超能力漫画は人気のジャンルです |
バトル・ディストピア・犯罪捜査・ギャグ…さまざまな超能力の世界が楽しめる
数多い漫画作品の中で、主人公が不思議な力で活躍する「超能力漫画」は人気ジャンルです。
サイコキネシス(念力)、テレパシー(精神感応)、サイコメトリー(念視)、クレヤボヤンス(透視) etc。
さまざまな特殊能力が登場して、不可思議でトンデモない現象が連続する。
漫画表現にマッチしたジャンルだけに「超能力者が出てくる面白い作品を探しています」なんて声がたくさんあります。
さらに超能力モノの中でもジャンルがあって、いろんな切り口の世界観が展開されています。
それだけに、
「バトル系や日常・学園系とかいろんなジャンルがあるけどオススメ作品は何?」
「超能力漫画の起源、ルーツというか元祖になる代表的な作品って何ですか?」
そんな声もたくさんあるんです。
この記事では超能力者が活躍して面白い、超能力各ジャンルの代表的&ルーツ的なオススメの「超能力漫画」をチョイス。
- 「バビル2世」(著者・横山光輝さん)〜バトル系〜
- 「AKIRA」(著者・大友克洋さん)〜SFディストピア系〜
- 「サイコメトラーEIJI」(原作&原案・安童夕馬さん、作画・朝基まさしさん)〜犯罪捜査系〜
- 「斉木楠雄のΨ難」(著者・麻布周一さん)〜ギャグ系〜
上記の4作品について紹介&解説します。
この記事を読めば、超能力モノの各ジャンルで代表的&ルーツ的な面白い作品が分かってナットク&マンゾク。
さらに作品を手にとってページを開きたくなりますよ。
4作品をチョイスした理由について
超能力の不可思議な力は見る者をドキドキさせる |
超能力の代表的な特殊能力である念力、テレパシー、透視などは不可思議で驚異的な力ばかり。
漫画自体が作家さんのイマジネーションや世界観を読者が楽しむものだけに、不思議な力は漫画表現にピッタリ。
だから漫画の文化が花開いた昭和の時代から令和まで、不動の人気を誇るジャンルなんです。
そして作家さんたちのイマジネーションによって超能力が展開される世界、ジャンルも幅広く描かれています。
超能力者によるバトル系。脅威の力が人類を滅亡の危機に導くSFディストピア系。
不思議な力で事件を解決する犯罪捜査系。超能力者の日常生活をユーモラスに描くギャグ系。
そんな各ジャンルの中で人気があって代表作。ワタシも読んでハマった傑作。これがこの記事で4作品を紹介する理由です。
ここからは1作品ずつ、くわしく紹介&解説していきます。
1.「バビル2世」〜バトル系〜
★超能力バトル系の元祖
著者は横山光輝さん。「週刊少年チャンピオン」で1971(昭和46)年28号から1973年47号まで連載。
コミックスも全12巻が発売されています。
さらには横山さん原作で、作画を野口賢さんが務めた「バビル2世 ザ・リターナー」が登場。
原作の続編として「ヤングチャンピオン」で2010年6号から2017年3号まで連載。コミックスは全17巻が発売されました。
アニメ化もされて、NET(現テレビ朝日)系で1973年1月から9月まで全39話が放映。
リバイバルもされてテレビ東京系で2001年10月から12月まで全13話がオンエアされました。
当時の「超能力モノ」といえば、忍者漫画が主体でした。分身の術など不可思議な現象を起こす忍法を使う忍者が主役。
また、手塚治虫さんのSF作品「来るべき世界」に登場する「フウムーン」のように、人間ではない知的生命体が特殊能力を使ったり。
一方で、アメリカンコミックなどでは超能力を使う主人公が活躍する作品が人気でした。
そんな状況で横山さんが挑んだのが「バビル2世」でした。
日本人の少年が超能力に目覚め、世界の支配を狙う超能力者と死闘を演じる。
サイキッカーによる戦いや古代の伝説、スーパーメカなども登場するなど当時としては新しすぎる世界観が大ヒット。
まさに「超能力バトル系」の元祖。後の大ヒット漫画にも影響を与えています。
★登場人物とあらすじ
主人公は山野浩一(やまの・こういち)。ごく普通の家庭で育った中学生です。
ある夜から見始めた不思議な夢をきっかけに、超能力に目覚めるんです。
そして敵役のヨミ。世界の支配を狙う超能力者です。
浩一は、砂漠の中にある高い塔の夢にうなされる日々を送っていた。ある日、謎の巨大な怪鳥に連れられ、夢に出てきた塔に到着する。この塔は5000年前に地球に不時着した宇宙人バビルが建設した「バベルの塔」だった。塔は母星へ救難信号を送っていたが事故で半壊。バビルは地球人と結婚し、完成させた塔と3つのしもべを子孫に残した。
ヨミもバビルの子孫の1人。やはり電波を受信して塔に呼ばれたが、コンピューターに不適合とされ世界征服を狙う。塔の中で後継者としての教育を受けていた浩一はコンピューターの指示を受け、ヨミに会いにいく。ヨミから手を組んで世界を支配しようと持ちかけられるが、浩一は拒絶。世界を守るためヨミと戦うことを決意する。
「バベルの塔」は旧約聖書の創世記に記された伝説の塔です。
天に届かせるために高い塔を作った人間に怒った神が壊した伝説の塔。人間のゴーマンさを象徴しているとされます。
横山さんはバベルの塔を古代の宇宙人が作ったと設定。今でいう都市伝説の先を行くイマジネーションがスゴい!
バベルの塔は、人工的な砂嵐や催眠ライト、ミサイルなどを装備していて人が近づけない。攻撃されても自己修復できる。
まさに「伝説の塔」というイメージを強調した設定です。
そして塔にはバビルが乗ってきた宇宙船内のテクノロジーが流用され、高性能コンピューターが管理している。
5000年間の地球の記録や、浩一を超能力者にするための教育プログラムもある。
さらに戦いで傷ついた浩一を治療する装置も完備しているんです。
バベルの塔は古代に来訪した宇宙人が創った⁉︎ |
★さまざまな超能力をド迫力で描写
バベルの塔で教育を受けた浩一は、バビル2世として超能力を発揮します。彼の主な能力を説明します。
【超身体能力と超感覚】超スピードの運動能力や怪力。視力&聴力は鋭敏で本能的に危機も感知できる。
【テレパシー】自分の意思を相手に伝え、相手の考えを読むことができる。自分の意思を敵に読まれないようにバリアもできる。
【テレキネシス(サイコキネシス)】念じると周囲のモノを動かすことができる。建築物を破壊したり、敵にモノをぶつける。
【エネルギー衝撃波】腕から衝撃波を送って相手の肉体を破壊する。敵と接触する格闘時に使う。
【催眠術】特殊な眼光を放って相手を催眠状態にして意のままに操る。
ざっとこんな感じ。ほかにも体から火を吹き敵に体当たりする「パイロキネシス」や相手のエネルギーを吸収できたり。
不可思議でカッコいい浩一の超能力に、ファンはトリコになりました。
日本では、明治時代の超能力者・御船千鶴子さんの千里眼などが有名でした。
昭和になってからは1974(昭和49)年にユリ・ゲラーさんが来日し、超能力ブームが話題になりました。
「バビル2世」はゲラーさんに先駆けて、前述したさまざまな超能力を日本中に紹介した格好。
昭和の「超能力ブーム」の下地を作った功績があるんです。
★3つのしもべがカッコいい
さまざまな超能力を発揮するバビル2世をアシストする「3つのしもべ」もカッコよくて大人気でした。
「3つのしもべ」は宇宙人バビルが子孫のために残した遺産で、バビル2世はテレパシーで命令します。
【ロデム】普段は黒ヒョウの姿をしているが、何にでも変身できる不定形生命体。諜報活動やバビル2世の補佐もする。
明確な意思(心)を持ち、バビル2世とはテレパシーで会話する。ヨミがテレパシーを読もうとしてもブロックできる。
【ロプロス】巨大な怪鳥型のロボット。超音速で空を飛び、口からロケット弾と超音波を放つなど戦闘力バツグン。
爆弾などではビクともしない頑強な装甲になっている。バビル2世を乗せて移動する。
【ポセイドン】人型の巨大ロボット。海中を超スピードで移動できて、大型船を一撃で粉砕するパワーもある。
陸上でも活動できて、3つのしもべでは最強の戦闘力がある。
バビル2世をアシストしながら、3つのしもべはヨミが繰り出す兵器と戦う。
横山さんには「鉄人28号」「ジャイアントロボ」といった代表作があり、「バビル2世」にも持ち味のロボ要素を採用した形。
超能力と巨大ロボによるバトル要素がダブルで楽しめるんです。
「バビル2世」と横山さんの作風は、後輩の漫画家さんたちにも影響を与えています。
浩一は中学生らしく常に学生服を着て行動します。これをオマージュしたのが荒木飛呂彦さんの「ジョジョの奇妙な冒険」。
「スタンド」という超能力が登場する物語で、第3部に登場する空条承太郎に学生服を着せています。
そして超能力者モノの人気作で椎名高志さんの「絶対可憐チルドレン」。
主人公が所属する政府組織を「B.A.B.E.L.」(バベル)と命名しているんです。
そして次項で登場する大友克洋さんの「AKIRA」。主人公の名前を「鉄人28号」の主役から命名しています(後述)。
昭和で人気となった「バビル2世」は令和のいま読んでも面白い、超能力漫画の元祖です。
2.「AKIRA」〜SFディストピア系〜
★日本の漫画を世界に広めた立役者
著者は大友克洋さん。「週刊ヤングマガジン」で1982年12月20日号から1990年6月25日号まで連載。
コミックスは全120話を収めた全6巻が発売されています。
また、ストーリーが連載中だった1988年に大友さんが自ら監督を務めたアニメ映画が公開。
映画は日本を越えて世界中で公開され、超大ヒット。原作となった漫画もさまざまな言語に翻訳されて世界に拡散。
世界中の漫画家や映画クリエーターたちに衝撃を与えました。
また日本の漫画やアニメが世界中に翻訳されるきっかけになった作品でもあるんです。
★登場人物とあらすじ
ストーリーの舞台は2019年、第三次世界大戦後の日本の都市・ネオ東京。
かつての首都・東京は1982年に炸裂した「新型爆弾」で崩壊。これをきっかけに世界大戦が始まったんです。
主人公は金田正太郎(かねだ・しょうたろう)。ネオ東京でバイクチームを率いる不良少年。
横山さんの「鉄人28号」の主人公から名前が命名されています。
金田は街を仲間たちと爆走中、謎の少年タカシが出現。チームの鉄雄が避けきれずクラッシュ。タカシと救急搬送された。翌日、金田は街でタカシと再会するが、タカシを追うネオ東京の治安部隊・アーミーと反政府ゲリラの戦闘に直面。反政府ゲリラは政府の重要機密「アキラ」を追っている。金田はゲリラメンバーのケイらと行動を共にする。1週間後、金田は鉄雄と再会。気弱だった鉄雄は交戦的な性格に変貌。タカシと接触した鉄雄は超能力を覚醒させた。鉄雄はアーミーの薬によって能力を発現。「41号」として研究対象になった。
アキラもナンバーズの1人で「28号」。強力な超能力を発現させたが、能力が暴走し1982年に東京を壊滅させた。以後、アキラは政府により旧東京の地下深くに封印されていた。
「バビル2世」など「AKIRA」以前の超能力漫画は、特殊能力が発現される描写が工夫されていました。
例えば「バビル2世」の浩一が念力を使う際、岩などが空中を飛び相手に激突。
テレパシーで会話する時は電気やオーラのようなものが体から放たれる。
そうした描写で超能力を表現していました。
「AKIRA」では、これまでの描写法を踏まえた上で超能力の破壊力の凄まじさが〝見える〟ように描いたのが斬新でした。
アキラが能力を全開で放つと同時に、まばゆい光が広がって周囲のすべてを飲み込んでいくシーン。
その直後、建物や土地自体がもろく崩壊していくシーン。
発現した超能力の凄まじさ、旧東京などの都市すら消滅させる破壊力がページ全面に描写。
さらに超能力の破壊力がもたらした都市の崩壊が、だれもが未来に対して抱いているディストピア(暗黒世界)を連想させる。
読者に視覚的な、強烈すぎるインパクトを与えている。この表現方法に世界中のクリエーターが驚いたわけです。
★大友さんの漫画表現が与えた影響
大友さんの〝見える〟超能力の表現方法は、多くの漫画家さんたちに影響を与えました。
例えば「ジョジョ〜」の荒木さん。これまで読んだ作品の漫画家として、白土三平さん、横山さん、手塚治虫さん。
さらに藤子不二雄さん、ちばてつやさん、そして大友さんの名前を上げています。
そして「ジョジョ」は、偉大な先駆者たちと違うものを描こうと考えて生まれたと語っています。
「ジョジョ」の特徴は、登場人物たちが使う超能力を〝キャラ化〟した「スタンド」。
大友さんの〝見える〟を超えた〝キャラ化〟での超能力バトルを描写した手法は、ホントに画期的です。
また大友さんの特徴としては、緻密なまでの描き込みと立体感が上げられます。
大友さんの描く絵は、ひとコマを切り出すとイラストそのもの。この作風に影響を受けたのがギャグ漫画家の江口寿史さん。
「すすめ ‼︎ パイレーツ」や「ストップ ‼︎ ひばりくん!」などのギャグ路線から、イラスト風の表現に舵を切ったほどでした。
「江口寿史・研究」読めば昭和カルチャーが分かる!ポップでオシャレなギャグ王の名作ベスト5
「AKIRA」は、超能力の凄まじさを〝見える〟ようにした表現方法。
そして破壊力がもたらすディストピアへの不安を感じさせる世界観の設定が画期的な傑作です。
3.「サイコメトラーEIJI」〜犯罪捜査系〜
★超能力犯罪捜査のジャンルを確立
原作&原案は安童夕馬さん、作画が朝基まさしさんのコンビ。
「週刊少年マガジン」で1996年18号から2000年42号まで連載。
コミックスは全25巻、文庫版では全12巻が発売されました。
作品は人気を呼んで、日本テレビ系で1997年と1999年の2度にわたってテレビドラマ化。
松岡昌弘さんの主演で人気となりました。
物や人に残った残留思念(記憶)を読み取るサイコメトリー(念視)能力を持つ不良少年。
そして行動科学の面から犯罪者を分析するプロファイルが得意の女性刑事のコンビが異常犯罪を解決していくストーリーです。
★主な登場人物とあらすじ
主人公は明日真映児(あすま・えいじ)。東京都内の高校に通う不良高校生。サイコメトリー能力の持ち主。
映児は小さなころから、物や人に残った思念(記憶)を読み取る力があった。だが、人が頭の中で考えていることも読み取れてしまう。一時は人間不信になり、荒れた日々をすごしていた。街では連続女子高生殺人事件が発生。犠牲者のそばにはメビウスの輪があり犯人は「メビウス」と呼ばれていた。映児の妹・恵美も事件に巻き込まれ、警視庁に保護される。
映児は亮子とぶつかり、彼女から事件の断片的な記憶を読み取る。恵美の居場所を聞き極秘の捜査情報なども口走る。面識のない映児にさまざまなことをいい当てられ、亮子は驚く。同時に映児がサイコメトリー能力者だと気づく。亮子は大学時代からサイコメトリー能力の実在を確信し、能力を生かした捜査を考えていた。亮子は能力を使っての捜査協力を求め、映児は承諾。2人はメビウス逮捕へサイコメトリーとプロファイリングを駆使する。
サイコメトラーとプロファイラー。まさに最強の捜査コンビ!
この設定のベースとなったのは、1990年代なかばにブームになったFBI捜査官です。
ブームの主役は、米国のFBI(連邦捜査局)で捜査官として活躍したロバート・K・レスラーさん。
1974年に設立されたFBI行動科学課では、事件現場の遺留品や被害者の状況を犯罪データに照らし合わせて分析。
容疑者の人種や性別・年齢、仕事や趣味・嗜好などを推測。犯人像を描いていくプロファイルを行っています。
レスラーさんは主任プロファイラーとして、多くの連続殺人犯や猟奇的な犯罪を解決に導いた人。
米小説家、トマス・ハウスさんの代表作「レッドドラゴン」「羊たちの沈黙」などに登場する捜査官たちのモデルになりました。
日本にも来日してワイドショーなどに出演。国内で発生した事件をプロファイルしました。
科学的な分析で犯人像に迫る手法。当時は画期的で斬新な捜査スタイルを、ヒロインの亮子に設定したわけです。
そして、FBI捜査官ブームから派生するカタチで話題になったのが超能力捜査官。
文字通り、遺留品などから記憶の断片を読み取るサイコメトリーや透視能力などで被害者や犯人の行方を探る捜査手法。
FBIに捜査協力をしている能力者といわれる人たちが話題になりました。この設定をほどこされたのが主人公の映児です。
そんな異能な能力者がタッグを組んで捜査したらどうなるのか?
遺留品に残った残留思念を映児が読み取る。映児からの情報を亮子がプロファイルして事件の背景や犯人像を浮かび上がらせる。
めっちゃウマイ設定なんです。
★ライバルのキャラ設定も秀逸
映児と亮子の捜査コンビは第1話で登場した「メビウス」を皮切りに、連続殺人犯や猟奇殺人犯を逮捕していきます。
次々と難事件を解決していく一方で、トンデモない怪物たちとも遭遇します。
沢木は亮子の大学時代の友人。IQ200以上の天才で心理学などに長けている異常な人物です。
沢木は自分の利益や趣味のために犯罪を立案・実行。一時は亮子に逮捕され拘束される。
難事件を担当している亮子を留置所に呼び出し、事件のヒントを与えたりする。後に脱走して、さまざまな事件の裏で暗躍している。
亮子と沢木の関係は、まさに「羊たちの沈黙」のクラリス・スターリング捜査官と天才精神医で異常犯罪者ハンニバル・レクター。
沢木は事件の謎解きとともに不安をかき立てるキーマンとして暗躍します。
もう1人は幾島丈二(いくしま・じょうじ)。「CASE8:屍の街」から登場。
幾島は面倒見が良くて男気もあったが、金と力を求めて犯罪に手を染める。映児以上のサイコメトリー能力の持ち主。犯罪のために人の意思を操ったりする。
でも後輩の江川を気にかけていて、事件が起きる前に江川や映児に忠告したりする不可思議な行動でかき回すんです。
超能力とプロファイリングの最強コンビによる犯罪捜査のスリリングさ。犯人などとの対決時の格闘シーンも迫力十分。
「サイコメトラー映児」はそんな要素が楽しめるんです。
4.「斉木楠雄のΨ難」〜ギャグ系〜
★シリアスな超能力ジャンルにギャグのエッセンス
著者はギャグ漫画家の麻布周一さん。
「週刊少年ジャンプ」でまず「超能力者 斉木楠雄のΨ難」のタイトルで2011年22号から50号まで不定期で連載。
その後「斉木楠雄のΨ難」のタイトルで「週刊少年ジャンプ」2012年24号から2018年13号まで掲載されました。
コミックスは「超能力者 斉木楠雄のΨ難」(巻数は0巻)が全1巻。「斉木楠雄のΨ難」が、全26巻が発売されています。
原作が人気を呼んで、テレビ東京系でテレビアニメ化。
第1期が2016年7月11日〜12月26日まで。第2期が2018年1月17日〜6月27日まで。
完結編が2018年12月28日に放送されました。
タイトルに採用された「Ψ」はギリシャ語で超能力を表す「サイ」(日本語ではプサイと発音)。
これまでバトル&シリアスに描かれた超能力を、ギャグの世界観に落とし込んだ斬新な作品です。
★登場人物とあらすじ
主人公は斉木楠雄(さいき・くすお)。PK学園の高校2年生。ピンクの髪と頭につけた2本のアンテナ状の装置が目立つ男子。
斉木は超能力者だとバレないように目立つことを避けている。でも心優しい性格で困っている人を超能力で助けてしまう。財布を盗んだ犯人と決めつけられていた燃堂力を超能力で助けたら、気に入られて「相棒」と呼ばれたり。イリュージョニスト(マジシャン)蝶野雨緑に、超能力がイリュージョンだと思われて弟子入りを志願されてしまう。自分が超能力者だということを隠すために超能力を使ったりして、逆に友人たちが興味を抱いて慕ってくる。
でも斉木は自分の生まれついた特殊能力にジレンマを感じている。それどころか災難を呼ぶ不幸の元凶だと考えています。
そんなギャップをギャグに乗せてストーリーを展開するスタイルが面白いんです。
超能力があっても面倒くさいだけ⁉︎ |
★ツッコむ主人公の設定でテンポがバツグン
斉木は、ストーリー上で基本的に会話をしません。語り部として、独白でストーリーを進めていくスタイルです。
さらに家族や友人たちがやっていることにも、斉木は無言だけど独白でツッコむ。
このツッコミが「バカなのか、こいつら」なんて辛らつ。でもナイスなツッコミばかり。
漫画のストーリーは、主人公自身がアクションを起こして、ほかの登場キャラがこれにリアクションを起こす。
これが基本的なスタイルとされています。
でも「斉木楠雄のΨ難」では、相手のアクションに主人公がツッコミを入れるスタイル。
しかもストーリー上では連発するようにツッコミが展開されていく。これが、めちゃテンポがよくてリズム感が気持ちいい。
スイスイとストーリーが読めてしまうんです。
★超能力者のユウウツに共感してしまう
「スプーンが曲げられる? カレーライスが食べにくいだけだ」
例えばサイコメトリー。カワイイ女の子がいたら「ああ、う○こがしたい」(すいません)なんて考えが読めるからガックリしちゃう。
だから超能力にうんざり。なので能力があることを隠して目立たないようにしています。
でも斉木は優しい男子。お人よし。家族や友人が困っていると超能力で助けてしまう。
喜んだ家族は「これも頼むわ」なんて次から次へと厄介ごとを頼んでくる。
友人たちは斉木のことを気に入って慕ってくる。目立たないように努力しているのに…。
そんなギャップが面白くて「超能力者って、大変だなあ」と思っちゃう。「日常に生きる超能力者のユウウツ」に共感しちゃう。
「斉木楠雄のΨ難」は「超能力者のユウウツ」という斬新な設定をギャグにのせた、画期的な作品です。
まとめ・超能力の不可思議で面白いストーリーが楽しめる
超能力の世界を堪能できる |
ここまで超能力者が活躍して面白い、超能力各ジャンルの代表的&ルーツ的なオススメ「超能力漫画」を紹介&解説してきました。
- 「バビル2世」(著者・横山光輝さん)〜バトル系〜
- 「AKIRA」(著者・大友克洋さん)〜SFディストピア系〜
- 「サイコメトラーEIJI」(原作&原案・安童夕馬さん、作画・朝基まさしさん)〜犯罪捜査系〜
- 「斉木楠雄のΨ難」(著者・麻布周一さん)〜ギャグ系〜
上記の4作品はいずれも傑作ばかり。
超能力漫画の各ジャンルの代表的&元祖的な作品で、いろんな切り口の世界観が展開されています。だから、
「超能力者が出てくる面白い作品を探しています」
「バトル系や日常・学園系とかいろんなジャンルがあるけどオススメ作品は何?」
「超能力漫画の起源、ルーツというか元祖になる代表的な作品って何ですか?」
そんな疑問がある方にはピッタリの作品です。
この記事を読めば4作品の面白さや魅力が分かってナットク&マンゾク。
さらに作品のページを開けば、超能力者が巻き起こすストーリーの不可思議で面白い世界観にどっぷりハマりますよ。
当ブログではほかにも面白い「超能力漫画」を紹介しています。ぜひご覧ください。
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