牛殺し、100人抜き…ド迫力の実録空手マンガ
空手、柔道、プロレスなど格闘技を取り上げたマンガ作品は数多くあります。
その中でも、格闘技マンガというジャンルを確立させた立役者が「空手バカ一代」。
ストーリーの実録性、リアリティー性をコンセプトにして、格闘技界では悪者のイメージが強かった空手を大人気にしました。
そして、1971年に誕生したこの作品は、2021年で創刊50周年となりました。
主人公は極真流空手の創始者、ゴッドハンドの異名を誇った、大山倍達さん。
米国でのプロレスラーとの決闘、牛殺し、道場破りの100人抜きなど、ド迫力の格闘シーンを中心に描かれています。
ただ、作品の誕生から半世紀が経過。大山さんも1994年に亡くなられ、ゴッドハンドは伝説に…。
それだけに、「空手バカ一代」に興味のあるファンからは、
「空手バカ一代の内容は、本当に本当なんですか?」
「ビール瓶を手刀で切ったり、石を割ったりしますが、本当ですか?」
なんて疑問の声が上がっています。
この記事では、作品中で登場した大山さんの、さまざまな逸話や伝説を解説。それらは実際にどうだったのか?なども検証。
その結果は「真実は小説よりも奇なり」。
裏話やトンデモ話が飛び出して、おもしろいのなんの!
この記事を読めば「本当の話なんですか?」という疑問が、一気に解決。
より大山さんの人間臭さが好きになり、いっそう「空手バカ一代」が読みたくなりますよ。
「空手バカ一代」って、どんな作品なの?

「空手バカ一代」は1971年から1977年まで「週刊少年マガジン」で掲載。原作は梶原一騎さん。
2021年で、なんと創刊から50周年となりました。
全6部構成。第1部から第3部の作画が「恐怖新聞」のつのだじろうさん。
第4部から第6部までを「ワル」の影丸譲也さんが担当。
単行本は全29巻、文庫版も全17巻が発刊されています。
1973年にはアニメ化。1977年には、千葉真一さん主演で映画化もされました。
★あらすじ
戦後の空手界は、けがの防止のため正拳や蹴りを体に当てない〝寸止め〟が主体。
一方、フルコンタクトの実戦空手を主張した大山さんは、空手界では邪道とされた。
大山さんは空手家として生きるため、国内外を転戦。「ケンカ空手」の実力を実証していく。
その集大成として、大山空手を伝授する「極真会館」を設立。
黒崎健時、芦原英幸、山崎照朝ら名だたる空手家たちを輩出。空手の国際トーナメントも開催し、世界に飛躍していくー物語です。
つのださんが、大山さんの若い頃の暴れっぷり。影丸さんが指導者として大山空手を広めていく姿や、弟子たちの活躍を描いています。
1.ゴッドハンドの超人伝説

第1話の冒頭。「これは事実談であり、この男は実在する」。
いきなり、そう宣言しています。ものすごい物語の始まり方です(笑)。
でも、ここから次々と描かれる、大山さんの超人的な活躍ぶりがハンパない!
以下、その逸話や伝説を紹介していきます。
提唱する「実戦カラテ」で、戦後間もない全日本空手道選手権で優勝。
大山流の普及を邪魔する道場に乗り込み、100人組手で全員を倒し全勝。
ホント、トンデモない強さ! その超人ぶりを物語るエピソードがこちら。
千葉・清澄山中にこもり修行。孤独の寂しさを感じる自分を戒めるため、片方の眉をそり落とし、逃げ道を無くす。
手刀で自然石を割り、ビール瓶の首を切断。
無双の握力で10円玉を折り曲げる。
どんだけ超人なんだ⁉︎ と驚くばかりです。
さらに、舞台が米国になると、
プロレスのリングで板の試し割りやハンマーでこぶしを殴らせるなど実演。タム・ライスなど米マット界の有名レスラーをKO。
その強烈な強さから「ゴッドハンド」(神の手)と呼ばれる。
プロモーターに逆らい八百長に応じなかったため、マフィアがマシンガンで襲撃。俊敏に弾丸を避け、一撃必殺のこぶしと蹴りで返り討ち。
米本土の活躍はハワイなどにも伝えられます。大山さんがハワイに立ち寄った際は、日系人に熱い祝福で迎えられたんだとか。
このハワイで、大山さんはプロレス修行をしていた力道山と出会い、意気投合。ともに練習したのち、大山さんは帰国。
日本でも、その名を広めつつ、格闘界の衝撃的な事件の当事者の一人になります。
450キロの猛牛と闘い、角を手刀で叩き折って勝利。「牛殺し」の異名を取る。柔道家・木村政彦さんがプロレスラー力道山と対決した「昭和の巌流島」。引き分けの約束を力道山が破って木村さんをKO。木村さんの応援でリングサイドにいた大山さんが怒り、力道山に勝負を申し入れた。
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米国での試し割りは人気を博した |
強烈な逸話で空手人気が大爆発
大山さんは、空手を広めるためにヨーロッパでも地下プロレスの猛者をKOするなど活躍。
また、世界中に「大山空手」を拡大するために著書「What is Karate?」などを出版。このほか、さまざまな逸話が紹介されています。
これらの逸話の強烈なインパクトが話題となり、空手ブームが爆発。時の流れとともに、逸話は伝説となりました。
現在では作家・増田俊也さんら多くの方が大山さんの伝説を取材、検証。その真相を発表されています。
これがメチャおもしろい! ここからは、伝説の真相を検証していきます。
2.大山伝説の真相が最高におもしろい
原作の梶原さんの実弟で、マンガ原作家の真樹日佐夫さんは、著作「格闘技マンガ最強伝説」で、こう記しています。
「作品の内容の9割は梶原の創作だった」
ここからは、「ゴッドハンドの超人伝説」で登場した逸話の真相を明かしていきます。
★清澄山での山籠もり
作品中では、戦後間もない頃、空手修行のため自主的に山中に入ったとされている。
実際は、暴力団の用心棒をやったり、GHQの憲兵をぶちのめして追われる身となったため、山梨・身延山や清澄山に身を隠していた。
★ゴッドハンド
米国転戦で、その強さから「ゴッドハンド」(神の手)と呼ばれたとされる。
実際は「ミラクルハンド」で、梶原さんが脚色した。クリスチャンが多い米国で人を「ゴッド」とは呼ばないため。
★米国マットでの試し割り
米国には瓦がないため、板を使ったデモンストレーションだった。
さらに板は割れやすい目のものをマーケットなどで探して購入していた。
★米マットでの試合
作家・増田俊也さんのインタビューに答えた柔道家・遠藤幸吉さんによると、遠藤さんは大山さんと全米各地を回っていた。
ただ、大山さんはプロレスラーなどと試合はせず、試し割りなどのデモンストレーションだけ。でも「空手の強さは本物だ」と証言。
★力道山への挑戦
増田さんの著作「木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか」によると、当時の関係者への取材で、大山さんはリングサイドにいたと判明。
そして、怒りのあまり力道山に対決を迫ったが、周囲が止めたという。
★牛殺し
米国からの帰国後、大山さんは牛と闘い47頭を倒したとされる。
1954年1月に千葉・館山で闘った際の映像が、YouTubeに投稿されている(【極真カラテ】牛殺し大山倍達!)。
この映像では、30分近い激闘の末、手刀で角を叩き折り、倒している。
大山さんは握力が非常に強く、親指だけの腕立てふせなどを日課としていた。
実際に、硬貨を曲げるシーンを空手界関係者で目撃した人は多い。ただ、戦後間もない頃の10円玉は、現在のモノより若干薄いのだとか。
ビール瓶の手刀切りや自然石の手刀割りも、目撃者が多数。アニメ版でも高弟たちによる試技映像が流れています。
まとめ・フィクションの中には超人性が秘められている
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大山さんの伝説は人間臭くておもしろすぎる |
作品中で紹介される逸話には、フィクションが相当盛り込まれているようです。
でも、信ぴょう性はしっかりあって、すごくおもしろい。
実際の大山さんの強さに関しても、真実のようです。
前述の増田さんの著作によると、大山さんと行動を共にしていた柔道王・木村さんは、その強さを「本物だ」と認めていたそうです。
大山さんの高弟たちも、師匠には「まったく歯が立たなかった」という言葉を残しています。
ゴッドハンドの伝説を今こそ読んでほしい
「空手バカ一代」が発表され、2021年で50周年。
いまの格闘技界は空手、柔道、プロレス、総合格闘技など多くのジャンルが人気。競技人口やファンもたくさんいます。
そして、空手は東京五輪の追加種目となりました。
それは、大山さんら格闘技界のレジェンドたちの奮闘があったからこそ、花開いたんです。
そんな状況だからこそ、大山さんの超人伝説や逸話が満載されたこの作品を、再び注目してほしい。
ここまで記事をお読みになった方は「作品の内容は本当のことなの?」という疑問が解消、大山さんへの興味がさらに高まったはず。
ぜひ「空手バカ一代」のページを開いて、この記事では書ききれなかったゴッドハンドの奮闘と虚々実々の伝説を楽しんでください。
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