アトランティス、天の羽衣「伝説や神話を楽しみたい」人へ「古代文明・伝説マンガ」ベスト3

2022年4月7日木曜日

マンガを楽しむ

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ロマンあふれる古代文明と伝説は好奇心をくすぐります

秀逸なストーリーが楽しめて勉強もできる


はるかな昔、中央アジアから世界中に移動して鉄文化や白鳥(羽衣)伝説などを広めたとされるヒッタイト(アーリア人)文明

かつて大西洋上に浮かび、高度な文明を誇ったというアトランティス島の伝説。

旧約聖書に出てくる大洪水とノアの方舟の神話。人類を襲った災厄の話は世界の国々の神話にも似た要素があると指摘されています。

高度な文明で栄えた島は本当にあったのか?世界の国々に似た要素がある不思議な神話や伝説は人類共通の経験や記憶ではないか?

古代文明とその足跡として語り継がれている伝説神話古代のロマンが人をワクワクさせ、好奇心をくすぐっています。

だからマンガでも超人気のジャンル。たくさんの作品があります。


それだけに、読みたい作品を選ぶのが困っちゃう。


古代文明や神話が好きで、それがテーマのマンガを探しています。オススメはなんですか


古代文明や伝説をマンガで勉強したい。おもしろい作品を教えてください


そんな声がすごく多いんです。


この記事ではワクワクしながら神話や伝承を楽しめて勉強になる古代文明・伝説マンガ」を多くの作品の中からチョイス。


  1. 「宗像教授シリーズ(伝奇考・異考録)」(原作・星野之宣さん)
  2. 「イリヤッドー入矢堂見聞録」(原作・東周斎雅楽さん、作画・魚戸おさむさん)
  3. 「マッドメン」(原作・諸星大二郎さん)

以上の3作品について紹介、解説します。


いずれも詳細な資料の調査と考察が行われて、さらに独創的な推論が展開されている名作。


この記事を読めば「なるほど勉強になりそうだし、おもしろそう!」とナットク。


さらに「作品を読んでみたい!」とページを開きたくなりますよ。

3作品をチョイスした理由について


幻想的な遺跡は古代へのイメージを膨らませてくれる

古代文明や伝説・神話をテーマにしたマンガ作品は、たくさんあります。


題材が幻想的で、まか不思議。神による実験説異星人来訪説なんてトンデモネタでもストーリーを広げやすい。


魅力的なストーリーが展開できるからです。


そんな人気ジャンルからこの記事がチョイスした、


  1. 「宗像教授シリーズ(伝奇考・異考録)」(原作・星野之宣さん)
  2. 「イリヤッドー入矢堂見聞録」(原作・東周斎雅楽さん、作画・魚戸おさむさん)
  3. 「マッドメン」(原作・諸星大二郎さん)

以上の3作品には3つの特徴と魅力があるんです。


  1. 歴史資料の調査と考察がていねいに行われ、独創的な推論が展開される。
  2. 読んでいるうちに好奇心がくすぐられ、歴史的な知識が頭にインプットされる。
  3. 各エピソードのナゾが解明されるにつれて、テーマとつながっていくストーリーの展開力。

3点の特徴と魅力がすばらしく、作品の世界を楽しみながら古代文明や伝説の勉強もできる。これがチョイスした理由です。


ここから1作品ごとに特徴と魅力を紹介、解説していきます。


1.「宗像教授シリーズ(伝奇考・異考録)」

原作は伝奇・SF作家の第一人者、星野之宣さん。シリーズは2種類。


宗像教授伝奇考」は「コミックトム」などで1994年5月号から1999年12月号まで連載。


コミックスは希望コミックス版が全6巻(+特別版1巻)、小学館版が全8巻。潮漫画文庫版は全7巻が刊行。


宗像教授異考録」は「ビッグコミック」で2004年20号から2010年20号まで連載。コミックスは全15巻。


いずれも民俗学、考古学関係者の間で「読みごたえがあっておもしろい」と評判。


2009年11月には大英博物館で、ファンである職員が集めた原画が展示されました。海外での評価も高い作品です。


★あらすじ


主人公は宗像伝奇(むなかた・ただくす)。民俗学者で東亜文化大の教授。


スキンヘッド。鼻の下に濃いヒゲ。山高帽に黒いスーツ&マント。カップクのいい中年。研究テーマは鉄文化です。

宗像の専門は鉄文化。古代に中央アジアで鉄文明を誇り世界中に移動したといわれるヒッタイト(アーリア人)を研究。

ヒッタイトが移動したとされる地域には「天の羽衣」「白鳥」「白雪姫と七人の小人」など世界共通の伝説と神話がある。

日本にも存在する伝説と神話を考察。日本にもヒッタイトなど鉄文化をもたらした人たちがいたと考えている。

宗像教授は鉄文化だけではなく、日本の民俗学・考古学の専門知識にも精通。

実家は福岡県宗像市にある宗像大社の摂社の神主。宗像教授は次男です。

宗像氏は古代九州で海から文化を伝えたとされる海人(わたつみ)の一族。その観点も研究の考察に生かしています。


★日本の伝説に流れる世界の神話との共通点を指摘


「宗像教授シリーズ」の特徴で魅力は、日本の神話・伝説にはほかの国々に伝わるものと共通する要素があるーというテーマ。


この共通点をクローズアップ。その根拠を宗像教授がストーリーで〝実証〟〝ナゾ解き〟していきます。


このスタイルがもっとも表れ、作品にハマるインパクトがあるのが「伝奇考」の第1話


file.1 白き翼 鉄(くろがね)の星」(前・後編)です。

宗像教授のテーマは「はるかな場所から始まった伝説が日本にまで伝わるー世界の中の日本伝説を考察する」こと。

ある講義で中央アジア発祥の「白鳥処女説話」を披露。日本には「天人女房」「羽衣伝説」として伝わったと説明。

講義後に女子学生とその両親が訪れ、自宅近くで発見された古い鉄剣を見てほしいと依頼する。

剣には一方に北斗七星、もう一方には六つの星「昴宿(スバル)」が刻まれている古代の「七星剣」。

学生の実家は「羽衣伝説」が存在する島根・出雲。宗像は現地へ急行する。

白鳥処女伝説」の発祥地、古代の中央アジアは鉄文化を誇ったヒッタイト(アーリア人)が暮らした地です。

そして「白鳥処女伝説」がメチャおもしろい。

湖に7羽の白鳥が飛来し乙女の姿で水浴びする。それを見た猟師が羽衣を隠す。逃げられず一人残った娘と結婚する。

まさに日本の「天の羽衣」。中央アジアでは、天女は白鳥の姿で空を渡るんですね。

講義によると、伝説は世界中に伝わり白鳥が飛ぶ実際の〝渡りルート〟の分布と一致。

しかも紀元前2000年ごろのヒッタイトの移動ルートとも重なるんです。


そして宗像教授のもとにやってきた、羽衣伝説がある出雲の七星剣。ヒッタイトの伝説と関係はあるのか。


出雲ではさまざまな〝事実〟を発見。七星剣の秘密を明らかにしていきます。


★「呪術廻戦」の「両面宿儺」の正体を見抜く

世界の伝説と日本伝説の共通点を考察することが民俗学者・宗像教授の研究テーマ。


卓越した歴史的知識を駆使して、さまざまな歴史・神話のナゾに踏み込んでいきます。


注目は「両面宿儺(すくな)」。超人気マンガ「呪術廻戦」に登場する特級呪物(呪霊)で「呪いの王」です。


伝奇考の第7話「file.7 両面宿儺」。宗像教授は毒グモ「スクナグモ」に導かれて、洞窟の中にあるナゾの遺跡に遭遇。

遺跡には「両面宿儺」と呼ばれる奇怪な双頭神の像が鎮座。周囲の壁には梵字(ぼんじ)。像は全身が赤く塗られている。

「おそらくヒンズー教の火の神アグニだ」

宗像教授は自身の学識と遺跡の周囲への洞察力で「両面宿儺」が古代日本に渡ってきた、異国の神であることを看破するんです。

そして、民話や神話でおなじみの「ダイダラボッチ」や「海幸彦・山幸彦」。


海の犠牲者が死霊となって人を襲う「七人みさき」の伝説。歴史的考察に加えてホラー要素も満載でメチャおもしろい。


「伝奇考」「異考録」とは別の作品にも登場。〝特別講義〟を披露しています。


超能力や心霊現象を超心理学的な研究成果をベースに検証している名作「レインマン」です。


こちらでは、地球に迫りくる彗星について調査する主人公・雨宮瀑らに民俗学的な観点から助言します。

瀑と宗像らは、周期的に訪れ地球に壊滅的な被害を及ぼす彗星に関する過去の被害例を調査。

前方後円墳など日本の古墳が彗星の形をしていると直感。フランスのラスコー壁画にも彗星の到来を示唆する描写があると指摘。

ストーンヘンジなど世界の遺跡や神話には、到来した彗星による被害と災害封じの呪術的な意味があると看破する。

宗像教授の直感力と学識から生み出された推論が、主人公を彗星の被害から地球を救うための行動に導きます。

日本の歴史・伝説・神話に独特の感性で踏み込み、世界の伝説の共通点を探り人類の記憶に迫る。


宗像ワールドは知的好奇心をくすぐり、ストーリーのおもしろさでワクワクさせてくれます。


ぜひ「宗像教授シリーズ」をお読みください。


また「レインマン」については当ブログでくわしく紹介しています。よろしければのぞいてみてください。


「レインマン」心霊現象や超能力に迫る科学的研究の成果がわかる名作を徹底解説


2.「イリヤッドー入矢堂見聞録」

原作は東周斎雅楽さん、作画は魚戸おさむさん。


「ビッグコミックオリジナル」で2002年11号から2007年13号まで連載。単行本は全15巻が刊行されています。


ストーリーのテーマは「アトランティス」。はるか昔、大西洋の海中に没したとされる伝説の文明の探索です。


★アトランティスについて


だれもが一度は名前を聞いたことがある伝説の島、そして超文明。古代から現代まで実在について論争が続いています。


そもそも古代ギリシアの哲学者プラトン(紀元前5〜4世紀)が著書「ティマイオス」などで伝説を紹介したのが始まり。


プラトンの時代から約9000年前。大西洋の真ん中にあった巨大な島。資源が豊富な超文明国家。


王家はポセイドン神の末裔(まつえい)。地中海を中心に広大な地域を支配した。


王家は人間が混じることで堕落。あまりの荒廃ぶりに神の怒りをかったーとされています。


超文明の実在をめぐって古代から現代まで歴史家、哲学者やオカルト派が議論。ナチスドイツも遺跡・遺産を探したほど。


「イリヤッド」はアトランティス伝説をめぐる歴史サスペンス作品です。


★あらすじ


主人公は考古学者の入矢修造。アーサー王の墓をめぐり学会を混乱させたとして追放。東京で古物店「入矢堂」を経営しています。

ドイツ在住の実業家エンドレは、トロイを発掘したハインリッヒ・シュリーマンの孫・パウルの日記を入手。

日記には、トロイの発掘現場でハインリッヒがアトランティスの手がかりを発見したと記されていた。

エンドレは世界的な資産家を集め資金と支援の提供を要請。アトランティスを探すトレジャーハンターに入矢を指名する。

だが、メンバーが次々とナゾの暗殺集団「山の老人」に襲われエンドレも犠牲になる。

エンドレの意志を継いだ娘のユリはアトランティス探索を決意。ユリの要請を受けて入矢も世界各地へ探索の旅に出る。

エンドレは入矢が学会を追放された際に見解を支持し、励ましの言葉をかけていました。

入矢はユリの誘いを受けた際、宝探しはもうしないと拒否。でもエンドレの好意に応えるため人類最大のナゾに挑戦するんです。


★ナゾの集団「山の老人」は歴史上の伝説に登場する


ストーリーで登場する「山の老人」と呼ばれるナゾの暗殺集団。アトランティスに近づく者はすべて排除する秘密結社です。


ストーリーでは、「山の老人」は紀元前から存在していたと設定。


プラトンやハインリッヒ・シュリーマンに手をかけ、孫のパウルの身辺にも迫っていた。秘密に迫ったエンドレら資産家たちも亡き者にします。


「山の老人」はストーリー上の創作ではなく、西洋の伝説で紹介されています。


13世紀にアジアや中国を西洋に紹介したマルコ・ポーロが記述しているんです。


「山の老人」は秘密結社の指導者。若者を秘密の園に招き入れ、快楽を覚えさせて洗脳。忠誠を誓う者をアサシンに仕立てる。


伝説上の「山の老人」がアトランティスに関係していたかは不明。でもストーリーにうまくハメて神秘的で恐ろしい集団として演出。


原作を担当した東周斎雅楽さんの独創性と構成力が発揮されたキャラですね。


秘密結社「山の老人」は、入矢がアトランティスの手がかりを求めて探索に向かう先々で監視し命を狙います。


★探索先を追いかけると古代文明の知識が身につく


入矢は考古学者としての学識と洞察力、イマジネーションを駆使してアトランティスのナゾに迫っていきます。


あそこにナゾを解くカギがある」とにらみ、現地へ。クロアチア、ギリシアやイタリアの島々で超文明の痕跡を見つける。


手がかりがある地として日本も登場します。第4〜5巻に収録されている「File.11 赤うさぎ」からの出雲シリーズ。


第2次世界大戦中に活動したナチスの「古代遺産調査団」の一員。最もアトランティスに近づいた日本人「赤うさぎ博士」。


「赤うさぎ」にまつわる伝説がある、古代王権の地・出雲へ入矢は調査に向かいます。


さらに東方見聞録に手がかりを記したとされるマルコ・ポーロの故郷ベネチア。


アマゾネス伝説の地・アフリカ。古代の大帝国・秦を築いた始皇帝陵など。


各地で痕跡を発見し、一歩ずつアトランティスへ近づく。その過程は世界各地に存在した「古代文明めぐり」そのもの。


入矢の探索ロードを追いかける読者は、ストーリーを楽しむうちに古代文明の知識が頭にしっかり入っている。


マンガを読みながら古代文明や神話、伝説を楽しみたい」という方にはストライクな傑作なんです。


アトランティスに迫るナゾ解きにハラハラし、世界各地の古代文明の魅力が楽しめる「イリヤッド」。ぜひ、お読みください。


3.「マッドメン」

原作は伝奇作家の大家、諸星大二郎さん。「月刊少年チャンピオン」などで1975年から1982年まで不定期で連載。


全11話をおさめたコミックスは全2巻。文庫の「完全版」や愛蔵版などが発売されています。


舞台は南太平洋の楽園、パプア・ニューギニアと日本。


自然に恵まれた南の島。深い森の中に住む人たち。彼らに伝わる神話・伝説には世界、そして日本の神話・伝説との共通点がある


遠く離れたニューギニアと日本に共通する神話・伝説が、なぜ存在するのか?


主人公コドワとヒロイン波子がストーリーを動かしていくにつれて、ナゾが解き明かされていきます。


連載当時はパプア・ニューギニアの情報が少なく、諸星さんは現地の神話や民話を参考にストーリーを構築しています。


このストーリーが研究者らの間ですごく評価が高い。諸星さんの創造性、取材力が生み出した異色作、傑作です。


★あらすじ


主人公のコドワはパプア・ニューギニアの少数民族、ガワン族の族長の息子で後継者。


全身には族長にだけ許されるデザインのイレズミがあり、胸にはガワン族を象徴する怪物「ン・バギ」が記されています。

波子の父で人類学者の篠原は、ニューギニアからコドワをつれて帰国する。

コドワは現代文明を学ぶため日本にきたが、一方で部族のオキテや風習を守る。

篠原はコドワが眠っている間に胸のイレズミを撮影する。

篠原がコドワをつれてきた理由は、他部族は見ることが許されない「ン・バギ」のイレズミを確認するためだった。

タブーを破った篠原にコドワは制裁を加える。だが優しかった波子は許し、部族の一員として認める。

コドワは故郷へ帰るが、波子のそばにはガワン族の精霊である「マッドメン」がつきそうようになった。

コドワが気になった波子はニューギニアへ。南の島で2人は再会します。

そして深い森の中に伝わる伝説が世界、日本の神話につながる不思議なストーリーが展開されていきます。

★森の伝説が世界、日本の神話とつながる不思議


作品タイトルの「マッドメン」。ニューギニアの少数民族にとっての祖先の精霊


祭礼で体にドロをぬり、土の仮面をかぶって精霊のふん装をした姿が「マッドメン」と呼ばれます。


コドワは体のイレズミがもつ力で呪術を使える。マッドマンを使役することもできる。


コドワはニューギニアに現代文明を取り入れる若者として期待されます。一方で族長の後継として伝統を守るべきか悩みます。


コドワは森で偉大な精霊「大いなる仮面」と出会い、伝統を守ることを決意。


文明を呼び込んで人を堕落させようとたくらむ悪霊アエンと戦います。


アエンは野心的なキリスト教の宣教師や民俗学者らの心をあやつる。部族の人たちも堕落させようとします。


コドワ、波子とアエンの戦いでは、ニューギニアの伝説が登場。これが世界、日本の神話との共通点があってメチャおもしろい。


★バナナ型神話


ストーリーの第10話変身の森」。ニューギニアでの人の寿命や死の起源を伝える神話が登場します。

コドワの部族の祖であるカウナギ(男)とナミテ(女)は、アエンが支配するオンゴロの森から抜け出し高地に住む。

2人を心配した「大いなる者(仮面)」が老人に変身して訪ね、2人にバナナと石のどちらかをやろうとすすめる。

カウナギは石をとったが、ナミテがバナナをすすめる。2人はバナナを食べた。

老人は「石をとれば石のように永遠に生きられただろう。バナナをとったのでバナナが枯れるように人間は死ぬだろう」。

こうして人間は死ぬことになったー。比較神話学で「バナナ型(タイプ)」といわれます。

東南アジアやニューギニアを中心に、各地に存在します。この死の起源の神話。日本神話でもよく似た話があるんです。


天孫降臨の神話。ニニギノミコトオオヤマツミが娘のイワナガヒメ(姉)とコノハナサクヤヒメ(妹)を嫁がせる話。


ニニギは美しいコノハナを選んだため、天孫は短命になったという内容。


イワナガは岩(石)、コノハナは花=バナナを象徴。まさに「バナナタイプ」と分類されているんです。


日本だけじゃなく、西洋にも「バナナタイプ」があります。旧約聖書の創世記生命の樹と知恵の樹の話です。


エデンの園で暮らすアダムとイブ。神から生命の樹の実は食べていいが、知恵の樹の実はいけないと命じられていた。


イブが悪魔(ヘビ)にそそのかされて、2人は知恵の樹の果実を食べてしまう。


2人は知恵を身につけるが、永遠の命を得る機会を失いエデンの園から追放される。以後、人間は死ぬようになった。


人の死の起源になぜ共通する要素があるのか。ホントにおもしろいテーマです。


★オオゲツヒメ、ノアの方舟神話との共通点も


「バナナタイプ」のほかにも神話をベースにストーリーが展開されています。


第11話大いなる復活」。コドワの部族の祖先ナミテが死ぬと体からタロイモ、ヤムイモなどが生えたという神話が登場。


ハイヌウェレ型」と呼ばれる神話。日本ではオオゲツヒメの神話があたります。


亡くなったオオゲツヒメの体からイネやムギなどが生えたという話。


女性の遺体から食べ物が生まれる要素は、農耕の起源を伝えているとされています。


またニューギニアにも洪水伝説があり、ストーリーに登場します。

ある男がカヌーに乗って川をさかのぼって高い山の上にある村にきた。男は災厄に襲われた村から逃げてきた。

男は鳥を2度放ち自分の村を見に行かせる。鳥はまだ帰ってはいけないと伝える。

3度目に放った鳥は帰らず、男はカヌーで自分の村に向かい帰ってこなかった。

高地の村にいる間、カヌーから多くの動物が抜け出しコドワらの部族の祖になった。

まさに大洪水とノアの方舟。ユダヤ・キリスト教世界の神話が南の島にある。日本にも洪水を伝える民間伝承があるそうです。

そしてコドワの祖先カウナギとナミテ。その物語はアダムとイブの神話そのもの。

現代に生きるコドワと波子も、善と悪の神によって人類初のカップルの役回りを演じさせられます。

その役回りは新たなる人類の創生。でも2人は大いなる力にほんろうされながら、新たな選択をする。

人類はどうなるのか?ストーリーはハラハラドキドキの連続です。

西洋、南の島、そして日本に共通する神話の不思議さ。読めば読むほど好奇心がくすぐられまくりです。


「比較神話学」をマンガで楽しめて勉強もできる「マッドメン」。ぜひお読みください。


まとめ・資料調査と考察やストーリー構成が奏でる魅力的なストーリー


ニューギニアの精霊の仮面

ここまで3作品の魅力について紹介、解説してきました。


  1. 「宗像教授シリーズ(伝奇考・異考録)」(原作・星野之宣さん)
  2. 「イリヤッドー入矢堂見聞録」(原作・東周斎雅楽さん、作画・魚戸おさむさん)
  3. 「マッドメン」(原作・諸星大二郎さん)

いずれの作品も3つの特徴と魅力がたっぷり。


  1. 歴史資料の調査と考察がていねいに行われ、独創的な推論が展開される。
  2. 読んでいるうちに好奇心がくすぐられ、歴史的な知識が頭にインプットされる。
  3. 各エピソードのナゾが解明されるにつれて、テーマとつながっていくストーリーの展開力。

ストーリーにハマるうちに、読者は古代文明や神話・伝説の知識が豊富になっているんです。


古代文明や神話が好きで、それをテーマにしているマンガを探しています


古代文明や伝説をマンガで勉強したい。おもしろい作品を教えてください


なんて悩み、希望がある人にはうってつけの傑作。


この記事を踏まえて3作品を読めば「ホントにおもしろい」とナットク、マンゾクできますよ。


当ブログでは、ほかにもおもしろい「歴史マンガ」「歴史小説」を紹介しています。ぜひ、ごらんください。






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