウの周りに五寸釘13本を呪文を唱えながら打ちつけた。

ハチが巣をつくることはなくなったが、虫が家の窓に体当たりして死んでいる。

玄関に死んだタマムシが落ちていて、腹の部分にガビョウが刺さっていた。

賢司さんが別れた彼女の消息は不明。ユタによると、幽霊は説得して天国に上げられるけど、生霊は無理。

おそらく五寸釘は結界。大嶺家の霊障は防げているけど、彼女があきらめない限り現象は続くそうです。ゾゾ〜ッ。


斎場御嶽。絶対にイタズラしちゃだめ!


★沖縄の風習がわかる上にしっかり怖い


沖縄には「御嶽(うたき)」と呼ばれる、神さまがいるとされる聖域があります。とても神聖で、決しておかしてはならない場所。


エピソード「大山貝塚」は、宜野湾市にある御嶽を破壊した青年が、夜になると仙人風の小さなおじさんたちに襲われる。メチャ怖っ。


また沖縄には死者の正月「ジュールクニチ」があり、ごちそうを用意する風習があるそうです。


首のない女」は、浦添市で商店を営んでいる朝子オバアがジュールクニチの前日に怪異を経験する話。

首のない女が店に入ってきて、商品棚の陰に隠れた。オバアは気丈にも「出てけ!」と追い出した。

後日に突然来店したユタが、首のない女がやってきたことをいい当てる。

ユタによると、女は若くして病没した朝子オバアの孫。幼いころはかくれんぼが好きだった。

死者の正月でオバアに会いにきて、かくれんぼのつもりで棚に隠れた。なぜ追い出したのかといっている。

姿は孫そっくりだった。子どものころの孫は、いつもかくれんぼをしていた。

朝子オバアはありし日の孫娘を思い出し、もう一度来てくれないかと号泣する。とても切ない話なんです。


沖縄の歴史や風習がわかって怪異も楽しめる「沖縄の怖い話」。ぜひお読みください。


まとめ・夏休みの自由研究にもオススメ


ここまで3作品について、紹介・解説してきました。


  1. 「八王子怪談 逢魔ヶ刻編」(著者・川奈まり子さん)
  2. 「群馬怪談 怨ノ城」(編著者・戸神重明さん)
  3. 「沖縄の怖い話 琉球怪談物語集」(著者・小原猛さん)

いずれの作品も日本史や郷土史、土地の伝承や風習が勉強できて怪異や奇譚もメチャ怖い


日本各地の伝承や妖怪、怖い話に興味があるので教えてください!


某県の歴史にまつわる言い伝えや怖い話を調べています。おもしろくて怖いネタがあれば知りたい!


なんて方にはオススメの作品です。そして酷暑の夏なら、なおさら。


「この暑さをなんとかして〜」と悲鳴を上げている人は涼しくなる。そして「夏休みの自由研究どうしよう…」という方。


ご当地怪談本は、おもしろい自由研究のテーマになりますよ。


怪談はその土地にまつわる歴史や伝承、風習がベースになっています。


人は心に刺さる出来事に遭遇します。痛ましい出来事なら二度と起きないように、犠牲者への鎮魂のために語り継ぐ。


その積み重ねが歴史であり伝承でもある。怪談もその1つ。怪談の背景を調べることは歴史を振り返ることなんです


最近では各都道府県のご当地怪談本が発売中。アナタが住んでいる街の本もありますので、ぜひお手にとってください。


当ブログでは、ほかにも「最恐マンガ」などを紹介しています。興味がある方は読んでみてください。


「眠れなくなる怪談沼 実話四谷怪談」お岩さんは実在の人?祟るの?日本一有名な怪談の真相を楽しもう


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「レインマン」心霊現象や超能力に迫る科学的研究の成果がわかる名作を徹底解説


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