「かくかくしかじか」は東村流「まんが道」です |
美大進学を目指す女子高生と師匠のスポ根?ストーリー
大学入試の合格を目指して毎日の受験勉強をがんばっている受験生のみなさん、お疲れさまです。
暑い日、寒い日。体がダルくなるような湿気でうっとおしい日。日本には四季があって体調管理が大変。
そんな日々で、将来の夢と希望する進路を目指している受験生の中には美大の入試を受ける人がいらっしゃるでしょう。
将来はアーティストになりたい。学校で芸術の素晴らしさを教えたいと夢に燃えている人。
そして「マンガが好き」「マンガ家になりたい」と考えている方。
そのために「美大で勉強したい」と美大進学を志望している方。
「受験勉強はどうすればいいんだろう」と悩んでいる人は少なくないと思います。
美大の一般入試では学力試験に加え、実技のテストもあって大変ですからね。
そんな方にオススメするのが、名作マンガ「かくかくしかじか」です。
「マンガ家になりたい!」
そんな夢を見事に実現させた人気作家、東村アキコさんの半生記。
宮崎在住でマンガ家を目指しつつ、美大を志望した女子高生が悪戦苦闘の日々。東村さん流「まんが道」なんです。
受験勉強の日々で、どんな勉強をしたのか、どんな心境だったのか。
東村さんがギャグを展開しながらホンネ全開で描いています。
この記事では「かくかくしかじか」の魅力を徹底的に解説します。
興味を持った方は、作品をぜひお読みください。美大受験の参考になり、勉強疲れからの気分転換もできますよ。
どんな作品なの?
女流マンガ家、東村アキコさんの原作。
2012年から2015年まで、「Cocohana」で連載。単行本は計5巻刊行されました
2015年にマンガ大賞、文化庁メディア芸術祭マンガ部門大賞も獲得した名作です。
東村さんが自身の経験を描いた作品は、2006年から2010年まで「モーニング」に掲載された「ひまわりっ〜健一レジェンド〜」が有名。
東村さんがデビュー前後、故郷・宮崎で電話会社のオペレーターをしていたころの話。
エキセントリックなお父さんや職場の人たちのエピソードが秀逸でした。
「かくかくしかじか」では、東村さんの幼少期、高校時代、受験期、大学時代、デビュー後までのエピソードが展開。
いわば、東村半生記の集大成版なんです。
1.ヒロインの自己万能感が突き抜けすぎ
東村さんは高校の美術部に所属。油絵を描きつつ、将来は女流マンガ家としてブレークすることを夢みています。
しかも、顧問の先生に褒められては「天下を取った気分」になる自己万能の人。
「美大は勉強できなくても絵さえうまければ入れる」
「美大いけば絵がもっとうまくなる」
「だから、あっという間に漫画家デビュー」
なんて、考え方の持ち主。
そして、未来写真が突き抜けすぎ!
- 東京の美大に現役合格
- 在学中に華麗に漫画化デビュー
- 大学卒業と同時に結婚(相手は豊川悦司)
- 仕事は読み切りを描く程度。家庭を大事にして幸せな生活を送る
でも、現実はこんなに甘くはないですよね。
美大への進学志望の人は、早くから受験予備校に通って、デッサンや油彩をひたむきに勉強しているんです。
東村さんは、友人が通う宮崎市内の絵画教室に入ります。そこで、自己万能感をぶっ壊される人物に出会うんです。
2.際立つもう一人の主人公のキャラ
もう一人の主人公のキャラ。メチャ際立ってるんです。
絵画教室の日高先生。
最大、最強のキャラ。九州男児らしい頑固ぶり、指導方法はスパルタの4文字につきちゃう。
入塾そうそう、画力を見るために書かせたデッサンを「ハイ、全然下手クソでーす!」と罵倒。泣くと竹刀を振り上げ「泣くなー!」。私語厳禁で、お昼休みには、生徒が車座になって黙々とお弁当を食べるという異様な雰囲気が漂う。デッサンが狂うと容赦なく振りかざす竹刀の一撃二撃。常に「描け、描け、描けー!」と叫び、殺気を漂わせる。
日高先生のスパルタ教育で、東村さんはデッサンなどの基本を徹底的に鍛え上げられます。
このくだりは作品を読んでいただいた方が分かりやすい。デッサンの勉強をされている方にも参考になります。
「ひまわりっー」でも、東村さんの父・健一さんのキャラがエキセントリックで笑えました。
日高先生を含め、東村さんが描く九州男児は個性が強烈。主人公をタジタジにさせる迫力があります。
実はお人好し
でも、日高先生、実はお人好しで人情家。
教室の月謝は5000円。受験直前の特別指導でも金額は変わらず、夜までビッシビシ指導してくれます。
鍛えられた東村さんは、美大の推薦入試にチャレンジ。自信満々で合格発表を迎えますが…。
東村さんは推薦枠での受験で撃沈。日高先生は居酒屋に連れていく。女子高生に「今日は飲め」と瓶ビールをすすめ、下戸の自分は定食を食べる。「明日からまた描くぞ」。慰めの言葉は一切吐かずに励ましてくれる。
東村さんは一般入試での国公立美大合格にカジをきります。ここからが実にハチャメチャ。
3.ヒロインが編み出したハチャメチャ受験テクが、すごい
美大の一般入試では国公立でも私立でも、当然ながら学科試験があります。
作品当時の国公立大受験では、センター試験がありました。そして美大合格には「9割正解」が必要でした。
東村さんは、学科は「学校でもトップクラスのバカ」。
それでも日高先生は「絶対9割取れ」と厳命する。
追い込まれた東村さんは、
問題を読まなくても正解が分かる「センター試験マークシート徹底攻略法」で分析。さらに「ダウジングマスター法」なるノウハウ本でダウンジング研究。過去問を調べて出題傾向を分析、問題の上に鉛筆をかざしてダウジング。
「この特殊能力を身につけるしか道がない」
この一念で、ひたすら過去問の分析とダウンジングを猛勉強、いや猛特訓。
模試で正解8割、奇跡の高正解率⁉
東村さんは、模試ではなんと8割正解。学科で奇跡の急上昇をとげます。
師匠がノウハウ本を開くと「すごいやねえか、この本!」と絶賛したほど。
約2ヶ月で磨きをかけた突破力で見事にセンター試験を突破。デッサン、油絵の一次、二次試験も乗り越えて見事に美大合格。合格理由は「学科試験が優秀だったから」。
東村さんが使ったノウハウ本などは、現在は存在しません。センター試験も、いまは「大学入学共通テスト」という名称。
当時もいまも美大の一般入試(現在は一般選抜)には学科試験があり、その対策も必要。
国語、英語は必須。英語はリスニングを重視する大学もあります。
まずは教科書をしっかり復習。過去問なども何周も解き基礎を身につける。共通テストでは「5割正解」を目指しましょう。
ダウンジングの猛特訓は、やめておきましょう(笑)。
まとめ・師弟の深い絆に泣けてくる
ここまで「かくかくしかじか」について解説してきました。
最後に、東村さんが美大受験に合格できたポイントをまとめます。
- 絵画教室でデッサン、油彩などの基礎をスパルタ式で身につけた
- ノウハウ本とダウンジングによる学科試験の対策
- 両方を徹底して対策するための集中力とド根性
以上の3点。2はマネしちゃいけないですが、学力は絶対に必要。大切なのは、受験勉強をやりとげる集中力と根性。
まさに、受験突破への正攻法なんです。
「美大の受験勉強はどうすればいいんだろう」と悩んでいる人には、この「東村流入試突破法」の姿勢は参考になります。
何より、東村さんのアグレッシブな姿勢に勇気をもらえます。
熱い師弟の物語も楽しんで
合格した東村さんは、金沢の美大に進学。油絵もマンガもまったく描かない大学生活をエンジョイして、卒業。宮崎で就職します。
でも、仕事の合間を見て描いたマンガ作品が認められ、見事にマンガ家デビュー!
一方、日高先生は病気で亡くなります。葬儀後、教え子たちが教室に集まるんです。
日高先生のいない夜の教室で、教え子たちがお酒を飲みながら師匠をしのぶ。
このシーンは読んでいるワタシも心の汗が、目から流れました。
美大受験はもちろん、師弟の深い絆。人と人の関わり。人生のペーソス。
そんなことが楽しめる「かくかくしかじか」を、ぜひお読みください。
当ブログでは、ほかにもヒューマンストーリーマンガを紹介しています。ぜひお読みください。
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